第3話 町中華で夕食
中華屋さんのメニューを見て、出前で頼むものを決める。
「暑くなってきたから、冷やし中華でいいかな」
「そうね。でも、ここのチャーハンもおいしいわよ」
「わたしは~麻婆豆腐がおすすめだよ~。あまり辛くなくて~おいしいよ~」
「そうなんだ。あと、エビチリやあんかけ焼きそばもおいしそう」
「なんか目移りするけど、早く頼まないと出前の時間が終わるから決めないと」
「わたしは~麻婆豆腐と半チャーハンにするよ~」
「それじゃ、あたしはチャーハンにするわ」
「え~と、わたしは……餃子と……なんかバンバンジーがきになるからこれと……ラーメンでいいかな」
「わかった~お母さんに言ってくるね~」
夕は注文する物を伝えに行った。
「暑いのにラーメンでいいの?」
「ほら、ラーメンが美味しければ何でもおいしいって言うじゃない」
「そうなの?」
「いや、勝手にそう思っただけなんだけどね」
「でも、ラーメンが美味しいと何でも美味しいはわかるわよ」
「温海さんもわかってくださいましたか」
ラーメンスープはお店のメインだから、それが美味しいって事は何でも美味しいと
テレビでやっている町中華の番組を見て思っているというか、ナレーションでも言ってたけどね。
あと、急いで決めたから無難なラーメンにしたけど、出前だから
少しは冷めてるからきっと大丈夫……だよね?
「頼んできたよ~今からだと~1時間から2時間ぐらいかかるけど~いいよね~」
「ちょっと遅いけど、いいかな」
「忙しい時間だから仕方がないわ」
「それじゃ~それまでなにしようか~」
「んー適当に時間を潰すよ」
「それじゃ~わたしはちょっとゲームをしてくるよ~」
夕はそう言って自分の部屋に戻るけど、わたしと温海は
自分のスマホで動画を見たり、ゲームをしたりしている。
テスト期間も丁度終わったし、今日はお泊りだからのんびりするよ。
「もう、なにしてるの!」
夕の部屋から声が聞こえてきたけど……ゲームで熱くなってるみたい。
「夕ってゲームで熱くなるタイプに見えないよね」
「そうよね、あたしも最初は驚いたけど、今は慣れたわ」
「しかも、普段としゃべり方も違うしね」
「意外とこっちの方が素かもね」
温海はこう言うけど、夕の
「なにしてうるの!右だっていってるでしょ!
そこ、2人でって言ってる、何してるの!」
と声が聞こえてくるけど、これが夕の素なのかな。
「ハンドルを握ると性格が変わるタイプなのかな?」
「かもね。夕みたい方が車の運転がうまかったりするかもね」
「夕が運転しながらあれこれ言ってる姿が……想像できない」
「夕ってああ見えても、意外と運動は上手いし、体育の授業でも結構本気でやるから熱くなるタイプと思うわ」
「確かにそうだね。もしかして、普段からため込んでる事が多いとか」
「文乃に話さないだけで、結構悩み事は話はしてるわよ」
「え、そうなの!?」
意外な事に、悩み事を話してるんだ。
でも、考えてみたら2人は同性が好きっていう悩みがあっただろうし
わたしも相談されても、誤魔化したりして答えられないから
あえてわたしには話さないだけかもしれない。
「元々は同じ悩みというか……共通している所があったから話しやすいのよ」
「ああ、それはわかる。それに、わたしに悩み事を相談されても真面目に答えれらないしね」
「文乃の場合、話題を逸らすためにあれこれ誤魔化しそうだし」
「流石温海さん、わかっておられる」
「否定しないのもそれはそれでどうなの?」
「まぁ、否定できないし」
「それじゃ仕方がないわね」
なんか温海も納得したけど、納得されないよりはいいか。
そして、隣の部屋から夕の声が聞こえてきてるけど、気にしない事にした。
「お待たせしましたー。ご注文の品をお届けしました」
出前が届いたようで、夕のおばさんが対応すると
「出前が届いたけど、そこの部屋で食べる?」
とおばさんが聞いている。
「どうする?」
「3人で食べた方が気を使わなくていいでしょ」
