ひらけごま

白川 侑

ひらけごま

雑踏をひとすじなぞりだれひとり動かず杖はやらかく歪む


世界からよどみをすべて掬いあげ 科学の戒名としての魔法


フライング・ホウキのうなる交差点 また大阪が事故率トップ


最適な生活をする豊かさがあるのに濃厚カップ焼きそば


はりぼてのようにも見える青空はにわか雨すら許しはしない


ぼろぼろと泣いてしまった贋作と無理して笑っているモナ・リザと


歩くことだって市民の権利だとブランコ上のきみは吐いてた


名前とか(パーソナルカラーとか)何も知らないままで星を見る夏


コンビニで買ったミネラルウォーターはリンゴみたいな原罪の味


おすすめに出てきた自己啓発本はスワイプ雲の切れ目を探す


ビタミンの色に好かれたきみだから二軒目からはイタリアンかな


サングラス越しに太陽凝視して隔てるほどに剥きだしになる


ひらけごま交互に言って言い合ってきみの声だけ呪文になれた


Artificial Intelligenceに奪われた仕事 野生のパワハラ上司


大門1、これから会話を流します、正しく生きる答えをください


ポートレート/きみ以外全てが背景/全てが背景になりたがってる


指先から流れ出る血の鮮やかさ今日からこれも光とします


魔法瓶でも冷めるスープ 魔法では保てなかったきみのぬくもり


微笑みは崩さないまま火にうもれ5%のガラクタとなる


ロケットがこぼした赤い燃料とジュークボックス 夢が聴こえる

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