十四
一度達しても終わりじゃない。
大紀はベッドヘッドに手を伸ばし、引き出しからなにかを取り出した。
(あ…ローション?)
ボトルのキャップを開け、その中身をとろりと指先に垂らす。その手で、俺の後ろに触れてきた。
「…っ!」
自分でも指先を入れてみたけれどそれ以上はなにもできなかったところだ。周辺を、その手前も、くにくにと円を描くように、捏ねるようにマッサージされる。
大紀は、
「使ってみたことある?」
「ん…。ちょっとだけ…」
「じゃ、ゆっくり慣らしていこ。…入れるね」
「…あっ…!」
つぷっと入ってくるものがある。
「人差し指。先っぽだけど…。痛くない?」
「ん…。でも、なんか、変…」
痛くはない。でもまだ、異物感が強い。それでも、予想よりもすんなり入ってきたことに驚く。
「熱い…」
「…っ」
一度抜かれる。そのときの感覚は、自分でしたときにも何度か味わっているが、大紀の指は俺のより太くて、抜けたあとの喪失感はずっと大きい。
(あ、なんか、いい…)
そう思った瞬間、
「んあ!」
ローションを足された指がまた、浅く入ってくる。さっきよりさらにスムーズで少し奥まで届く。
そんなことを繰り返されて、大紀の指が根本まで突き入れられて。先っぽだけ入れ、入り口を広げるように円を描いて。指が二本に増えて…。
「ん、んんっ」
異物感が強かったはずなのに、くちゅっ、くちゅっと、ゆっくり、浅く出し入れされるのが、少しもどかしくなってくる。
(もっと…)
そう思ったときに、大紀の指が、ナカの何かに触れて、俺の体がビクンッと跳ねた。
「やあっ!」
(…え、な、なに?!今の…)
体を貫かれるみたいな快感と、口から出てしまった甲高い声に、自分でも驚いてしまう。
「あ、玲哉の『いいとこ』」
大紀が嬉しそうに言う。
「ほら」
さっきの場所を指でダイレクトに突かれて、また体がビクっとなる。
「ああっ!や!やだ!なんか!」
気がつくと、俺の前はまた勃ち上がっていた。
「あ、また…あ?」
大紀が指を抜いた。
「そろそろ…」
「…!」
大紀もいつの間にかベルトを緩めて、スラックスの前を寛げている。
直接見るのは初めてだ。気持ちが昂っているせいもあって、赤黒く、血管が浮いていて、いやらしい。そして、想像していたより、ずっと大きくて、俺は少し体が強張るけど、さっきまで弄られていたところがきゅんとなったのも感じた。
正方形の薄い小袋を手にしている。
(コンドーム…)
端を噛んで、ぴっと引っ張り小袋を裂いた。その姿を見て、
(…すごくエッチ…。でも、かっこいい)
と、他人事みたいに思う。
「向き、変えるね」
「…!」
俺はうつ伏せにされ、膝をついて突っ伏し、腰だけ突き上げる姿勢になった。後ろが丸見えでこの姿もかなり恥ずかしい。
「辛いときは言って…入れるね」
大紀は俺の腰を押さえ、自分の昂りをあてがう。一瞬、ヒヤリとした感覚があったのは、ローションを足されたからだろう。
「あ、はっ…」
ゆっくりと、大紀が入ってくる。割り開かれるような感覚に声が出ない。指とは比べ物にならない圧迫感で、俺は枕にしがみついて耐えた。じわっと涙が滲んでくる。
「息して、玲哉…」
大紀が俺の肩に口づけしながら、胸の先端をこりこりと指先で転がしてくる。
「あ、あん!ああ…」
声が出ると、自然に呼吸ができるようになる。
「…いい子だね」
その間にもどんどん、大紀は押し進んできて…。一番キツいのは、先っぽだろう。そう、予想した通り、
「…入ったよ、玲哉。すごい、熱い…」
そこで大紀が動きを止め、深く息を吐きながら、
「このまま、少し…」
と、深く息を吐いた。俺の方は言葉にならず、枕にしがみついて、突っ伏したまま頷くしかできなかった。大紀はそんな俺の右手を掴む。
「ほら、ここだよ」
そう言って、俺の手を後ろに導いた。繋がっているところに触らされて、見えないけれど、俺の後ろに大紀が入っていることを強く感じてしまう。
「ん、ナカ、きゅってなった~」
声が弾んでいる。俺は余裕なんてなくて、恥ずかしくておかしくなるんじゃないか、ってほどなのに。大紀はずっと上機嫌で、鼻唄でも歌い出しそうな雰囲気だ。
俺は、顔だけ大紀の方を向けて、睨み付けた。
「なんか、ずる、い…!だいちゃん、ばっか、そんな、よゆ、で…あ!」
その時、後ろの圧迫感が増したような気がした。
「…え、うそ…」
「玲哉、その顔~…」
「あっ!」
腰が引き寄せられ、ぐんと突き立てられる。
「余裕なんて、あるわけないでしょ」
「あ、あ、あっ!や、ああっ!」
ゆっくりと、腰を動かし、大紀のが俺のナカで擦れる。
「あ、あ、っ!」
もうこれ以上は、と思っていたのに、さらに奥まで突かれて、ぱちんっ、ぱちんっ、と大紀と俺の肌がぶつかり合う音がする。
「!」
不意に、大紀が離れた。
突然訪れた喪失感に呆然としていると、俺は仰向けにされた。
「そんな顔しないで」
俺の両足は、膝の裏をガッチリと押さえる。
「あっ…!」
そこに再び、大紀が入ってきて、一気に奥の方まで突き上げられた。
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