第2話 レント=ヴォルディア

〜父side〜

東に位置する膳国と南の弾国が戦争を始めた。おそらくプルチックの花の奪い合いだろう。

2年前突如魔法という力が我々の頭に刻まれる。突然のことで全世界はパニック状態。世界はぐちゃぐちゃに崩れ落ちるのだと思っていた矢先、我々は魔法という力を本能的に理解し始めた。気づけばそれが当たり前という認識に変わり、生活の一部分へと染まっていった。

しかしそんな幸運は束の間、犯罪率が信じられないほど多発。各国は危機感からブレスダーと言われる世界共通の武力警察を立ち上げ、再び元の世界のような環境整えようと尽力した。

彼らは試験に合格したもののみ入団が許可されるため普通の一般人よりも強力な力を保持する。結果、犯罪率は下がり落ち着きを取り戻しつつあった。

そんな時、各国の王の元に花弁が舞い降りた。空から神々しく落ちる花弁は多くのもの目を奪う。それを見た人々は神からの贈り物だと言う。

しかしそんな素晴らしいものでは無かった。

それを手にした時、私の穴という穴から魔力が溢れ出し爆発した。

他の王も同じ現象が起こったと言うが誰一人命を落とすものはいなかった。

それから少し経ち、我々に変化が起きる。私は元々人より頭が良かったが気づけば、10倍ほど早く物事を考えれるようになった。

他の王も同じく、身体能力が向上したものや魔法が向上したもの、身長が倍以上になったものなど我々の体に変化が起きた。

ここまでは幸運と呼べるだろう。しかし、ここから地獄のような世界へと変わった。

長きに渡り青色と赤色の花弁の王は戦争を繰り広げていた。偶然にも勝敗がこのタイミングで決したのだ。戦争に敗れた赤色の花弁を受け取った王は死んだ。そして、青色の花の王に赤色の花の王の力が受け継がれたという。

そこからそれぞれの王は力を得るため争いを起こした。

我国は大陸の中でも山地に位置し、安易に手を出せるような国でもなかったため巻き込まれなかったが、ここ数年争いは止まない。

私は持てる力を総動員してこの現状をどうにかして打開しようとした。

そして辿り着いたのが私の子を産んだ場合どうなるのかという考えだ。

この道徳心の欠けらも無い行為をすることに罪悪感が芽生え行動に移せなかった頃、彼女に出会った。

町外れの団子屋で働いている彼女に私は全てを話した。少し酒が入っていたからかもしれない。

酒のある男女の間でそのような話はお互いの意識をどうしてもそっちの方に向けてしまう。

いや、私は初めから口実が欲しかったのかもしれない。それでも私達は唇を合わせた。

そして、一夜の過ちとともに、レント=ヴォルディアを生まれた。





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