肯定感

蛙多楓太

肯定感

初蝶やベッドを組み立てて貰ふ

雪の果答辞肩幅ほど広げ

猫の子を収む水汲むやうな手に

春日傘いつさうに空近くせり

劇場に窓のおほきく桜かな

ブレーカー落つる五月の人のやう

どくだみや客引きの傘同じ向き

軍のごと縛る荷物のキャンプかな

夕立や肯定感を説く神父

どの猿も顔突き上げて泳ぎをり

新宿や通りは月の在りどころ

桃こぼし前のボタンを閉じにけり

小鳥来るかまどの石のよく崩れ

水澄むや死後の命の目も白く

ふゆばらや香をにがしてゐる信徒

スキー板の陸を忘るる重みかな

満席を告げたる役や冬至餅

クリスマス感染せねば生きづらく

春隣父は時計を押し付けて

一貫校ばかりの履歴つらら折る

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肯定感 蛙多楓太 @AtaHuuta

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