二月二十日(日)


緩やかに引いては寄せる二月の日本海。その紺青色に囲われた島全体を睥睨するかのように聳える異形の館。

その館の居間で、岸辺は深い眠りから目を覚ましていた。

白んだ焦点が徐々に定まり始め、目の前の光景が鮮明になる。

館内には既に明るい光が差し込んでおり、居間で舞う埃が陽光に照らされてはっきりと視認できる。

昨日長らく降り続けていた雪がまるで嘘だったように思えるほどの快晴で、少しずつ溶ける積雪が太陽の眩い光を反射している。

静寂の向こうに微かに波のさざめきが聞こえ、この島に来て以来最も平穏な朝だった。

寝ぼけ眼で古時計を確認すると、時刻は八時を過ぎていた。

あれから、一体何時間眠っていたのだろうか・・・かれこれ十二時間以上は眠っていたことになる。

(あと二時間足らずで漸くこの島とおさらばできる・・・)

そんな希望的観測が脳裡に湧き上がり、自然と溜め息が口から漏れ出ていた。

そういえば、渡戸は・・・?気配はない、二階の自室で眠っているのだろうか・・・

そんなことを考えながら立ち上がろうとした時、岸辺はある違和感に気づいた。

立てない・・・というより、動かない・・・手足が、動かない

そもそも昨夜自分はソファで眠ったはずである。しかし今自分がいるのは、居間の中心に位置するテーブルを囲うようにして置かれた椅子の一つ。その原因を探るために首を動かしていた岸辺は、自分の身体を見下ろした所で思わず驚きの声を上げた。

岸辺の両手足は、人質の子供が逃げないように拘束されたかの如く、手足が縄のようなもので椅子に縛られていた。

連続的に脳内に浮かぶ「何故?」という疑問に呼応するかのように、心臓の鼓動は加速し始める。

(まだ零人目が・・・?しかし、あいつは確かに昨日・・・)

自らの置かれた状況を早急に理解するべく、あらゆる可能性を脳内で模索していたその時。

ふと、背後の階段から、コツコツと足音が聞こえてきた。

岸辺は身体を前後に揺らして椅子を背後の方へ少しずつ移動させ、なんとかマントルピースの方へと近づいた。

そうして、岸辺は椅子の後ろで縛られた右手をできるだけ伸ばし・・・やがて、背後でカチッと音が鳴った。

足音はゆっくりとした足取りで階段を降り、段々と近づいてきている。

それまで等間隔で鳴っていた音は、岸辺の背後でピタリと止んだ。

次の瞬間、岸辺は自身の右肩に若干の重さと温もりを感じた。一瞬悪寒が身体中を走り椅子から飛び落ちそうになったが、手足を縛った縄によって、ただ椅子ごとよろめいただけだった。

岸辺は恐る恐る視線だけを移動し、肩に置かれた物体を確認した。

それは、右手だった。どうやら女性の右手らしく、その人差し指にはどこか見覚えのある、小粒程の宝石が装飾された指輪が嵌められている。

「驚いた?」

その瞬間、突如背後から声が聞こえた。

この数日間かなり聴き慣れた、淡々としていてどこか温かみのある、よく通る声。

「何でこんな後ろまで下がってきたの?もっと前に座らないと」

そうして後ろの人間は、岸辺が縛られたままの椅子の背もたれを押して、テーブルの前まで押し戻した後、岸辺の右側を周るようにして岸辺の向かいの席に腰を下ろした。

「おいおい、一体どういうことなんだ・・・」

岸辺は、向かいに座った人間を真正面から睨みつけた。

「どういうことって?」

「何故君がここにいるんだってことだよ・・・川崎良浩」

「何故って・・・生きているからだよ」

川崎はそう云って口元に微笑を湛えながら、右手に持ったその物体をゆらゆらと揺らしている。

岸辺は、そこでようやく川崎の持っている物体に視線を遣った。

「お前・・・握っているそれは・・・」

「えっ、これかい?見れば分かるだろう。これは右手だよ、美姫のね」

透明なゴム手袋のようなものを纏った川崎の右手が握っているのは、紛れもなく人間の右手だった。

五本の華奢な指の其々が綺麗に伸ばされているが、その全てが今や赤紫色に変色している。

尺骨の途中、手首の下で分断されたその断面からは、今も尚ポタポタと血が滴り落ちており、机上を赤に染めている。

「訳がわからない、渡戸はどうした?」

「ん?美姫はもう既に部屋で眠っているよ」

「は?何を云っているんだ、お前」

「落ち着いてくれよ、岸辺。君には探偵役としてだけでなく、唯一の観客としての役割も任せていたんだ。だから元から、君には最後に全部話す気でいたんだよ。まだ時間はあるから、ゆっくりと聞いてくれればいいから」

