運命の手毬

仕事が終わって自宅に向かって歩いた

今夜の夕飯のメニューを考えていると自宅に着いた

荷物を置いてから、マイバックを持って再度外に出る

時間は、午後6時前

スーパーで値段とにらめっこしてメニューを再度考える

そんなことしていると30分ぐらい滞在してから、スーパーから出た

外は夕日が完全隠れるぐらいの暗さだった

自宅に向かう途中で部活帰りの学生や会社帰りの人とすれ違う

そろそろ家に着くと思っていると着物を着た少女が手毬で遊んでいた

また珍しいもので遊んでいるなと思った

それに着物か・・・

何か茶道かと古風の習い物をしていて親でも待っているのかな?と思って

見ていると

右手で叩いた毬を止めて、周りを見て再度右手で叩いて遊び始めた

親を待っているのかな?と思った

そんなこと思いながら左側から抜いて行こうしたら

さっきより少し強く毬を叩き始めた

何だ?邪魔にならないように左側に向かったのに

右側から抜けって言っているのかな?

試しに右側に向かうと最初と同じぐらいの強さで叩き始めた

不思議な子だなと思って自宅に向かった


家を出て会社に向かっていると昨日少女がいた道に着いた

そういえば、こっちの道から見ると右側に何かあったのかな?と

思って地面を見ると鳥の糞(ふん)が落ちていた

見た感じだと完全に乾燥していると思う

もしかして踏まないように教えてくれたのか?それとも落ちてくる

糞が当たらないように教えてくれたのか?

そんな偶然ないかと思って会社に向かった


夕方になってスーパーに向かっているとまた少女が毬で遊んでいた

場所は十字路の前で毬で遊んでいた

車は通るには狭い道だけど危ない所で遊んでいるなと思っていると

毬を掴んで周囲を見始めた

見終わると左手で毬を叩き始めた

昨日のことがあるから試しに右側から抜いてみるかと思って向かうと

少し強く叩き始めた

ここまでは同じかと思って右側から抜いて十字路に向かうと

横から何かが当たる感覚があった

見ると子供とぶつかったみたいだ

見た目は、小学生低学年ぐらいで、ランドセルを持ってなくて

手提げの鞄を持っていた

塾の帰りかなと思った

「ごめんね、大丈夫?怪我はない?」

「うん、怪我ないけど、ごめんなさい」

「いいよ、こっちもごめんね」

と会話をして小学生は、自分の家に向かって歩き始めた

そして、私は、後ろを見ると少女は居なかった

もぅ帰ったかなと思ってスーパーに向かった


翌朝自宅を出て会社に向かっていると

少女が朝から着物を着て毬を叩いている

そしてまた毬を掴んで周囲を見ると左手で毬を叩き始めた

そこで私も周囲を見ると今日は大きな道にいるなと思って

右側に向かって足を動かした瞬間に今まで見たことない

ぐらいの強さで毬を叩き始めた

何に怒っている?と思って左側に向かうと最初に見た強さで叩き始めた

何だろうと思って数秒歩いていると

右側からガン!ガシャン!と大きな音が聞こえた

見ると植木鉢と鉄の棒が落ちていた

これに当たったら最悪あの世行きだったなと思って後ろを見るとまた少女は居なかった

ここまで偶然が続くと必然か?と思い始めた

そして私は、あの少女を毬の座敷童と名前を付けた

だって安全な方向教えてくれる少女だから

それにいつも振り返ると消えているから


それからも少女は時々現れて毬で安全な方向を教えてくれた

半年が過ぎた頃

外は雪が降って足首まで埋まるぐらいまで積もった朝だった

会社に向かって歩いていると少女が毬を叩いていた

今日は、会社に向かう道で一番広い道だった

そして今日も毬を掴んで周囲を見ると右手で叩き始めた

でも今日はかなり強く叩いている

試しに左に向かうと毬を破裂させようとするぐらい叩き始めた

初めてのパターンだなと思って、後ろに下がると同じぐらいの強さで

叩いていた

左と後ろは同じぐらい不幸が来ると言うことかと

思って覚悟を持って右側に向かった

そして少女とすれ違う瞬間に疑問が浮かんだ

何故雪が積もっているのに毬が叩けると

少女を見ようとしたら強い衝撃が来て意識が消えた


目を覚ますと白い天井だった

すると白衣を着た人と警察官が居た

何だ?と思って体を起こそうとすると動かない

そして激痛が走った

「Aさん、動かないで」

「えっとすいませんここはどこですか?」

「病院です、あなたは交通事故にあってここに搬送されました」

「交通事故?」

「そうですよ、それにしても運がいいですね、もしも左側にいたら、

今頃は、ここにいませんよ」

そこで毬の座敷童の少女を思い出した

色々と説明と状況の質問をされたが、そんなことよりも心の中で

「ありがとう」とお礼を毬の座敷童に言った。


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