第4話 おねむの時間

夕ご飯を食べ終わると、お腹いっぱいになったせいか眠くなってきた。


「今日はもう寝ようか~」


わたしがこういうと


「もう寝るの?いつもはオールナイトだよ!っていうのに」


と温海がこういうけど、実際にオールナイトだった事は1度もないんだけどね。


「そう言っていつも0時ぐらいに寝てるしね」

「そうだけど、まだ21時よ」

「どうせあと3時間で寝るんだし、いいじゃない」

「なんか、お腹いっぱいになった夜の文乃っていつもよりテンションが低いわね」


温海はこう言うけど、わたしは実は朝型だからね。

よく夜型と言われるけど、夜は苦手。

高校に入って少しは夜ふかしするけど、中学の頃までは21時に寝てたからね。

そして、朝の6時に起きてたから健康優良児だよって今時言わない気もするけど。

今だって23時前には寝てるし、早いと22時前に寝てるよ。


「早いと22時に寝るから眠いのだよ、温海さん」

「文乃って夜ふかしてそうな感じなのにね」

「よく言われるよ」

「あたしのほうが夜ふかしだけど......夕は徹夜でゲームをしてるのよね」


夕はわたしと温海がお泊りに来て1人だけ起きてゲームをしてる事がある。

そして、わたしたちが起きた頃に2,3時間仮眠して、遊びにいくけど

それでも普段通りで3人で一番タフなのは夕だったりする。

ただ、ゲームをしてない時はわたしと同じぐらいにすぐ寝るけどね。


「ふあ~なんか眠いね......」


夕が隣の部屋から来たけど、とても眠そうだ。


「夕さん、お眠ですか」

「ん~、今日は眠いよ~」

「でも、さっきまでゲームをしたじゃないですか」

「さっきイベントが終わったから~最後の追い込みをしたからね~」

「そうなんだ」

「でも、イベントも終わったから~ゲームは終わりだし~眠いよ~」


夕はそう言うと、自分で布団を敷きだしてそこに横になった。


「ふあ~おやすみ~」

「夕、寝る前に歯を磨きなさいよ」

「ん~面倒だよ~」

「女の子なんだから、ちゃんとケアしなさい」

「温海ちゃん~お母さんみたいだよ~」

「お母さんじゃなくても、口臭がキツイのは嫌よ。磨かないととキスしてあげないだからね!」


温海がこう言うと夕は


「え~それじゃ磨くよ~」


といって、そろりと布団から起き上がり洗面所に歯を磨きに行った。


「なるほど、これが愛の力か」

「な、何、バカな事言ってるのよ」

「だって、キスしてあげないんだからねってのろけを見せられたらそう思うよ」

「ゆ、夕にはこ、これが一番なのよ!」


温海は何時ものように耳まで真っ赤になっている。

でも、わたしとしては百合カップルののろけが見られってお腹いっぱいなのが

さらにお腹いっぱになってなって満足して眠れそうだよ。


「なんか、満足したからわたしも寝ようか」


わたしも布団を敷いて横になる。


「文乃も歯をちゃんと磨きなさいよ」

「もちろん磨くけど、本当に温海はお母さんだなぁ」

「文乃までそんな事言って、まったく」

「それが本当にお母さんだよね」

「そうなんだ......」

「あ......」


温海は両親が忙しくていつも不在だから、この話は地雷だったかも。


「もしかして、地雷踏んだと思ったの?」

「うんまぁ……」

「大丈夫、気にしてないわよ。ただ、あまり母親に甘えたことはないわね」

「それじゃ、わたしをお母さんと思えって抱きついてもいいよ」


わたしは両手を広げて「さ、来るんだ」というポーズをすが


「文乃は母親って感じがしないよね」


と拒否された。


「そうか......わたしじゃ母親感がないか」

「べ、別にそう言う訳じゃないわよ」

「やはり、夕の方がいいのかな?」

「まぁ……」


温海は頬を染めて横を向くが、やはり彼女の方がいいよね。


「やはり、温海は夕が好きだよね」

「そりゃ......恋人だ......」

「そだね。あと、今回は夕の誕生日なのに、わたしたちの方がお世話になってるよね」

「明日からは夕をもてなすわよ」

「つまり、温海が夕のプレゼントって事かな」

「文乃はそう言う事言うのね」


温海は呆れてるけど、もちろん何時もの冗談だけどね。


「お約束のネタだって」

「そうだとしても、そんな事する訳ないでしょ」

「そうだけどさ」


確かに温海がそんな事しないし、わたしがプレゼントというのは

大体エッチな展開になるからね。


「磨いて来たよ~」


夕が歯を磨いて戻ってきたから、今度は私が歯を磨きに行く。


「5分ほどで戻るけど、2人きりだからってエッチな事しないでよ?」

「す、する訳ないでしょ!」

「そうだよ、今日はしないよ~」

「今日はって事は......」

「いつもしてないわよ!夕も余計な事言わないの!文乃も早く行きなさい!」

「わかってるよ。では、お2人ともごゆっくり~」


わたしは温海をからかいながら自分の歯ブラシセットを持って歯を磨きに行く。

夕の家には何度か泊ってた事があるから、もう慣れたもの。

あと、温海にあんな事言ったけど、温海がそんな事する訳......ないよね?

最近の百合マンガとかの展開だと、キスだけのつもりが......ってなるから

もしかして2人も......。


 わたしは歯ブラシを咥え、タオルを当てながら部屋の様子を襖を少し開けて見てみると


「夕、もう寝たのね......」


と残念がっている温海と、布団で寝ている夕の姿があったのでそっと閉めて洗面所へと戻った。


 わたしは歯を磨き終わると、部屋に戻るけど今度は温海が歯を磨きに行く。

わたしも布団に横になるけど、3人で寝ても十分余裕があるから

気を利かせて、2人の布団との間を開けている。

わたしが寝てるうちに2人で......なんてないけど、あったらそれはそれで困るけどね。


 温海が戻ってくると、温海も布団に横になる。

夕はすでに寝息を立てているが、今回の主役である夕にまだ何もしてない。


「夕は相変わらず寝るのが早いね」

「夕は夜ふかしする時はするけど、寝る時はすぐ寝るのよ」

「なんか極端だね......わたしも眠いけど......」

「何度も言うけどこの中じゃ、文乃が一番遅くまで起きてそうだけどね」

「実際は......温海が一番夜ふかしだけどね......」


わたしは温海と話してるけど、既に眠くなっている。

そして、温海が何か話してるけど、生返事をしてるうちにわたしも眠りについたのだった。

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