川崎は上方に掛かった時計から視線を戻すと、その青白い顔に笑みを浮かべながら云った。

「全部・・・どういうことだ?」

「ん〜、言葉にするのは中々難しんだけど・・・云うなれば、僕の演出した脚本について、かな・・・」

「演出・・・ふざけているのか。第一お前は零人目と共に崖から落ちたはずだ」

「だから、それも演出だよ。そもそも零人目なんていうのは、何処にも存在しないんだ。まぁ、強いて云うなら僕が零人目ってことになるかもしれないな」

岸辺は困惑する頭を落ち着かせようとするが、目の前にいる川崎の得体の知れない笑みに萎縮したまま、思考を再開できない。

「まぁ、まずは聞いてくれ。質問はそれからでもいいだろう。まだ時間はあるんだからさ」

川崎はそう云ってこれまで握っていた肉塊を置くと、テーブルの上に頬杖を突きながら滔滔と話し始めた。

「君が気になっているであろう疑問、結論から云うと四人を殺したのは僕だ、四人全員ね。これは最初から、僕と君との知力比べだったんだ。絶海の孤島に聳える奇妙な館を舞台にした探偵と殺人鬼の知力対決、どうだ、心踊る設定だろう」

川崎は肩を竦めながら両手を広げ、訴えかけるような眼差しで岸辺に尋ねる。

岸辺はただ唖然とした面持ちで、口をポカンと開けたまま動かない。

「時系列順に話した方が分かりやすいかなぁ」と、川崎は頬杖を突きながら宙を見据え、

「じゃあ、え〜っと、まずは準備段階から。実は裕子と美姫が以前この島に来ていたように、僕も歩と共に前にこの島に来ていたんだよ。歩の親の会社も、館内の設備の修理を請け負っていたからね。前から歩とは、この島で何か四人に悪戯をしようという話をしていたんだ。ドッキリといった方が良いかもしれないな。初日に帆留がした、あのくだらない悪戯、覚えているかい?あんな感じで僕は、この島に前々から存在するあの都市伝説を利用して、[狂人が本当にこの島にいる]・・・君の云葉を借りれば———零人目ドッキリ———って感じになるかな・・・そんなドッキリを初日にして、二日目か三日目にはネタバラシをするっていう計画を歩に伝えたら、彼も完全に乗り気になってね。そうして、あの石仮面や鉄斧、偽の盗聴器を下見の時に持ってきて、二人で予め配置しておいたんだよ。でも、彼は当然僕の本当の目的を知らないから、実際に零人目による殺人が起きたとなれば、歩は真っ先に僕を疑うことになる。だから、彼には早々に退場してもらったって訳さ」

川崎はそこまで話すと、卓上に投げ出されていた煙草にライターで火を付け、ゆっくりと一度吹かした。

「それに、六人の中に殺人犯がいるとなれば、まず君は正確に犯人を見抜くだろうと思ったから、他に人間がいるという零人目の捏造と、意味ありげな一連の見立てによって君の疑いの目を僕に向けられないようにした。それが想像以上に功を奏し、君は零人目説を疑うどころか、君自身が様々な根拠のない推測を並べることで、知らず知らずの内にこの節に説得力を持たせてくれていたんだよ。いやぁ本当に助かった」

川崎はそう云うと、胸に手を当てて大きく息を吐いた。

岸辺は大量の脂汗を額に浮かべながら、ようやく重たい口を開いた。

「でも君は初日の夜、ずっと居間にいただろう・・・」

「歩の死因について、君は絞殺だと結論づけていたよね。でも、実際はそうではないとしたら?」

川崎はそういうと無云で岸辺の顔を眺め、彼の返答を伺っていた。

「えっ・・・・・・」

「分からないかい?駄目だなぁ、君は。あの時と全然変わっていないじゃあないか。ほら、絞殺死体特有の、顔の変色や瞼や粘膜の溢血班、それに排泄跡。歩の遺体にはこれがなかっただろう。彼の死因は薬物の過剰摂取だよ。彼が薬物を使用しているのは前から知っていたから、初日の夕食前に予め、あの小包に同じ色の毒物をチャチャっと入れておいたのさ。そうしたらどうだ。想定以上に丁度良い時間に逝ってくれたから、僕のアリバイは君の死体検証によって確固たるものになったって訳。その点、歩には感謝しなければいけない。それで君と解散した後、既に死亡した歩の部屋に入って遺体の首をタオルで締め、まだ死後硬直の進んでいない両手を動かして鉄砲を持たせることで、第一の見立ては無事完成したってことさ。君が推定した歩の死亡推定時刻は、歩が毒で死んだ時間を指していたんだよ」

突如として流れ込んでくる恣意性を孕んだ云葉の数々に、岸辺は半ば放心状態になっていた。

「何か云いたいことはないかい?」

「二日目に歩の部屋に五人で入る前、渡戸は再び鍵を盗まれていたな。あれは君の仕業だったとしても、零人目が何故わざわざ現場に残していったように見せかけた?」

川崎は右ポケットに右手を入れると、指でつまみ上げたそれを顔の前でゆらゆらと揺らした。

「これは、ついさっきまで君がポケットに入れて持っていた鍵だ。眠っている間にお借りした」

そうしていたかと思うと再び、反対の手で左ポケットから何かを取り出した。

「そして、これが僕の使っていた二つ目の鍵だ。そう、マスターキーは最初から二つあったんだよ」

川崎は、その二つの秘鑰を指先でクルクルと回転させながら、得意げに云った。

「これも悪戯に使えるという僕の提案で歩の会社で作ってもらったんだ。これは、美姫にもその叔父にも秘密でね。鍵を歩の殺害現場に残した理由は、鍵は一つしかないと君たちに思ってもらうためさ。実は、初日に歩の行ったあの悪戯も、僕達よりも先に館に着いた歩が館内に入るには———美姫が持っていた唯一の鍵を借りて入るしかなかった————と、君たちに思わせる機能を果たしてくれたんだ」

そこまで云い終えた川崎は、初日の悪戯で帆留がしていた苦悶の表情を冗談めかしく真似ると、自分で吹き出しながら、視線を岸辺の方に戻した。

「そして君達が鍵は一つしか存在しないと思い込んでいる間に、僕はこの二つ目を使って美姫の部屋から盗んだ一つ目の鍵を歩の殺害現場に残すことで、君達は零人目が盗んでここに置いていったと疑った。どちらがやったにせよ、唯一のマスターキーを取り戻した君達は、捜索によって零人目は館内にいないと確信したことで、零人目が侵入してこない限りは館の中は安全だという暗黙の了解が生まれた。その安心によって君達に油断が生まれたんだ。二つの扉だけに警戒心を向け始めて、外には一切出なくなった。それによって、僕は自由に館外で行動できるようになったと同時に、二階での行動もかなり楽になったんだよ」

岸辺は茫然自失の面持ちで、口を一文字に結んでいる。

「他に質問はあるかい?この際だからなんでも答えさせてもらうけど」

川崎は今一度頬杖をついて岸辺の反応を伺ったが、岸辺は視線を床に落としたまま何も答えない。

「質問は以上みたいだからこのまま続けさせてもらうね。次はええと・・・悟か。正直悟がここまで活躍してくれるとは思ってもみなかったよ。僕の想像以上の働きをしてくれたから、彼にも是非感謝したい」

川崎は満足げな表情で数回拍手をすると、突然思い出したように、

「そういえば彼、二日目の君との見張りの際、脳内に語りかけるような男性の声が聞こえるっていってたよね。恐らくなんだけど、あれ僕の声だったんじゃないかなぁ。と云うのも、あれは僕が意図的に行ったことではないんだ。あの時僕は部屋で、携帯で本土のあの船木さんと通信を行っていた。それはあの鉄塔を媒介とした通信だったから、あれが偶然骨伝導によって悟にも聞こえてしまったんだと思うんだけどね」

懐かしい過去を思い出すように宙を見据えていた川崎は、突然真剣な面持ちで岸辺の方を見た。

「君、知ってるかい?骨伝導って。アメリカで、何処からともなく犯罪の計画を立てる声が聞こえてくるという女性が警察に通報して調べてもらった結果、近くの家のテレビで流れていた犯罪ドラマの音声が、その女性の銀歯を通して聞こえてきていたっていうやつだ。聞いたことがあるだろう?悟も奥歯に銀歯があったじゃあないか、あれが多分鉄塔から発される電波を受信してしまったんだろうね」

川崎は右方に顔を向け、下部だけが見える鳶色の鉄塔を指差しながらそう云うと、頭の後ろで両手を組み、椅子の背凭れに凭れかかって、

「でも驚いたよ、悟が男性の声が聞こえるっていうから。だって、彼と君以外の男性ってもう僕しかいないじゃあないか。だから僕は内心ヒヤヒヤしていたんだよ。もしかしたら、悟があの声の正体が僕だってことにいずれ気づいてしまうかもしれないとね。だから、予定していたよりも早く悟に退場してもらったとともに、僕は途中からプランBに変更したんだ」

「プランB?」

岸辺は項垂れるように顔をしたの向けたまま、虚ろな目を川崎の方へ向けた。

「まあ、いずれ分かるよ。そういえば、その後君が見たという窓の外の石仮面。あれは僕の演出だよ。仕組みは単純、倉庫から持って来た釣り竿の先に石仮面を引っ掛けて、僕の部屋の窓の隙間から吊り下げただけさ。僕の部屋は丁度あの窓の真上だったからね、既に陽が落ちて暗くなっていたこともあって、君はあれが零人目だと信じてくれたみたいだね」

川崎は初日の夜、仲間達と語り合っていた時と同じ笑みを口許に浮かべながら、真っ直ぐに岸辺の目を見ながら続ける。

「悟の見立ては、まさに君が推測した通りだよ。フーゴのスタンド〔パープルヘイズ〕の、致死性の毒。まぁもう一つ君の為に込めた意味があるんだけど、その様子だとまだピンときていないよね。肝心のあの毒、青酸カリを入れたタイミングなんだけど、悟が苦しみ始める少し前にあのレコードから異音がしただろう。あれが合図みたいなものだったんだ」

川崎は、岸辺の背後に位置するマントルピースに置かれたレコードを指さしながら云った。

「あの時流れていたレコードは予め僕が録音して持って来ていたもので、再生開始から丁度二十分であの異音が流れ出すようになっていたのさ。それにレコードの位置。あのレコードは、あの時と同じ席に座っている今の君の丁度背後で、僕から見て丁度真正面。君達四人は一斉に君の背後のレコードの方を振り返ったから、僕の位置は誰にとっても死角になっていた。その一瞬でポケットに入れていた青酸カリを悟の目の前のコーヒーカップにポンっと入れたっていう訳だね。ただこれを見立てとするのは厳しかった。まぁまずフーゴが作中で死んでいないってのもあるんだが、第一零人目がやったとするには、予め悟がどのコップを使うのかを知りながらそのカップにだけ毒を盛るなんてできる訳ないじゃあないか。これは美姫が指摘していたけど、全く痛い所突かれたよ」

川崎は右手で頭を抱えながらそう云うと、再び笑みを浮かべながら岸辺の方を見て、

「結局これも君が、偶然悟だっただけだと纏めてくれたおかげで助かったんだけどね」

逆光で隠れていた川崎の顔は徐々に灯りに照らされ始め、いつのまにか、スポットライトの下で独白を行う役者のようにも思える。

「次は裕子か。裕子は大分早くから精神的に参ってしまっていたから、全然駄目だったね。ちょっとガッカリした」

川崎は宙を見据えながらそう呟くと、大袈裟に肩を竦めた。

「にしても正直あの時が一番きつかったよ、あの吹雪」

「あの、僕達が出る前に既にあった足跡はどういうことなんだ・・・」

その質問を聞いた川崎は一層笑みを深めながら何度も頷いて、

「うんうん、そこが味噌なんだよ。流石だね、岸辺。まずは、君たち三人を眠らせた方法からなんだが、あれも君の推測通り、ポットの注ぎ口に大量の睡眠薬を塗っておいただけだ。僕は食べている素振りをしながら口をつけずに、二人が眠るのを待っていた。本来なら君も一緒に食べて眠ってもらう予定だったんだが、想定外の熱が出てしまったからね。でもその分、風邪薬と偽って錠剤の睡眠薬を飲ませることができたから万事休すだった」

自分の犯行を自慢するような口調でそう云うと、突然真顔に戻り、

「あの時は君に云われた紫色の薬を飲ますことができなくて悪かったね。如何せんあの時は僕も必死でさ。申し訳ない」

と至って真剣な様子で、両の掌を合わせながら頭を上げた。

(こいつはさっきから、一体何を云っているんだ・・・)

岸辺は、目の前で意気揚々と語り続けるこの人間に、得体の知れない不気味さを感じている。

手振りを交えながら、自らの行った犯行を嬉々として語る様子は、学校での自分の功績を母親に自慢する純真な小学生のようでもあった。

川崎は数秒間下げていた頭を突然上げると、

「そうして三人を眠らせることができた僕は、裕子が眠っている間に服を着替えさせて外の柵まで両手を引っ張っていき、柵の前で腰の付け根辺りをナイフで突き刺した。そこで君の云っていた通り、あのジョルノの見立てを行おうとしたんだが、吹雪や疲労によって、君達が目覚めるまでに完全な工作を終えるのは不可能だと判断して、裕子をあの体勢のまま残して館に戻った。その後は眠ったふりをしながら、君達が目覚めるのを待っていたんだ。本当は零人目が外部から館に入って来た痕跡として、扉を外側から斧で壊しておきたかったんだが、その音で起きられてしまったら元も子もないからね」

「・・・春野の遺体から崖まで続いていたあの足跡は?」

岸辺はまたぞろ抑揚のない声で尋ねた。

「良い質問だ、ちょっと待っててくれ。実物を持ってきた方が説明しやすい」

川崎は一度指を鳴らしながらそう云うと、そそくさと腰を上げて階段を上っていった。

すぐさま川崎は居間に戻ってくると、両手に持っている二足の靴を岸辺の前に突き出した。

黒色の表面に白色の靴紐が編み込まれた一般的な登山用ブーツ、かなり分厚いプラスチック製の靴底は雪上の歩行にも対応しているのだろう。

「君から見て右の方のこの靴、どこかが普通の靴と違っているんだが分かるかい?」

川崎は両手に一つずつ持った靴を岸辺の前に差し出しながら尋ねた。

岸辺は虚な目でその靴を眺めるが、どこか違和感を覚えるものの、具体的にどこが異常なのかを特定できず、口を噤んだまま首を傾げた。ややあって、その靴を眺めていた岸辺の口が開かれた。

「靴底の形状か・・・」

「そう、正解だ」と云うと、川崎は二つの靴を持ち上げ、その裏側を岸辺に向けながら、

「靴底意外は普通のブーツと何ら変わらないんだが、この靴底、本来付くはずの足跡の反対方向に進んでいるような足跡をつけられる代物なんだ。左足の靴底の形状が、反対方向に進む右足の形状になっている。つまり、この靴を履いて雪上を十メートル歩けば、地面には反対に十メートル地点からスタート地点まで歩いたような足跡ができるってことさ。これは僕が頼んで歩の親の会社で作ってもらったんだが、興味が無いのか能が無いのか、歩はドッキリの道具だとしか思わずまるで疑う様子もなかったけどね」

川崎はそうして二つの靴を床に置きながら、岸辺に向かってニヤリと微笑むと、

「そうしてこの、靴裏が逆になった靴——もう一つ——と、これと全く同じ種類、同じサイズの普通の一足を使って零人目の足跡を演出したのさ。二人とも崖から落ちて死んだことになっているのに、そこから館に戻ってくる足跡があったら可笑しいからね。君達三人が眠ってから裕子を外に連れ出す時一緒に零人目の足跡を演出した。この普通の方を履いて一度館の外に出て柵の方まで歩く。そこで裕子を降ろして小屋まで向かい、そこから出た後何歩か進んだところで突然一八〇度向きを変え、それ以降大きな歩幅で歩くことで、あたかもそこで、追ってきた〝僕〟と鉢合わせた零人目が崖の方へ逃げていったという状況証拠を予めつくっておいたのさ。そして、崖の方まで進んで二人が揉み合ったような乱雑な足跡を残し、そこでこの——もう一つ———に履き替えて、これまで付けた足跡の上を辿って館まで戻り、そこで初日から履いていた別の靴に履き替える・・・その後は、君と美姫と再び外に出て裕子を発見し、そこからは僕、川崎として零人目を追うように足跡を残したんだ」

川崎は殆ど息継ぎすることなくそこまで云い終えると、一度深く息を吸い込んだ。

「ただ、その際に君達も一緒に零人目の捜索に来るとなると、この工作も台無しになってしまっていたから、君が熱を出してくれていたのは僥倖だったよ・・・しかし、あの体調で裕子を館内に運び込むのは大変だったろう・・・」

川崎は同情や哀れみの混じったような視線を岸辺に向けた。

「あの二つの遺体は?あの海に落ちていた遺体・・・あれはとても人形には見えなかったが・・・」

岸辺は抑揚のない声で呟きながら、顰め面で首を傾げ・・・少しの熟考の末ハッと顔を上げた。

「——————巳風と帆留か」

川崎は、生徒が正しい答えを答えた時の先生のようにパチンと手を叩いて、

「そう、遺体の摺り替えだよ」と一言呟くと、

「零人目説が出て以降誰も外に出なくなっただろう。だから、僕は殆ど自由に動けるようになってね。二日目の夜の見張りの時、美姫を睡眠薬で眠らせている間に、二人の遺体を台車で崖近くまで運んでおいた。それで崖に着き次第、悟には僕の着ていた黒ダウン、歩には小屋に隠していた別のジャンパーを着せて、二人には川崎良弘と零人目として、崖下で演技してもらったというのがトリックさ。あの高さだ、どんなに目を凝らしても精々シルエットしか見えないからね」

「巳風のカメラもお前が?」

「おお、よく気づいたね。遺体の摺り替えが見破られることにおいて、あれだけが脅威だったから・・・でもその様子だと歩と悟の部屋には入らなかったみたいだね。遺体の消失に気づかれていたら少し面倒になっていたかもしれないな」

「そもそも、何故自ら死んだように見せかけた?館内の世論は完全に零人目説に傾き、誰も君を疑っていなかったはずだ」

岸辺の問いかけに、川崎は視線を上方に外しながら、少しの間口を噤んだ。

「僕は完璧主義者でね。せっかく何年も前から温めておいたこの完璧な計画に、不安要素が少しでも生じるのが許せなかった。それがあの、悟の聞いた僕の声だ。僕は恐れた。あの声を聞いた悟が僕を怪しむんじゃあないか、それを君に伝えて君も僕を疑うんじゃあないかとね。余談なんだが、君。殺人犯が探偵の目から逃れる二つの方法を知っているかい?これは小説内でも云えることなんだが、どうだ?」

