第10話 衣類問題
ソフィと遊んだ後、クレアと村を見て回り……改めて、やるべき事が沢山あると痛感する。
とはいえ、一度に全ては解決出来ないのが困ったところだ。
「うーん……」
「アデル様? どうかされたのですか?」
「いや、ソフィたちの服を何とか出来ないかなと思ってさ」
昨日の芋を出すスキルのように、ハズレスキルの組み合わせで何とか出来ないものだろうか。
「そうですね。近くの街へ買いに行く……とかでしょうか?」
「うん。それも良いと思うんだ。だけど、そうすると今度は服を買う為の資金をどうやって確保するのかって話になっちゃうんだよね」
先程シモンに聞いた話では、この村は完全に自給自足で暮らしてきたらしく、他の街と品物の取引などはしていないらしい。
というより、自分たちが食べる分を確保するのも厳しく、他所へ売りに出せるようなものはなかったし、今は魔物の襲撃により尚更何も無いという。
勿論、領主である俺が買ってきて、村人たちに配るという手段も取れるけど、そんなに資金がある訳でもないので、スキルで何とか出来るなら何とかしたい。
「……あ、そういえばクレアに俺のスキルの事を説明していなかったね」
「昨日のポテトを出したスキルの事ですか?」
「そうそう。実は……」
「お、お待ちください。私はアデル様にお仕えするので、当然自身のスキルについてお話ししております。ですが、アデル様のスキルを私に話して良いのでしょうか?」
「勿論。クレアはもう姉みたいな存在だし、家族同然だからね。隠す事なんてないよ」
これは本心でそう思うのだが、
「むー、姉……ですか」
何故かクレアからは微妙なリアクションが返ってきた。
あ、もしかして、クレアはこの村で最年長だという事を気にしているのだろうか。
クレアを姉扱いではなく、妹扱い……いや、日本人としての年齢を加味すれば、クレアは娘くらいの年齢になってしまうし、アデルだけなら妹というのは無理があるか。
……うん。女性に年齢の話はタブーだと言うし、聞かなかった事にしよう。
「実は、スキルを毎日ガチャで取得出来るスキルを持っているんだ」
「ガチャ……って何ですか?」
「あー……じゃあ、実際に見てもらおうか」
村の外れに居るからか、周囲に誰も居ないし、早速ハズレスキルガチャを使用すると、目の前にガチャガチャが現れた。
「これがガチャっていうものなんだけど」
「あの、アデル様。どれの事でしょうか?」
「え? これ……み、見えないの?」
「はい。私には何も……」
なるほど。屋敷に居た時は、誰にも見つからないように気を付けて使っていたけど、そもそも他人には見えないスキルだったのか。
じゃあ、これから隠れて使ったりする必要はなさそうだな。
「じゃあ詳細は割愛するけど、俺は毎日一つ、もしくは十日で十一個のハズレスキルが貰えるんだ」
「ハズレスキル……ですか?」
「あぁ。持っていても大した事のないスキルなんだけど、そのハズレスキルを組み合わせる事で、新たなスキルを得られ……あのポテトを生み出すスキルを得たんだ」
クレアが小首を傾げているけど、ガチャの概念を知らない時点で説明は難しいか。
とりあえず、沢山スキルを持っていて、それを組み合わせて新しいスキルを作る事が出来るという事だけ伝えておいた。
「では、そのスキルの組み合わせ……で、服を作れないかって事を悩まれているのでしょうか?」
「うん、そんな感じだよ」
クレアへの説明は諦め、せっかくガチャガチャを出したし、十ポイント溜まっていたので十連ガチャを回してみる。
――『シャンプーハット』スキルを入手。頭を洗っている時に、目が痛くなりません――
――『攻撃力UP:楽器』スキルを入手。楽器を装備している時、攻撃力が増加します――
――『影絵』スキルを入手。手で影絵が上手に作れます――
――『折り紙』スキルを入手。紙を綺麗に折れます――
――『集中:静音』スキルを入手。周囲が静かな時、集中力が増します――
――『クール・ウォーター』スキルを入手。お湯を冷ませます――
――『防御力UP(弱):針』スキルを入手。針による攻撃に対して防御力が微増します――
――『深爪防止』スキルを入手。爪を切る際に、深爪になるのを防ぎます――
――『コレクト・トラッシュ』スキルを入手。ゴミを一ヶ所に纏めます――
――『識別:土』スキルを入手。土の種類の判定が出来ます――――
――『キュア・レッグクランプス』スキルを入手。吊った足を治せます――
最後のキュア・レッグクランプスは、スキル合成で消えたスキルだが……既にあるスキルが重複して貰える事はないけど、消えたスキルは再び貰える事もあるのか。
今回も、当たりが一つもないハズレスキルを十一個もらった。
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