第63話 村の防衛
アサシンたちが村に攻めて来ても、返り討ちに出来るようにするため、村の守りを固める事にした。
その為には、今の土の壁ではダメだ。
魔物の攻撃に……衝撃にはそれなりに耐えられるものの、硬い金属などで削られると、穴が開けられてしまう。
なので、もっと頑丈な壁を作るんだ!
という訳で、ここ数日で引いたガチャから、こんなスキルを作ってみた。
「≪プロテクション≫」
これは、虫からの攻撃を防ぐ『プロテクト・インセクト』と、首輪装備時に防御力を増大させる『防御力UP(強):首輪』を合成したスキルで、使用する事で半日程度、防御力を高めてくれる。
だが、このスキルが優れているところは、プロテクト・インセクトと違って物にも使用可能である事だ。
つまり、有事の際に俺や住人を守るだけではなく、街を囲む土壁も強化出来る。
試してみたところ、土の壁が鉄の壁のように硬くなり、普通には削れなくなっていた。
なので、こんな方法で壁を強化している。
「≪グロウ・プラネット≫」
一度外壁を壊し、地面に木の枝を埋め込むと、植物成長スキルを使って枝を五メートル程の高さまで伸ばす。
その枝を支えとして、土で囲み、固めて壁を作る。
更にプロテクションスキルを掛け、以前の壁よりも遥かに高く、硬い壁となった。
レンガの壁などとも異なり、一切の継ぎ目などがない為、乗り越えるのも困難だと思う。
とはいえ、アポクエの世界には魔法とスキルが存在する。
アポクエのゲーム内には存在しなかったが、空を飛ぶ魔法があるかもしれないし、何でも壊せるスキルがあるかもしれない。
なので、自動で監視と報告を行ってくれるようなスキルを作る事にした。
「≪アラート・キャット≫」
紙で出来た猫を生み出すと、路地裏や屋根の上など、様々な場所へ配置する。
この猫は、『折り紙』スキルと『識別:猫』を合成させ、動く紙の猫を作り出せる、『ペーパー・キャット』というスキルを作った後、更に『草笛』スキルを合成して出来た。
本物の猫と同じ様に鳴くし、気まぐれに移動したり、同じ場所で眠っていたり。
でも、紙で出来た耳はピクピクと動いて周囲を警戒しており、何かあれば草笛の音で知らせてくれる。
そんな紙の猫を、村の中に百体ほど生み出しておいた。
「ひとまず、無断で潜入しようとしてくる者に対しては、これで良いのではないだろうか」
「アデル様。この猫ちゃん、お屋敷にも住まわせていただいて良いですか?」
「もちろん。クレアが家の中でも安心出来るようにするよ」
「あ、そういう事よりも、どちらかというと、普通に可愛いので」
まぁ行動は完全に猫だからね。
これで素材が紙ではなくて毛糸とかだったら、俺もモフモフしていると思う。
……今度、ソフィかテレーズあたりに猫耳をモフモフさせてもらおうかな? いや、嫌がるならもちろんしないけど。
「しかしアデル様。夜中に潜入しようとする不届き者の対策は良いと思うのですが、普通の移住者や商人、旅の者に扮して正面からやって来る者に対しては……」
「そうなんだ。シモンの言う通りで、これだけだと不十分なんだよ。という訳で、一応対策用のスキルを作ったは良いんだけど……」
「どうかされたのですか? 何やら歯切れが悪い感じですが」
「いや、その……あまり使わない方が良い感じのスキルが出来ちゃってさ」
今回作ったスキルは、『ディテクト・マインド』というスキルだ。
身体的特徴や健康状態が分かる『ディテクト・ボディ』というスキルに『好感度UP(弱):植物』スキルを合成してみたら、これまでの身体情報に加えて、何故か俺への好感度がそれとなく分かるようになってしまった。
スキル完成後に効果を説明した上で、先程ソフィに使わせてもらうと、
――ソフィ 女 十歳。獣人族猫耳種。健康。身長:百四十八 体重:四十 胸:C 「領主様、大好きー! 大きくなったら領主様のお嫁さんになるー!」……――
身体情報に加えて何とも言い難い情報がわかるようになってしまったんだよ。
とりあえず、新たに村へ来た初対面の人にはどんどん使っていくけど、元から村に居た人には使えなくなってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます