乙女同盟
猗鴉蛙吾
乙女同盟
制服の余れる丈に
新緑にひとつまじれる病葉に我が身重ぬる教室の窓
紅花を唇にそとこすりつけ夏野の隅に初化粧
中庭の花の名求め図書室の図鑑手繰れば頁に折り目
無線手の「どうぞ」の如くAMENと唱う我らを赦せよ神よ
寮監の
射干玉の黒髪長き乙女らが命短しと駆け急ぎ行く
いける為切り落とされし花の柄に人・間・性とラベルを貼りぬ
学祭の「オペラ座」稽古NG続き哀れブケー氏幾度も死す
花占の「好き」と「嫌い」を搔き集め屑籠へ遣る手つきぞ悲し
初恋の砂糖細工は燃え尽きてあとに残りしカラメル苦し
無防備に微睡む君に衣かけぬ(天国行きも叶う善行!)
入梅に
夕映えを校舎の影よ縫い留めよ今この瞬間を永久にま永久に
薄荷味ばかり残つた罐を振り微笑む君の檸檬の吐息
うかつにも二人寝過ごす雨上がり雲よ湧き消せ伊香保の
雪の降る
惜春の涙は止めどなく流れ拭いし袖の丈ぞ足らざる
乙女同盟 猗鴉蛙吾 @aaaa_tanka
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