川崎は正面から岸辺の目を見据え、返事を伺っている。

「まずは完全なアリバイの内側にいること、次に自らを死に追いやって容疑者の枠の外に出ること」

岸辺は首をガックリと落としながら、上目遣いで川崎を睨みつけている。

「その通り、まず僕は初日の夜に君と居ることで一つ目を実行した。だが、予想外の出来事によってこの完璧な計画を脅かす不安要素が生まれた。だから、僕はプランBを実行し、強制的に容疑者の枠組みから逃れたのさ。正直にいって本当に実行することになるとは思っていなかったんだがね」

「そうして小屋で夜を明かし、今日に至る。いやぁ、本当に寒かったなぁ。いくら着込んでも、あの荒屋で夜を越すのが正直一番キツかった。まぁいいや。それで次は美姫だね。美姫は終始皆を気にかけてくれていて、良い役割を果たしてくれた・・・そういえば、君煙草吸いたくないかい?持ってきた分は全部吸い終えてしまったみたいだから、口も寂しいだろう」

岸辺の無反応を[YES]だと捉えた川崎は、ポケットからタバコを二本取り出して一本を自分の口に銜えると、机の上に身を乗り出して、椅子の上に固定された岸辺の口に火のついた一本を咥えさせた。

川崎は再び椅子の腰掛けると、再び横に飛び出した足を組みながら自分の分にも火を付けた。

「それでなんだっけ・・・あ、そうだ、美姫の見立ての話か。あれはいうなれば、彼女の名前に関する見立てじゃあなくて、僕の名前に関連した見立てかな。吉良吉影の」

「吉良吉影・・・君と名前の関連があるのは、川尻浩作だろう?」

「実は、僕の今の名前は、吉田良浩なんだ。まぁ、川尻浩作も吉良吉影も同一人物だから大した変化はないんだが・・・ちょっと複雑な事情で・・・父さんは五年ほど前に母さんと離婚していてね。僕は父、川崎康太に引き取られたんだが、彼が三年前に死んでからは、母に引き取られて母方の姓、吉田になったってわけさ。このことは誰にも云ってなかったんだけどね。それで、あのジョジョの登場人物との名前の関連性。初日に歩の名前が[ポルポ]にも読めるってことを悟にそれとなく仄かして、あの時に話してもらったんだ。他の名前の関連についても当然僕は前から気づいていて、他の人が気づかなければ僕から話すつもりだった。しかし、自分の名前については考えていなかったから、以前君が云っていた、川崎良浩と川尻浩作の共通の二文字・・・あれにはマジに驚いたよ。ただ、これが今や、吉良吉影にも云えるってことさ。こんな奇妙な偶然あるもんかね。岸辺を殺すのが作中通り吉良になるっていうんだから」

「だから、渡戸の右手を切り落としたと・・・」

「まぁね、正直もうやる必要は全く無かったんだが、一人だけ装飾無しってのも少し可哀想だったから。譲の見立ても一応用意してたんだけど・・・まぁ彼の欠席によって一つ手順が減ったから、僕にとっても好都合だったんだけどね」

「・・・君がそこまで拘った見立てには何の意味があった?」

吉田は突然にこやかだった顔を強ばらせ、溜息を吐きながら真っ直ぐに岸辺の顔に視線を向けた。

「さっきも云ったろう。一連の見立てに、これっぽっちも意味なんかないよ。零人目の存在の捏造やジョジョの見立ては、僕の本当の目的に気付かせないためのブラフに過ぎないって。君があのことを思い出させるために、各所に暗示的な表現は盛り込んだがね・・・」

「君がさっきから云っている、あのこととは・・・一体何だ?」

それを聞いた川崎の表情はみるみるうちに正気を失いはじめ、肩をわなわなと震わせ始めた。

「本当に思い出していないとは・・・君の脳は随分都合良くできているみたいで羨ましいよ。出来れば僕の口からではなく、君自身に思い出してもらいたかったんだが・・・この際だから、仕方がない」

川崎は足を組み直しながら、宙を見据えて深くタバコの息を吐き出した。

「君が僕の妹、詩穂を殺したことだよ」

その瞬間、岸辺の脳内で分散していた無数の記憶の断片が結合を始め、欠けていた最後のピースが嵌められて完成したパズルのように、突如として確かな形を持って蘇った。

(これが、僕自身が無意識へと追いやっていた記憶・・・・・・)

岸辺の目はカッと開かれており、その下の口は大きく開かれている。愕然とした面持ちで肩を震わせ、今無意識から呼び起こされた記憶を現実のものとして受け取っていいのか葛藤を続けている。

岸辺の脳裏には、走馬灯のように幾つもの記憶が断片的な映像として再生される。

沈みかけた夕日を照りかえす草原・・・苦しみもがく少女・・・慌てふためく二つの影・・・額に流れ落ちる脂汗・・・近づいてくるサイレン・・・そして・・・そして、感情を失った良浩の目・・・

「おや、その様子だと少しは思い出したみたいだね。あれは今から八年前、八月二十三日。忘れもしない、詩穂の命日だ。あの日川辺の草原で僕達二人と遊んでいた詩穂は突然倒れて苦しみ出した。詩穂は生まれつき心臓に問題があって、それが障ったんだろう。だが、すぐに救急車を呼ぼうとした僕を呼び止め、君は詩穂を熱中症だと断言し、父親から教わったとかいう、たかが中学生の医療知識で蛮勇にも詩穂の応急処置を行おうとした。君のその誤った処置のせいで救急車が来るのが遅れ、君の父の病院に運び込まれた数時間後に詩穂は息を引き取った・・・」

吉田はこれまでの冷静な態度から豹変し、震えていた声を唐突に荒げた。

「あの時、すぐに救急車を呼んでいれば・・・あの時詩穂の容態は決して助からない程のものじゃなかった。それを・・・君のその物事を断定したがる性格と自らを信じて疑うことのないエゴのせいで、これからも続くはずだった詩穂の人生は奪われたんだ」

吉田は銜えていた煙草を力任せに握りつぶし、床に叩きつけた。

(何故僕は、こんなことを・・・こんなことを忘れていたんだ・・・)

吉田は、これまで岸辺を睨みつけていた両目を一度閉じると、再び穏やかな表情をつくりながら目を開き、半ば自嘲気味に話し始めた。

「そして、詩穂の死をきっかけに母は精神を病んで離婚。父親も精神的に参っちまって持病を再発。仕事なんて手につかなくなって、業績の悪化していた会社を売却してからは、ずっと病院で寝たきりだったよ。特に晩年はキツかった。いつも笑顔で活力に満ち溢れていた父の心身が、あんな風に徐々に蝕まれていくのを目の前で見届けなければならないなんて。あれはもはや拷問だったよ」

片方の口角だけを釣り上げながらそう云うと、吉田はそこで溜息をついた。

「結局治療なんて全く役に立たず、呆気なくこの世を去った。こうして、僕は家族全員を瞬く間に奪われたんだ、君にね。それを理解してくれたかな、岸辺」

吉田はテーブルの上に頬杖をつきながら顔を傾げ、再び岸辺を正面から見据える。

(僕が詩穂を・・・ああ・・・)

「ちなみに、ジョジョの見立てには意味はないと云ったが、君への暗示は込めていたんだ。君が犯した罪についてのね。まず第一の殺人、君が絞殺だと結論づけた歩の死には、———誤った原因の特定———。これは、君が判断を誤ることで成立する見立てだから、君に気づかせるつもりは無かったんだが。そして第二の殺人、君の目の前で息絶えた悟の死には、———応急処置の失敗———。第三の殺人、裕子の死には、———目の前で命尽きた、青いワンピースのた少女———だ。だがこの二つも、君には意味がなかったみたいだけどね・・・全く、本当に都合の良い脳みそだ」

吉田は完全に呆れ返った様子で、深く溜息をついた。

岸辺は未だに口をポカンと開けたまま、心ここにあらずという様子で宙を見つめている。

「すまない・・・本当にすまない・・・あの時は・・・本当にすまない・・・」

「まぁ、もういいんだよ。もうすぐ詩穂の復讐は果たされるのだからさ。これから[最後の殺人]を以ってして君は死に、この作品は真の幕引きを迎える。」

「最後の殺人・・・単純に疑問なんだが、僕はどうやって殺される?[キラー・クイーン]の[バイツァー・ダスト]によって岸辺露伴は一度爆死したように、僕も爆死なのかな・・・?」

岸辺は臨界点を超えた自責の念に耐えきれず、半ば自暴自棄になりながら尋ねた。

「えっ・・・ああ、云ってなかったか。僕は君を殺さない、君が僕を殺すんだよ。君に与えるのは実質的な死ではない、社会的な死だ。この事件を報じる新聞が伝える犯人の名前は岸辺、君だよ。」

「・・・は?どういうことだ・・・」

「初日に洗面台に掛かっていたタオルが、二日目以降別の物に変わったことに気づいたかな?僕があれを取り替えて、君の指紋がついたタオルで歩の首を絞めたのさ。美姫と裕子を殺したナイフも、君が護身用に部屋に持っていったものだし、歩と悟に盛った毒物の小包にも君の指紋しか残っていない。そして、それも君の大学の研究室から盗んだものだから安心してくれ。それにしても、ここが一番時間がかかったし、大変だったよ。だって失敗できないからね。それで・・・・ああ、雪上につけた足跡も。君が持っているスニーカー三種類の靴底と同じ模様の靴をそれぞれ事前に用意しておいて、この島に君が履いてきた靴の底と同じ模様のものを、零人目用の足跡をつけるのに使用したんだが、この天気だと警察が来る頃には痕は消えてしまうかもしれないね・・・」

