第11話 見えないエロス

 ゲーム制作は滞りなく進んでなど……いなかった。

 残り三か月しかないにしては、どうもペースが遅すぎる。これでは全然間に合わない。

 何が進んでいないかと言うと、イラスト作成だ。


「少し、見せすぎではないか?」

「はぁ……?」


 オサノのそのような感想にライナは頭に「?」を浮かべていた。


「見せすぎって……。見せすぎて何が悪いんですか……?」


 ライナはそのような疑問を持っている感じであった。

 そんなライナに私は……


「自分が女なんだから、自分の身体で試してみては?」


 と助言した。


「あなた……。結構やばいこと言ってる自覚ある?」

「ここだと普通では?」


*****


 オサノが求めているモノは何なのであろうか?残念ながら、私には見当もつかなかった。自分でも試してみたら、何か分かるものであろうか……。

 正直、自分、そこまで身体が貧相な方ではないと思う。ライナに比べたら豊かだ。


「失礼な」

「何が?」


 いきなり、ライナが発言したので、つい反射的に返してしまった。

 確かに、失礼なことは考えていたが……。


「それにしても、ライナよ。お前には分からぬか?」

「何が?」


「”見えないエロス”をだ!」

「「見えないエロス?」」


 ライナだけでなく、私もそう言った。


 そこから、今まで存在感を消していたササノが口を出してきた。


「見えないエロスか……。興味深い課題だな。よし、討論会するか」


 すると、ユウナ、ササノはお茶と茶菓子を準備し、前にも行った、エロゲ討論会の準備を始めた。


「また、それやるんですか」

「エロゲ開発のための重要な会議だ。しっかりと執り行わなければない」

「かなり神聖化してますね」

「まあな」


 そう、この部活はかなりこの討論会を大事にしているようだ。理由は分からない。別に聞かなくてもいい気はするが。

 まぁ、良いか。


「とりあえず、始めるか」


「ところで、いきなりですが、”見えないエロス”とは一体」

「分からないか……。なら事細かに開設してやろう」


 すると、オサノの背後からモニターが現れた。


「例えば、この画像を見てもらいたい」


 そこには哀れもない姿をした二次元少女が映し出されていた。


「このエロ画は?」

「これは、ただの二次元少女の全裸画像であるが、どうだろうか?」

「普通にエロいと思います」


「失礼しまーす……」


 突如、部活の扉が開いた。


その入室者とは、度々出てくる、あの生徒会少女であった。


「あ……あなたたち、男女でなにを鑑賞しているんですか?!!」

「いや、これはちょっと誤解が……」


「こんなのに誤解も何もないでしょう!!破廉恥な!!」


 そして、生徒会少女は部屋を飛び出して行った。


「ちょっと、アイツの誤解解いてくる!ササノ!後の進行任せた!」


 オサノは彼女を追いかけて、出て行った。


*****


「ほんじゃ、やっていくか。まぁとりあえず全裸の女の子は勿論エロい、それは周知の事実だと思う。そうだな?」


 私とライナはうんうんと頷いた。そこに実はいるユウナは無反応。


「では、次にこれ」


 次に映されたのは、またもや少女であった。

 しかし、先程のようなど直球エロではない。わいせつ部分はしっかりと隠されている画像であった。


 そう、水着少女だ。


 水着少女がM字開脚している画であったのだ。


「さっきよりかは、刺激少なめですが……」

「これなら、全年齢で出せるね」


 そして、ササノは画像を女の子の股を中心に拡大し始めた。


「この股、どう思う?」

「……どうって」


 私はイマイチ分からなかった。

 しかし、ライナの眼は輝いていた。


「すごく……エロい……」

「ああ、そうだ。”見えないエロス”とは、こういうことだ」


 どういうことだ……?


「分からぬか、このエロス。股の部分にぬの布地があることにより。そのしわに魅力を感じる。それに加え、その奥に存在しうる性器を拝みたいという欲により性欲が引き立たされる」

「実際に見るよりもですか」


「ああ、そうだ!」


 彼は言い張った。人にもよるだろうに。


*****


 誤解を解くため、あの生徒会女を追いかけてきた私であるが、流石生徒会、魔力量がすごく、俊足魔法の効き目も良い為、追いつけずじまいであった。


「どこ行きやがった……」


 見失った。

 このままだと、生徒会室にて我が神聖なる部活に関する変な噂がたち、また廃部通告免除条件が厳しくなる可能性がないとも否めない。


「探知魔法でも使えたら……」


 しかしながら、俺はそんな魔法を使えない。使えるようになった方が良いのは良いがまだ使えない。


 困った……。

 一旦、部室に戻ろうか。急がないといけないが、急がば回れだ。


「ただいま……」

「おう、誤解は解いてきたか?部長」

「いや、奴を見失った」

「まじか」


 ササノの顔は青ざめていた。流石にこのままではまずかろうと思っていたようだ。

 他、ノゾミル以外もその様子。まだ、ノゾミルはこの部活に慣れていないみたい。


「というわけで、奴の場所を突き止める為に探知魔法を使えるやつをここで募集してきたのであるが。使えるやつ?」

「「「はい」」」


 手を挙げたのは女子三人組であった。


「探知魔法って結構器用な奴が習得しやすいらしいからな。何か女子三人って納得」


 ちなみに、ササノは俺と同じく、攻撃魔法専門。

 ライナとユウナは支援魔法専門。


 そしてノゾミルは研究魔術師である。特待生は基本そういう立ち位置で、基本的な魔法なら使用可能なのが、彼女である。


「というか、使う前に私の思うことあるのですが」


 ノゾミルは口を開いた。


「なんだ?」

「その人は生徒会の君なのであれば、普通、生徒会室に戻っているのでは?一応使ってみますが」


 そして。ノゾミルが魔法を使った結果、彼女の反応は案の定、そこにあった。

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