十五

「あ、あ…!んっんん…」

ゆっくりと突き上げながら、大紀がキスで口を塞いでくる。

(あ、これ、好き…)

上も下もいっぱいにされているみたいで、気持ちも満たされる。

(俺、はじめて、なのに…)

すごく気持ちいい。あれだけのものが入っているのだから、圧迫感は確かにすごい。でも痛いとかつらいとか、そういったことははじめから無かった。それは大紀がじっくりと解し、ゆっくりと馴染ませてくれたから。大紀の優しさを強く感じる。

「んっ…」

俺は大紀の首にすがり付いて、自分からも唇を押し付けた。

「あ、ああんっ!」

揺さぶられて、さっき指で苛められたあたりを大紀のものが掠め、同時に、大紀の腹で俺自身が擦られて、それらの刺激がすべて気持ち良くて、

(あ、だめ、おかしく、なる…)

視界がチカチカとし、いつの間にか溢れていた涙でぼやける。そこに映る大紀の顔は、相変わらずかっこいいけれど、いつもの柔和な雰囲気が鳴りを潜めて、替わりに情欲が滾った瞳がそこにはあった。

(肉食動物みたい…)

そんな大紀を「少し怖いかも…」と思いながらも、俺の興奮はどんどん高まっていく。

大紀に唇を塞がれる度、腰を打ち付けられる度、体中が沸騰するみたいにゾクゾクしてしまう。

(食べられてるみたい、って、こういう…)

「…ああ、こら。あんまり、締めないで…」

「え?あ…」

大紀の顔が一瞬歪み、俺を困ったように見つめてくる。そう言われても無意識のことで、どうしたらいいか分からない。

「あ、や、わかんな…」

「いけない子だな」

悪役みたいに、でも、少し嬉しそうに微笑んで、大紀は無防備になっていた俺の胸の先端にちゅうっと吸いついた。更にもう一方を指先で引っ掻いてくる。

「あ、んんっ!はあっ…。や、あ、気持ちい…っあ」

取り繕ったり、ごまかしたりする余裕はなくて、ただ正直な言葉が口から零れ出る。

「君って子は…」

「ああんっ!」

呆れたような大紀の声が聞こえたと思ったら、突き上げが一層激しくなった。

「あっ、ああ、だいちゃん!やあっ…!」

「可愛い…、僕の玲哉…!」

掠れた声で名前を呼ばれ、それだけで体の奥が熱くなるのに、大紀が腰を大きく引いて、一気に奥まで突いてくるから、更に熱くなってしまう。ぐちゅぐちゅと卑猥な音をさせ、それが何度も繰り返されている。

「は、あ…奥…すごく、いい…。あっ…あ、や、そこ、はぁ…っ!」

大紀の手で、俺の前も握られ扱かれて、「出したい」という欲求が腹の奥から込み上げてくる。

「あ、俺、また…」

「待って、もう少し」

次第に大紀の息も荒くなってきている。動きも性急になって、俺を突き上げる腰の動きが激しさを増す。

「あ、や…!すご…!あ、ああっ!」

「うん、僕ももう…!」

「あ、ああっ!」

「玲哉…、玲哉…!」

「あ、ああ~っ…っ!」

大紀の体が震え、低く呻きながらグッ、グッと腰が押し付けられた。

(イッたんだ…。俺で…)

幸せな気持ちが沸き上がり、俺もまた、二人の腹の間でビクビクと熱いものを吐き出した。

「っ…!」

大紀は、何かに耐えるように低く呻き、少ししてからゆっくりと身を引いた。出ていくときにも敏感なところを擦られて、

「あん…」

と、甘ったるい声が出てしまったが、それを恥ずかしいとか感じる余裕なんかもうなくて、俺は、これ以上力が入らない体をぐったりと投げ出した。

「…大丈夫?」

大紀が俺にブランケットをかけ、その上から両腕で優しく包み込んでくる。その体温が、とても心地良い。

「ん…。だいちゃ…」

「?」

「…すごく、気持ち、よかっ…。俺、こんな…はじ、め、て…」

「!」

急激に眠気が襲ってくる。

「だい、ちゃ…。だい、す、き…」

言いたいことは伝えたと思う。俺はその事に安心して、大紀に身を委ねる。

「僕も、大好きだよ」

大紀の声が、すごく近いような、でも遠いような。

「おやすみ…誕生日おめでとう、玲哉」

額にあたたかい感触を感じ、俺は完全に意識を手放した。

                              

                           




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