川崎は後ろを振り向いて窓の外を眺めると、すぐさま岸辺の方に顔を戻して、

「まぁ、というわけで、どんなに警察に無実を訴えても、この館のあらゆる状況証拠が犯人は君だと明示しているんだよ。こうして君は、友人五人を惨殺した極悪非道の殺人犯として報じられ、世間に君の悪評が広まる。君は殺人犯として自らの犯した過ちを悔やみながら一生を牢の中で過ごし、殺人犯の息子を持った君の父親も、天田の非難を受けながら病院を畳むことになるんだよ。これが僕の真の目的だったのさ」

吉田は穏やかな面持ちで顔を上げ、表情を伺うように、項垂れている岸辺の顔を覗き見た。

「お前・・・そのために、なんの罪も無い四人を・・・」

「ああ、そうだね。歩に悟、美姫、裕子。四人には少しも罪もなければ、恨みもない。皆大切な友人だよ。ただ、この計画にはどうしても犠牲が必要だった。だから、四人には仕方なくその役をしてもらうことにしたんだ。勿論僕だって心が傷んだよ、今だって苦しいさ。仕方ないだろう・・・」

吉田は眉間に皺を寄せながら、強く握った拳で一度テーブルを叩いた。

「君には、これから歩の部屋にあった・・・じきに君の鞄の中になるんだが・・・これでオーバードーズになって眠ってもらう。そして僕は館全体の最終確認を終えたのち、自ら眠りにつく。既に海本気さんには、君が薬物を使用して狂乱状態になっていると伝えてあるから、迎えの時間に僕達が浜辺に来なければすぐに警察に通報してくれることになっている。そうしてこの島に来た警察は、五つの死体と、薬物中毒状態の君を発見することになるって算段さ。これで伝えるべきことは全部伝えたかな・・・迎えの十時まであと四十分か・・・何か聞きたいこととか、云いたいことがあればご自由にどうぞ」

吉田は上方の時計の方を見上げながら、ポケットから小包とガムテープを取り出した。

「特に無いよ。強いていうなら、川崎・・・いや吉田か。これが本当に、君の云っていた僕との知力対決であったなら、僕の完敗だ、全くもって天晴れだよ」

「そうかい、それは良かった。じゃあ、岸辺。これからも頑張れよ、応援してるから」

吉田はきめ細やかな白い粉末の入ったその小包の口を開いて机の上に一度置くと、ガムテープを一巻き程ちぎり取りながら岸辺の前まで移動し、開かれたままのその口を覆い隠すように貼った。

「じゃあ岸辺、おやすみ」

開かれた小包の口が岸辺の鼻周りを覆った。

鼻から吐き出された空気によって袋の中の粉末が舞い、吸いこむ空気と共に岸辺の体内に闖入した。

程なくして岸辺のあらゆる感覚は機能を停止し、体内を取り巻いていた疲労や不安、恐怖が一瞬のうちに消え失せた。

目の前にぼんやりと浮かぶ吉田と巳風、帆留、春野、渡戸に見守られながら、岸辺の意識は異様な浮遊感の中に溶けていった。



二月二十一日(月)


外光の遮断された薄暗い長方形の部屋。机の前に一つ置かれた銀色のパイプ椅子に、岸辺は座っていた。

だらりと開いた口の上の虚な目は、部屋の右上に張られた蜘蛛の巣を一点に見つめている。

カーテンの隙間から差し込んだ赤橙色の光は、夜がすぐそこまで来ていることを告げていた。

いつの間にか目の前に二つの人影が現れ、青色のファイルが目の前に開かれた。

その二つの口からは何やら怒号めいた言葉が吐き出されているのだが、岸辺の脳はそれを言語として捉えておらず、煩わしい喚声としか認識できていなかった。

(すまない・・・)

岸辺の意識は遥か遠くを彷徨っており、島での出来事を回想していた。

(僕のせいで、皆・・・)

次第に目の前の音は勢いを増し、目の前の机が拳で叩かれて甲高い音を反響させる。

(巳風、渡戸、春野、帆留・・・)

右側に立っていた影が近づき、何かに取り憑かれたように岸辺の肩を何度も揺すった。

(良浩・・・詩穂・・・すまない・・・)

その瞬間、目の前の視界が大きく振動し、右頬に熱さと鈍い痛みを感じた。

どこかが切れたらしく、血の味が口に広がる。

(あれが仮に勝負であったのなら、良浩。君の勝ちだ・・・)

視線を床に向けたまま、岸辺は口を開いた。



「館の居間にあったレコード、あれが録音した音声を確認して下さい」




                                       六人に捧げる


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