第14話 新シナリオ
別に本編に追加してくれなくともよい。ただ書きたくなったから、書いた。そんなWeb小説家のような遊び心で書いたシナリオ。
私はそのシナリオをすごく楽しく書いた。
どのようなシーンか。アイデアの素材はこのタイミングから察せるであろう。
私たちの火炎竜の討伐からだ。
「何気なく、ただ幸せな魔法学園生活を送っていた主人公一同であったが、突如、ドラゴン討伐の命を受ける……。
そんな感じで文字を打っていると、ササノが口をはさんできた。
「何それ?新しいやつ?」
「はい、ちょっと書きたくなって……」
「ふぅん……。でも、エロゲ何だとしたら、ドラゴン討伐メインは少しちょっとな……。と俺は思うけどな」
「そうなんですか?」
「ああ、ドラゴンはかっこいいだろ?だからWeb小説とかだったら勿論ウケるんだが。エロゲとなると、ドラゴンというかっこいいものから、エロというそんなにかっこよくないものにあまりつながらないと思うんだよ」
「なるほど……」
確かに、私が今書いているこのシナリオはあくまでモンスター退治がメインなのだが、そうとなると、そのモンスターに関したエロシーンを描けるようなシナリオにしなければ、このシーンは何だったんだ?という印象になってしまう。
これに、ドラゴンはどうも合わん。ドラゴン退治をメインにして、素晴らしいエロシーンにつながる気がしない。
「エロいので、定番のモンスターって何だろう?」
私はそのような疑問を抱き、図書館へと向かった。
私の目的はそこにある『世界モンスター文献』なる本の貸し出しだ。
『世界モンスター文献』とはかなり有名な本であり、世界中に生息している全てのモンスターについての情報が載っている優秀な本だ。
そんなことネット(このファンタジー世界にはなぜかネットがある)で調べればいい話じゃないか?と思うかもしれないが、この本の情報量には到底勝らない。
そのため、結構人気な本なのだ。もしかしたら、もう貸し出されてしまっているかもしれない。
「よかったぁ……」
無事目的物の確保が達成したので、貸出手続きを済ませ、部室に持ってきた。
「おお、なかなかぴったしなもん持ってきたな」
「まぁ、素材をですね……」
「ああ、そうか」
ササノはそう言った後、また作業に戻る。
ササノは作業に追われていて忙しそうだ。
とりあえず、私もパソコンを広げて、テキストを打つ。
「エロくするなら、どのモンスターが良いんだろう……」
「こいつならどうだ……」
ササノがいきなり指さしたモンスターは八つの触手を持った大型のタコ型モンスターであった。
「触手責めは日本でもかなり前からあるエロコンテンツだからな」
ちなみに、Wikipediaによると触手責めの起源は葛飾北斎の『蛸と海女』が起源であるとのこと。
「まぁ、絵で表すとこんな感じになるな」
ササノは軽々しく、この作品のメインヒロインのキャラクターが全裸で触手責めされている絵をそこに描いた。
その娘の前進には触手がまとわりついており、身体には多少の水分がついて、みずみずしさを感じさせる。
その娘の頬はこれ以上にないほど赤くなっていた。
「この描写からすると、この娘は主人公に醜態をさらしている感じになるんでしょうか」
「まぁ、辱めを受けているだろうな。このシチュからして」
「まぁ、そうか」
そうしていると、そこに存在感を消していたユウナが声を発した。
「そんな感じの3ⅮCG作ってみたけど、見てみる?」
と言ったので、見せてもらうことにした。
そのCGはなんかすごかった。
「これ、さっき作ったんですか?」
「うん」
「すごっ……」
その画像から、このシナリオをどのようなものにしようか、自分の中で完結した。
*****
「へー。こんなの描いたんだ」
私は一応和俊さんに見せてみた。
「めっちゃいいじゃん。作ってみようか?」
「へ?」
「このくらいだったら、データ量的には行けると思うけど、もともと二枚組の予定だったし、あとは時間の問題だな」
すると、ライナが……。
「ギリギリでよかったらそのくらい行けますよ。デバッグが怠そうだけど」
「なんか、きつくなりそう」
というわけで、私のお陰(せい)でスケジュール表がカツカツになってしまった。
*****
物語の中には多少なりともテンプレートというものがあるものだ。
例えば、きらら系だと、主人公の女の子が相棒ポジの女の子と会うのが定番だったり。
なろう系だと主人公が転生して、チートで俺TUEEになったりだとか。
ちゃんとテンプレートを踏んでいるものはストーリーこそはきれいに綺麗に出来ていると思う……。しかし、どうもオリジナリティに欠けている気がする。
私のシナリオはどうであろうか。
オリジナリティが出すぎて、ストーリーがちゃんとできていなかったりとか。
逆にオリジナリティがなさ過ぎて、面白みに欠けていたりしないだろうか。
この短期間に私は数々のエロゲを遊んできた。しかし結局、良いストーリーというのはイメージは湧かなかった。
そんなことを考えながら、私はまた新しい視点を探すためにエロゲを遊ぶ。そこで私はとあることに気づいた。
視点を変える為にこのエロゲを遊んでいるわけであるが、そう言えば、このミミニアリストに来た時と来る前の私とを比べたら、かなり価値観が違ってきているなと。
来る前の私は当然「エロ」というものは低俗なものであり、触れるべきではないものだと思っていた。かなりお堅かったのだ。
しかし、今はどうだ、自ら率先して「エロ」というものに触れにいっている。
そして、私は思う、自分変わったな……。
それが、果たして良い方に変わったのか、それとも悪い方に変わったのかは私には分からないが。
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