第一章 8話 諦めと誇り

なぜ、

この地に、

そんな資料があるのか。


そんなことを説明してなかった。


この地は過去に偉大な科学者たちが結構いて、

色んな科学知識が世の中に、

ここから広まった。

ちょっとした科学技術者の聖地みたいなものと思ってくれていい。


そしてその科学者たちが、

残したノートや、メモ、導、仮説、

みたいなのがあって、

そういったものが、

今の科学の課題を解く糸口みたいになったりする。


まぁ考え方的なこととかだな。


もちろんそんなものは、ネットの海にはない情報。


何故かというと、

このダイメルク図書館がそういった書物を管理しているからだ。


もちろん簡単な引用的なものならネットに転がってたりするが、丸々の文章は存在しない。


丸々の文章から再度考えを起こし直す。

そんなことをして研究のざっくりの道標とする。


またそれを元に研究することも可能で、

この地の実験施設も数多く、

世界的見ても設備が良かったりするのだが、それは次の機会かな。


簡単な実験はするかもしれないが、

そもそも大学でも可能なことなことかを、

検討する必要もある。


まぁといった訳で、

少し急ぎみで準備を行っている。


準備を終え、部屋を出た僕は、

路線電車に乗り、ダイメルク図書館へ向かった。


降りる駅は「ダイメルク図書館前」。

路線電車を降りた僕の目の前には、

当たり前だがダイメルク図書館が存在していた。


ダイメルク図書館には何度か来たことがあるので、

正直驚かない。

最初見たときは驚いたもんだ。


驚くというのはまぁ大きさを見てもらえれば、分かると思う。


普通の図書館の5倍はあると思う。

あくまで感覚的だが。


そして建物のデザインはとてもおもむきがある。

古きよきデザインというか。

よくこんな物を作ったなと思うほど。


この街は、科学の聖地というだけあって

科学者の功績が結構収入源だ。

あと観光と装飾品の名産品の収入源から

、そこそこ金があるのだろう。

それ故にこんな大きな建築物が街で作れる。


しかしそれ故に貧富の差は結構ある。

あの案内人の女の子のように、

稼ぎが少ない人を少し下に見る人も少なくない。


正面入り口から入り、

僕は、お客様窓口へ行き。

アポイントの内容のうんぬんかんぬんを、

そこに座っていたお姉さんに伝えた。


「ヘイストさんとアポイントがありまして、11:00時に挨拶する予定になってるんですが」


「あら、ヘイストさんですね、

少々お待ちください」


とお姉さんは内線の電話をかけてくれた。


「ヘイストさん、アポイントがある方がいらしてます、はいはい、そうです、では伝えておきます、はい」


と一連の話が終わり、

お姉さんが、


「あちらの13番の部屋でお待ちください、しばらくしたら、ヘイストさんが来ますので」

と伝えてきた。

「分かりました、すみません、ありがとうございます」


僕はそう返事をすると、13番の部屋へ向かった。


部屋への中にはソファーが向かい合わせに置いてある。

よくある商談の部屋みたいな作りだ。


ここも何度か来た。

ソファーに腰掛けて待っていると、

しばらくして、コンコンと鳴らす音が。


「あ、やぁ、パソスくん

久しぶりだね、元気そうだね」


といい人という感じの、

にこやかで白髪混じりの髪と、

白ひげのおじいさんが現れる。

それがヘイストさんである。


「ヘイストさんも、まだまだ元気そうですね」


と言い僕は立ち上がり、ヘイストさんの出してきた手を取って握手した。


「いやいや、最近は目の疲れと腰が少ししんどくてね、

まぁまだまだ続けるつもりだが、、

とりあえず、腰を掛けてくれ」


「それは嬉しい、僕もこちらで助けを求めることをできなくなってしまっては、困りますから」


「はは、僕がいなくなってもちゃんと他の人が受け付けてくれるよ」


「そうですね、いや僕は案外シャイなところもあるので、中々人と中を深めるのが上手じゃなんです

、という訳で、とりあえず、今回もヘイストさんにお世話になります」


「少し口が上手くなったようだね、

昔の君より」


「ああ、そうですかね」


「まぁそれはさておき、今回も調べ物かい?」


「ええ、今回も少し研究、実験するにあって調べたいものがありまして

、まぁ過去の科学者のメモや仮説が見たいんです」


「ああ、それならいつも通り

好きに使ってくれて構わないよ」


「ありがとうございます!助かります」


「いやいや、今回はどんなことをテーマに?」


「物質の遠隔活動をテーマに、といっても、

まだどんな研究、実験してアプローチしようかとか、なにも決まってないんですが」


「なかなか面白いテーマだね

まぁ君のことだから、ある程度宛のあってのことだろ、

なるほどね、

それをこれから調べて、

仮説とかメモから考えようと思っているわけだ」


「まぁ0からこれをしてみようとは思いつけない凡人ですから、

とは言って調べ物の方で、なにも成果0の可能性も、そうなれば、このテーマはなしですかね」


「まぁまぁそんなことはよくあるものだ、

研究はいつだって根気強く粘り強くだよ」


「ですね」


「まぁ期待してるよ、頑張って

これ入退カード、

3号棟の105〜170辺りを調べるといいかもしれない、

規則の説明は、、君には必要ないね

、前から特に変わってないから」


「ありがとうございます、

いづれ、大きい成果を当てた際は、この御恩を」


「恩なんて、いいよ別に

僕はね、過去の科学者が諦めた道、

それと諦めずに進んできた道、

それらを含めて、

その先を見ていたいんだよ、

僕も一線の科学者をあきらめた凡人、

だからね、恩はいいんだよ、

ただもしこの先、

同じようなことで挫くような子がいたら、

手を差し伸べてやってくれ」


「はい、分かりました」


「しかし、成功が楽しみだな」


「やめてくださいよ、プレッシャーは」


「ははは、そうだな、期待し過ぎはよくない」


そんなこんなで入退カードを受け取り、しばらくの間、ここの出入りを許可された。

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