第11話 スキル合成
今回新たに取得したスキルをノートに書き止め、これまでに取得したスキルと見比べる。
今回のガチャで、合成したスキルも再び得られる事が分かったし、クレアの毒を治した時のように緊急事態という訳でもない。
まぁ早めに解決しなければならない事は沢山あるが……ハズレスキルも四千個ある訳だし、もっとスキル合成を使っていこう。
という訳で、早速衣類問題に役立つのでは? と思ったスキルを組み合わせてみる。
「≪スキル合成≫使用! 器用さUP(弱):扇と防御力UP(弱):針!」
――『器用さUP(弱):針』スキルを入手。針を装備している時に、器用さがUPします――
よし。これで針仕事が出来ると思う。
早速シオンの家に戻ると、ソフィを呼ぶ。
「ソフィ、ちょっと来てくれないか?」
「領主様ー! どうしたのー?」
「そのワンピースに穴が空いているところがあるだろ? それを縫ってあげようと思ってさ」
「わーい! 領主様、ありがとー!」
針仕事をする為に胡坐をかいて床へ座ったら、その上にソフィがちょこんと座る。
いや、これで針仕事をするのは危ないのでは?
でも、ソフィは俺にもたれかかったままジッとしているし、大丈夫か。
「……って、ソフィ。針と糸はあるだろうか?」
「え? お家にそんなのは無いよー?」
なるほど。クレアに裁縫道具を持ってきていないか、目で尋ねてみるも、小さく首を横に振られてしまった。
よし。別の方法を試そう。
いや、考えとしては悪くないと思うんだ。ただ、思っていた以上に足りない物が多過ぎただけで。
という訳で、もう一つ考えていた組み合わせをこっそり試してみる。
「……≪スキル合成≫使用。キュア・レッグクランプスと穴掘り」
――『キュア・ホール』スキルを入手。穴を塞ぐ事が出来ます――
小声でこっそり呟いたけど、ちゃんとスキルが発動し、狙った通りのスキルが出来た。
という訳で、ソフィのワンピースに空いた穴に手をかざし、早速スキルを発動させる。
「≪キュア・ホール≫」
「わぁ! アデル様、凄いです! 服が勝手になおっていきます!」
「領主様、凄ーい!」
親指くらいの、それなりに大きい穴だったのだが、破れた布……というか、糸が再生されていき、自ら元の布に戻っていった。
これは凄い……という事で、シモンも呼んで服をなおしていく。
ただ、あくまで穴をなおすスキルのようで、穴の形状ではない破れについては、なおせなかった。
こっちは、どこかで針と糸を調達して、いつか俺が縫ってあげよう。
そんな事を考えながら、ソフィの洗濯ものの穴も塞いでいると、テレーズがやってきた。
「ねーねー、領主様ー! ソフィから、破れた穴をなおしてもらえるって聞いたのー! 私の服もなおして欲しいのー!」
「お安い御用だ。じゃあ、早速……いや、脱がなくて良いから。≪キュア・ホール≫」
テレーズの服の空いた穴を塞ぐと、少しして他の少女たちもやって来る。
順番に穴を塞いでいくが、少女しか並んでいないのは、見た目に反して実年齢が幼い……小学生くらいだからなのだろう。
俺のイメージだけど、小学生の男の子って見た目を気にしない子が多いよね?
俺が幼い頃は冬でも半ズボンの子が居たし。
「おにーちゃん、ありがとー!」
一番最後の女の子の服をなおし、ひとまず衣類問題は解決……ではないな。
あくまで応急処置であって、根本的な解決になっていない。
とはいえ、この村で糸を作って布にして、そこから服を作るというのは、一朝一夕に出来る事ではないだろう。
現実的に考えると、この村ならではの特産物を作り、近隣の街と取引して服を買うべきなんだろうけど……いや、飛躍し過ぎか。
「シモン。この村では、どういった作物を作っていたんだ?」
「ここでは、主に豆を作っていました。種は残っていますが、植えても育ってきた所で魔物に食べられてしまいますが」
「なるほど。じゃあ次は村の魔物対策だな」
俺がスキルで芋を出し続けるのは構わないけど、それしか食べられないというのは栄養的に良くないだろう。
その為にも、農業が出来る環境にしないと。
暫くノートを眺め、再びスキル合成を使用する事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます