第3話 世界を救う悪役

「すまなかった」

父は座り、頭を地面に着けた。

正直ファンタジーだと思ってしまった。あまりショックとかは無い。これは精神年齢が高いせいか、彼のことを父と思ったことがないせいかは分からない。

そして、この頭の回転を人外的にする力、俺が赤ちゃんの時に考えるという脳に負荷をかける行為を出来たのはそのせいかもしれない。

この理解が早すぎる頭はプルチックの花の力ということか。

「それで、僕にどうしろと?」

「え?」

「父さん、僕は頭が良いんだよ?」

父のおどけた表情が少々面白く自然と笑みがこぼれる。

「そ、そうか、継承されてたか」

「え、継承?」

「あぁ。継承だ」

父が予想していたのは継承ではなく遺伝のはずだ。継承というのは父が僕に力の全てを与えるということ。

つまり今父にはプルチックの力は備わっていない。

「その、プルチックがあるっていう証明方法はあるの?」

「本人にしか分からないが表面的に力が向上するものは人目見て分かるだろう」

つまり俺がこの力を持っているということは父と母、そして俺しか知らないはずだ。

「父さん、僕は何をすればいいの?」


父とはあの後、目標や今後の方針について話し合った。

そして父として王として俺に頭を下げた。

「レント、我国、世界を救うために悪役を演じてくれないか」

彼の計画では、世間にバレていない俺が力を使って各国から共通の敵として認識されて欲しいということだ。そして最終的には全ての王の力を奪う。

正直俺は暗殺者のようにこっそりと各国の王を殺した方が早いと思った。

しかし父は、

「私も最初そう思っていた。しかし、それでは根本的な解決は出来ない。プルチックの力によって戦争は激化したが、その以前から各国はいがみ合いちょくちょく戦争はしていた。それを解決するには共通の敵に対して手を取り合う必要がある。レント、まだこんなに小さい子供に頼むのは馬鹿げているのは承知の上で頼む。この世界を救ってくれ」





転生をした時は誇り高き戦士たちの仲間入りを果たせたのだと思っていた。

しかし、俺が彼らの仲間入りするのはこの世界を救ってからでも遅くはないだろう。きっとそっちの方が胸を張って彼らと肩を並べれるはずだ。







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最凶の均衡者《エクリブリウマー》〜転生したら世界中の標的になるよう育てられました〜 餓狼人 @gamonaira

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