足りないものは足せばいい ④

「すいません、急に呼んで」

と最初に管理人に謝罪した

「いいえ、それはいいですが」

その前に確認したことがあった

「この部屋って空き部屋ですか?」

目の前扉を指で刺しながら聞いた

「えぇそうですが、それが何か?」

その返答聞いたら、これが寒気と冷や汗の原因かと思った

後輩も何かに気づいて緊張感を持った顔になった

「すいませんが、鍵だけ渡して貰ってエレベーターとは逆方向で待ってもらって

いいですか?」

「はぁ~」と気の抜けたような、訳が分からないような返答が返ってきた

鍵を借りて移動したことを確認して鍵を刺し込んだ

ガチャと音がしてゆっくりと扉を開けた

開けた瞬間に感じたのは鉄の匂いだった

あぁ・・・これは慣れたくないけど慣れた匂いだと肉体と脳が教えてくる

ゆっくり前に進んでリビングの扉を開けた

開けた瞬間に目に入ったのはシングルベッドより小さなベッドと座り込んだ女性がいた

横顔だけ見えてSさんだなと確信した

これだけならただの不法侵入で終わるのだが、床とベッドは赤黒く染まっていた

「こんにちは、Sさん・・何かやっていましたか?」

と出来るだけ優しく声を掛けた

すると

「ふひ・・・ひひひ・・・ふふふ・・・」

と笑いだけ聞こえる

後ろにいる後輩に扉の前で待つように指示をして正面に回って

「何がありましたか?」

と何か諭すように聞いてみた

「ふふ・・・もぅ姉さんってせっかちだよね・・・昔からそうだったね・・・

ふふふふ・・・」

その返答を聞いて

鎌をかけようと思って

「あなたが、CさんとYさんを半分にしましたか?」

普通ならこんなこと言ったら混乱すると思う

でも

「ふふ・・正解よ、私が半分にしたわ!」

顔上げて答えた顔は、狂気と歓喜が混ざったよう顔だった

「なぜこんなことを?」

すると何を言ってるのこいつみたいな顔で

「解らないの?あぁだから隣に姉さん居ても気づかないのか・・・

鈍感な人ですね、モテませんよ・・ふふふふ」

俺は、人の形をしている物と会話してるのか?と錯覚感じた

それでも

「そうですね、この鈍感な私に解るように教えてもらっていいですか?」

出来るだけ怒らせない回答選んで言った

すると子供に注意するような顔で

「しょうがないですね、特別に教えてあげます

何故半分にしたか?簡単よ姉さんを助けて夢を叶えるためよ」

「小さくもいいから病院を運営するって夢ですか?」

「そうよ、よくわかっているじゃない・・・ふふ・・」

これは、署で話を聞いた方がいいなと思って後輩を呼んで

手錠を掛けた・・・


部屋を出て管理人を呼んで鍵を渡して閉めて貰ってから再度警察が来るので

その時は対応お願いします。と伝えてエレベーターに乗った



署に着いてから受付で上司に連絡をして今起きたこと説明してどこの取り調べ室が開いてるか

確認した


取り調べ室に着いた時には上司が居たので

「取り調べお願いします。」

と言うと

「お前がしないのか?」と言われたので

「いいえ、私は今から現場を見て来ます・・・気になることがあるので・・」

「そうか」短く返事をされて再度マンションに移動した


着いた時には、鑑識とかが部屋に6人ぐらい居た

とりあいず周囲を見ると机の上に一冊本があった

手袋を付けて本持ってみると表紙は黒くなって上手く読めない

表紙だけ開いてタイトルを見る

書いてあったは

「黒魔術のやり方」

だった

何だこの小学生や中学生ぐらいが喜んで読みそうな本はと思って

目次を軽く見ると「人体の復活」と言うタイトルがあった

軽く読んでいると駄目になった所を切り取って健康な肉体を繋げるというものだった

何ともまぁ、誰も信じないような内容・・・いや、信じたのか彼女は・・・だから半分に

そう思った俺は、近くにいた鑑識を呼んで保管用の袋を貰って、写真を取って書類に記録して

貰って急いで署に戻った


署に帰ると上司が帰って来たら取り調べ室に来るようにと受付から伝言をもらった

それを聞いてそのまま取り調べ室に向かった

上司は扉の前にいた

「おかえり」

「ただいま戻りました」

「なぁ・・・お前さどうやって容疑者と会話したの?」

「はい?」

「あいつさ、ずっと気持ち悪く笑っていてさ、何も答えない・・・

何かこっちが頭おかしくなりそうだよ・・・」

と言ってきた

顔は、何か頭痛を耐えているような顔だった

「解りました、私がやってみます」

「頼むよ」と言って隣の部屋に上司は入っていった

俺は、扉をノックして入った

記録してる後輩も頭痛を耐えてるような顔だった

これは、本当に会話になってないみたいだ

そんな感想を感じながら椅子に座って正面をみた

「えっと何か良いことでもありましたか?ずっと笑っていると聞いたので」

するとSは、最初に見た顔で俺を見て

「そうよ!だって夢が叶えることできたのよ」

「それってお姉さんが自由に動けるようになったからですか?」

「そうよ!やるじゃない!あんなに鈍感だったのに短時間で察しのいい人になりましたね

・・ふふ・・・」

一応質問には答えてくれるみたいだな

そして、現場から持ってきた本を見せて

「ここに書いてある方法でやりましたか?」

するとSは、子供を褒めるような顔で

「正解よ・・・本当にこの短時間でよく理解したわね

さっきまでの人は、的外れの質問ばかりするから可笑しくてね・・ふふ・・・」

そう言うことか・・・だからずっと笑っていたのか・・・

そうなると確認しないといけないことが出来たな

「それでその夢が叶ったお姉さんはどこにいるの?」

「さぁ?だってあなたたちが来る前にベランダから移動して部屋に入った時にいなかったからね」

「消えていたことですか?」

「そうよ」と短く答えて

「ふふ・・・ひひひ・・・本当に昔からせっかちだからな姉さんは・・・」

と返答するとまた最初に見た狂気と歓喜に満ちた顔になっていた

「心当たりはありますか?」

どうせどこかに隠してると思って聞いてみると

「ふふ・・・ひひひ・・・また鈍感になりましたね・・・だから消えたから知らないって」

そこから2・3回質問したがずっと笑ってまともな返答かえってこなかった・・・

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