「そうだね」
「テーブルはそこにあるから、夕に出前が届いたって言ってくるわ」
「お願いね」
温海は夕に出前が届いたというと、ゲームをいったんやめてこちらへくる。
「食べるのはここでいいよね?」
「うん~ここで3人で食べよね~お母さんに言ってくるよ~」
「あと、頼んだ物を運ぶから、手伝うわ」
「あ、わたしも手伝う」
夕はおばさんに3人で食べると伝え、わたしと温海は出前の品物を部屋に運ぶ。
代金は夕の親が出してくれたので、そのお礼もしてご飯にする。
「んー、おいしそうだね」
「このお店は~美味しくて好きだよ~」
「お店にも行った事あるけど、古いお店だけど長く続いているだけあって味はいいわよ」
「そうなんだ、いただきます」
「いただきます」
「いただきます~」
わたしたちは食事をするけど、ラーメンはあっさりしょうゆラーメンではあるけど
ちゃんとコクがあり、スープも全部飲めるぐらいおいしい。
麺はストレートの細麺で、チャーシュー、メンマ、ノリ、ネギに今では珍しいなるとものっている。
ラーメンを食べるには気温が高いけど、このラーメンならば季節関係なく食べられる。
餃子はパリっとした皮ににんにくとしょうが、ニラが効いているけど
肉の割合よりも野菜の方が多いみたいなので、それがとても食べやすい。
餃子は6個だけど、1皿では物足りない美味しさ。
そして、バンバンジーはちょっと酢がきいたゴマダレが美味しく
さっぱりしつつも、ゴマのコクが美味しいくて暑い時期にはぴったり。
「出前でこれだけ美味しいなら、お店で食べたらもっと美味しいよね」
「うん、お店だと~この倍は美味しかな~」
「この倍と聞いたら、行きたくなるなよ」
「それじゃ~今度のお泊りの時は~お店に行こうよ~」
「そうだね、次は夏休みかな」
「もう、気が早いわね」
「あと2週間ちょっと経てば夏休みじゃないですか」
「そうだけど、先ずはテストの結果でしょ」
「それを言わないでくださいな」
夏休み前にテストの結果があるけど、今回はちょっと自信あり。
2人には敵わないけど、2人に勉強を教えてもらったからね。
「今回はあたしたちが教えたんだから、期待しているわよ」
「今回は自分でも自信ありだよ」
「それなら期待してるわよ」
「んー、過度な期待はしないでよ」
「トーンダウンしたけど、結果を楽しみにしてるわよ」
自信があると言っても、結果を見ないとわからないからね。
なので、今のうちに予防線を張ってはおく。
「ところで、チャーハンも美味しそうだし、バンバンジーと餃子を食べる?」
「少し貰うわね」
「わたしも~分けてあげるよ~それじゃ~取り皿をもってくるよ~」
夕は取り皿を持ってくると、それぞれ頼んだ物を少しずつ分ける。
ラーメンは流石に分けれれないけど、餃子とバンバンジーを2人に分けて
わたしはチャーハンと麻婆豆腐を分けてもらった。
「チャーハンも美味しそうだね」
「少し味が濃い目だけどパラっとして、美味しいわよ」
「ネギと~玉ねぎがはいってるのがいいだよね~」
「半チャーハンにしては量が多いし、温海がチャーハンだけにしたのもわかる量だね」
半チャーハンといっても、1人前ぐらいあるんじゃないかという量だし
1人前は2人で分けて食べられる量がある。
「べ、別に1人でも食べられるけど、食いしん坊の文乃が欲しがるから、1人前にしたわよ」
ここで温海さんのツンデレがでたけど、わたしもチャーハンを見たら
食べたくなったから、温海さんもわたしの事をわかっておられる。
「ありがとね、ありがたくいただくよ」
「べ、別に文乃のためじゃないんだからね……」
うん、まさにテンプレのツンデレですな。
でも、温海から分けてもらったチャーハンは確かに美味しかった。
でも、夕が分けてくれた麻婆豆腐と混ざって少し麻婆チャーハンになってはいたけど
これはこれでおいしかったけどね。
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