第31話 オッサンと門番
誠司と
「失礼、動画の方の確認が出来ました。」
誠司と男の会話に寺島が割って入ってくる。
「小山さんと竹橋さんとの間で意見の齟齬が見られますが、小山さんの方は証言は、概ね他の方から得られた証言や提出して頂いた動画と一致していました、対して竹橋さんは協会に訴えてきた状況とは著しく乖離が見られました。」
寺島が、確認状況を淡々と話す。男の方は竹橋とか言うらしい、誠司はまあ明日には忘れてるなと思う。
「そんなことあるわけ無いだろ!俺は無双してアイツラを見返してやってハーレムを築く男だぞ!!」
「よかったな、追放でざまぁだっけ?出来るぞ。まあ2度と
竹橋と呼ばれた男は顔を赤くしながら絶叫するが、そんな相手に誠司はココぞとばかりに相手を煽って嘲笑う。誠司の挑発に、竹橋は顔色を悪くしながらプルプル震え始めた。
「巫山戯んな!ナメてんじゃねぇぞ、テメェ!!!」
ついに耐えきれなくなったのか、竹橋は腰の剣を引き抜くと誠司に向ける。誠司はそんなマヌケ野郎を鼻で笑う。
「何笑ってんだ!俺は…」
「禁止事項、ロビー内での許可なく抜刀を確認」
竹橋の脇にずっと控えていた雛菊の囁くような声が響く。
「竹橋さん」
「へっ…」
寺島は手にしていたスマホを竹橋に向かって放る、竹橋の注意がスマホに向いた瞬間に寺島の拳が顔面に叩き込まれた。
電光石火もかくやと言うその威力は凄まじく、首が後方に折れ曲がるがそのまま後ろに倒れることは許されない。
雛菊が竹橋の剣を持つ右腕を抑えており、脚を払い、うつ伏せに倒し、その勢いを使い相手の肩を外す。余りの痛みに竹橋は絶叫するが、雛菊は気にすることなく、何処からか取り出した結束バンドで拘束していった。
協会職員の受付はただのお飾りではない、セキュリティーゲートには
「だ、だじげでぐれぇ…」
「竹橋さん、貴方は一つ正しいことを仰りました。『ナメてんじゃねぇぞ』と、我々探索者協会は
雛菊に押さえつけられて
「正直な所を申しますと、私には貴方が何を申しているのかサッパリ理解できません。貴方はずっと助けて頂いてきたでしょう、ボス戦では仲間が怪我を負う中、逃がしてもらいました。その後は仲間を売りタダで帰還させてもらった。貴方はそこで大人しく帰っていればよかったのですよ。
ですが貴方は誰も助けなかった、自分自身もです。それではキチンと落とし前をつけていただきましょう。」
寺島の淡々とした口調に竹橋の顔が絶望に染まる。寺島が手を離すと今度は雛菊が竹橋の頭を取っ掴み、引き摺っていく。
「それから小山さん、余り私達の仕事を増やさないでくださいね。」
「俺のせいじゃねぇだろ…。でもまあ今度差し入れでも用意するわ、今日は大赤字なんでそれで勘弁してくれ。」
「お肉…」
「それはそれは、楽しみにさせていいただきます。」
寺島からの苦情が誠司に飛び火するが、何とかご機嫌取りすることで許してもらうことにした。
そうして二人とバカ一匹が去っていった。
「あの…私達これからどうすれば…」
「だから知らねぇっつの、好きにし…」
連れ帰った三人はチームのリーダーが協会職員に確保された事に戸惑い誠司に声をかけてくるが、誠司はまたかとウンザリしていた所にあるものが目に入る。
「おーい、そこの二人ちょっと来てくれ」
「何用か?」
鎌倉兄弟の大男二人+歩荷の女性がこちらに寄ってくる。女性は何故か凄く楽しそうなのが印象的だ。
「コイツ等面倒見てくれねぇ?そろそろ人増やそうかと思ってたんだろ?」
「「えっ!」」
「むう、たしかにそうだが…お主等ランクは?」
「三人ともDランクです!」
三人は誠司の提案と、大男二人との迫力にビビりながらも返事をする。
「キャリー込みだが四十層まで来れたんだ、多少鍛えりゃCは狙えるだろ。」
「ふむ…一先ず話をさせて貰えるだろうか。」
大男の言葉に、誠司はやっと開放された気がした。
「ああ、後はご両人で話をしてくれ。じゃあ俺は買い取り行くわ。」
大男二人と女性四人がロビーのテーブルスペースに向かうのを見て、誠司も買い取りブースへ行き査定を行う。査定結果は大赤字とまでは行かないまでも、結局赤字となった。
稼ぐために選んだはずなのにと、心の中で愚痴りながら、誠司は今日は缶ビールでも買って帰ってそのまま酔っ払って寝ちまおうと誓った。
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●人物紹介
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最近4人の女性メンバーが加わった。
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