呪いって祝いと似ている

これは、もぅ30年ぐらい前の話から始まります

結婚して、奥さんが妊娠して、難産で、帝王切開だったので

次に子供作るのは、難しいと言われた

同じ医者として何とも言えないことだった

一般人なら、愚痴や現実逃避する発言すると思うが

同じ医者だから、否定する材料ないし、伝える心象も解るから

何も言えない状態だった

それでも、新しい命と奥さんの命を両方拾えたと思えば、結果的に

幸運だと思う

それから、5年ぐらい子供の成長を見てると一般の子より病気に

なりやすいみたいだ

私は、外科が専門だから、内科の知識は、浅いので専門の医者に

頼るしかなかった

同じ医者でも出来ないことがある・・・

こんな現実的なこと考えていると

ふと思ったことが、それは、藁人形だった

あれは、特定の人物を呪う道具だ

でも、特定の人物を守る道具になるのでは?

非現実的だが、作るのもありだなと思って

まずは、布を人型に切る

切ったら、周りを縫って、その中に綿を入れる

ここからが、守る意味を込めて、七草を乾燥させて入れた

最後に子供の髪の毛を一本入れた

完成したが、本当に神頼りだなと思った

他の医者が聞いたら、笑うか心配して精神科行けと言われそうだ・・・

それでも、我が子の為で、奥さんが頑張って産んでくれた大事な宝だ

完成した人形は、鞄の中の隠しポケットに保管した



それから、2年ぐらいした時に子供がお腹痛いと夜に言ってきた

冷たい物でも食べたかなと思って、市販の腹痛薬飲ませて、ベッドで様子を見ることに

した

だが、1時間すると急に吐いたり、体が熱いと言い始めた

これは、普通ではないなと思って、緊急の病院に連れていった

事情を話すと医者は、診察を始めた

診察していると緊急手術すると言い始めた

予想だと盲腸だと言われた

それも急いでやった方がいいと説明受けた

それから、即手術が始まった

私は、本当に自分が医者か?と思ってしまう

我が子が苦しいのに何も出来ない

これが、いつも外で待つ家族の気持ちかと今になって知った


それから数時間経って、手術室から医者が出て来た

医者は、手術は成功したと報告してくれた

安堵していると暫くは、入院ですと説明を受けて

家に帰ることにした


それから、家に着いて、人形のことを思い出した

鞄から人形を出すと不思議なことが起きていた

なんか変な匂いがする

乾燥してる七草入れてるから腐ることないと思った

それから、一部糸をほどいて、中を見ると何かカビ?みたいなやつが

お腹の所にあった

乾燥が甘かったか?と思ってまた作り直そうと思った


3日後ぐらいに面会に行った、奥さんが1・2日目に行ってくれたので、日常用品は、

それなりに揃っているみたいだ

面会に行くと医者が説明したいと言われて診察室に移動した

手術後は、良好で、安心していいと言われた

安堵してると不思議なこと言われた

本来なら、腸の状態がかなり酷いと思っていたが、開けてみると思っていたより

綺麗で、やりやすい状態だったと

何かに守れてるみたいに綺麗な状態だったと

多分早期発見だったからと結論を出した

その話を聞いて、人形のことを思い出した

まさか、本当に守ってくれた?

そんな非現実的なと思うが

あのカビ?みたいな物は、何だったのか気になった


それから、家に帰って、新しい人形を作って、同じ内容で完成させた

と言うのが、私の話です

え?その人形ですか、あぁ、今も持ってますよ、ほらね

え?何故2体いるって?あぁ、これは、孫の分ですね

おかしな話ですよね、医者なのにこんな非現実的な物を大事にしてるなんて

でも、医者が神頼りしては、駄目って決まりないでしょ?

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