第13話 謎魔獣
ギルドの中でもかなり難易度の高い
その
ちなみに、謎魔獣の為、その正体は不明なのである。
「正体不明、魔力量:S級、所持武器:不明……。分からないものが多い」
「ここまで、不明だとは……」
「正体判別だけでも、報酬は貰えるみたいだけど……。乏しいね」
正体判明だけでは根本の解決にはならないため、報酬はそこまでそこまで貰えないようだ。これだけでは金銭問題は解決しない。
つまり、目指すは依頼完全解決である。
*****
とりあえず、外に出た。
その謎魔獣はどうやらミミニアリスト大平原という魔法都市ミミニアリストの超近い平原のどこかにいるようだ。よって、移動時間はそこまでかからなかった。
これからは骨の折れる、その魔獣を探す作業である。
ギルド情報によると、その魔獣の特徴は……。
①四足歩行
②黒い毛皮
③数本の尻尾
④凄まじい攻撃魔術
というものがあるとのこと。
「とりあえず、この条件に合う化け物を探せばいいのね」
「ああ、ひとまずはそういうことになるな」
「じゃあ、空から探すか……」
私はそう言いながら、自らの身体を魔法によって浮かせた。
「おい、俺、とべねーぞ」
とオサノは言った。
魔法剣士は肉弾戦が主流で、あまり飛ぶことはしない。だから、別に飛べなくても大丈夫なのだが。かなり基礎である飛行魔法が使えないとは……。彼は本当にミミニアリスト魔法学校の生徒なのだろうか。
*****
私が空を飛び、辺りを見渡し始めた頃であった。
「何アレ……」
空びっしりに広がっていたのは。無数の魔法陣であった。
普通クラスの冒険者がこの光景にあったら、死を覚悟していたであろう。
いや、今の私も十分に死を覚悟しているのであるが。
大量の火炎魔法の赤々しい魔法陣。標準は私のほうに向いている。
「ッ!!」
無数の火炎閃光が発射された。
「障壁ッ!!」
とっさに障壁魔法を張った。
つ……強い……。
抑えるだけでも精一杯だ。
しかし、私は何とか振り切った。
「いたぞー!!!」
他の皆に魔獣の存在を知らせた。
まだ、魔獣の正体及び所在地は確認できていない。
しかし、大体の方角は確認できた。ひとまず、その方に威嚇射撃だ。
オサノとライナ、ユウナはその方角に颯爽と走っていった。
しばらく、移動してみると、そこには禍々しい影があった。
言わずも知れた……。『火炎竜』である。その危険度はモンスターの中でもトップクラス。出会えば逃げるが常識のモンスターである。
「おい……。どうする、流石に逃げるか?」
とオサノは提案した。
しかし、私は首を振る。
「いや、こいつ行ける……」
「は?!何言ってるんだよ、田舎者!相手は火炎竜だぞ?!」
魔力充填……。
私の背後から無数の魔法陣が出現した。
「なんだこれ……。魔力量は多いと聞いたが、ここまでとは」
「皆さん!陣形をしっかり保って、先陣組は慎重に攻めてください!」
「お……おう」
「了解」
真剣な私の様子に他の者は圧倒され、思わずそのまま従ってしまった。
「散らばれ!『ライトニングビーム』!!」
無数の光線が放たれた。
それとともに、火炎竜の魔法も発動された。
「隙をつくぜ、ファイアドラゴン……」
オサノはそう言いながら、自らの剣に魔力を込め、火炎竜の肉を切りつけた。
彼にはいつの間にかササノによってかけられた支援魔法のバフがかけられている。そのため、彼の動きは俊敏で、力強い。
「はぁ!!!」
オサノの攻撃は有効だ。火炎竜の身体から、真っ赤な血が吹き出だした。
「次!二人!」
「はい!」
「ん」
ライナとユウナのコンビネーションアタックが火炎竜を襲った。
これも有効。多量の血がまた吹き出す。
その傷の間近にいた前線の方々の身体は真っ赤っかの染まっていた。
「完全に殺人鬼だな」
「君たちはヤスかい?」
そんな隙に私は超光線魔法の充填が完了していた。
「死んで我らがゲームの糧となれ!!」
魔術増強のバフ(Byササノ)により強化された超光線魔法が放たれた。
その魔法は弱小化された火炎竜の脳天に直撃。脳を貫いて、生き物が動くはずがないので、火炎竜は死んだ。
*****
「火炎竜なんかよく倒せましたね……」
ギルドに
「もう、冒険者としても普通に食べれるんじゃありません?」
すると、オサノは無駄のイケメンフェイスで言った。
「いえ、私たちは新たな世界を創造しなければならんのです」
「それは一体……」
「とても素晴らしい、恋愛の世界ですよ」
オサノはそんな風に言った。
彼はこんな風に言っているが、作っているのはただのエロゲである。
「とにかく!活動資金が集まった!しかも、やべー大金だぞこれ!」
何と言っても、火炎竜を倒した報酬だ。
素晴らしい特別報酬が我らがエロゲ開発部には支給されたのである。
支給というか、稼いだのは私たちだが。
*****
後日、とあるグループが火炎竜を討伐したという情報は魔法学校中に出回った。
しかし、その”とあるグループ”がエロゲ開発部という部活の連中というところまでは一部を除いてしら知られることはなかった。
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