第30話 村の食料事情改善

「この料理は、ポテトサラダっていうんだけど、どうかな?」


 キースさんたちへ出す前に、先ずは手伝ってくれたクレアとソフィの二人に味見してもらう事にした。

 ボールに山盛り作ったポテトを二人の皿に乗せ、早速食べてもらう。


「あ、アデル様っ! これも物凄く美味しいですっ! この白いの……ソフィちゃんが混ぜていたものですよね? これは何ですかっ!?」

「マヨネーズっていう調味料なんだ。また後で作り方を教えるよ」

「領主様ーっ! ソフィ、これ好きっ! 毎日食べたいっ!」


 二人が気に入ってくれたようで、異世界もので定番のマヨネーズと、スキルで出した日本のジャガイモを使ったポテトサラダが凄い早さで減っていく。


「おはよう。早速アデルさんの料理を……って、嬢ちゃんたち! ズルいぞ! 俺も食べたいっ!」

「わっ! 美味しそうな香りが……私もっ! 私にもお願いしますっ!」


 シモンがキースさんとコートニーさんを連れてきて連れて来てくれたと思ったら、すぐさま席に着いて催促してくる。

 いや、かなり大量に作ったから! 量は十二分にあるから、三人とも……というか、五人とも落ち着いてっ!


「ごちそうさまでした……アデルさん。これは、街で売れる味だと思うんだが」

「ははは、考えておきます」

「しかし、今までに食べたことのない味でしたが……」


 キースさんとコートニーさんが、俺の皿に残っているポテトサラダを狙っているけど、それは俺の朝食だからね?

 ひとまず、約束通りポテト料理を振舞ったので、畑に行ってお芋堀をして、採れたてのジャガイモやサツマイモをキースさんたちが追加で購入して帰っていった。

 ちなみに、また来てくれるそうなので、食料品に加えて、様々な作物の種や苗をお願いしている。

 植物を急成長させられるスキルがあるからね。この村の畑で植えれば、日持ちしないからと、運んできてもらえなかった葉物野菜に果物なんかも食べられるようになるからな。

 ただ、今回は日持ちする方だから……と、食料にリンゴが含まれていたので、これは後で種を植えてみようと思う。


「さて、ここからは俺とクレアが頑張る番だな……シモン。村の人たちを集めて欲しい。先程のキースが持って来てくれた衣類や毛布の類を皆で分けよう」

「えっ!? よろしいのですか!?」

「もちろん。というか、今回一番高額で売れたのは、ポテトではなくて魔物の素材だからね。俺はそれを増やしただけ。元はシモンたち村の皆で魔物を倒したからこそ、得られたものなんだ」

「ですが、その増やしたというのが重要な気も……いえ、アデル様。ありがとうございます。早速、村人たちを集めます」


 そう言って、シモンが村の人たちを集めてくれたので、まずは衣類と毛布を配っていく。

 もちろん食料もこの後で配るのだが、クレアの意見で、その前に調理方法のヒアリングをしようという話になっている。

 というのも、クレアを除いた女性の中で、最年長なのがナタリーという少女なのだが、それでも十五歳で、焼くか茹でるかしか調理方法を知らないらしい。

 なので、ポテトは皆調理出来るだろうけど、小麦粉やお米を配っても、食べ方が分からない……となるのが目に見えているからだ。


「わぁ! 領主様ー! この水色のスカート、とっても素敵っ! 本当にありがとー!」


 まずは一人二着、順番に好きな服を選ぶように……と言ったところ、ソフィが可愛らしいスカートを貰ってきたらしく、早速着て見せてくれた。

 うん。物凄く喜んでくれているんだけど、ちょっとサイズが合ってなくないかな?

 というか、スカートが短すぎる!

 だけど、よく見てみると、そもそも運ばれてきた衣類はどれも露出が激しいんだが……キースさん!? 服の質は良いのかもしれないけど、もう少しいろいろと考慮してよっ!

 いやまぁ、村の住人たちについて、平均年齢が低い……としか言わなかった俺も悪いけどさ。


「次は、パスタの作り方を教えまーす!」


 そんな事を考えているうちに、クレアの料理教室が始まり……村人全員が一言一句聞き逃すまいと説明を受けている。

 ……近くに居た住人に聞くと、美味しい物が食べられるようになるのであれば、それくらい当然だと。

 まぁ確かにそれはそうか。

 という訳で、村の家が修繕され、衣類が新調され、食料も皆に行き渡り……村の状態がかなり良くなったと思う。

 このまま順調に村が成長して欲しい……そう考えていたのだが、これから僅か数日後に、すっかり失念してしまっていた、アレが訪れてしまった。

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