現状把握 

寝て起きて乳を吸う生活が1年過ぎた。


結論から言うとここは、日本ではない。

と言うか地球なのかも怪しい・・・

だって、月が3つあるから・・・

大きな丸が1つと小さな丸が2つあって大きな丸の右下に2つある。

あ、でも太陽は1つみたいだ。


今は、父親のロイに抱っこされて料理風景を見ている。

何と言えばいいかな。

ガスなしで蛇口なし電気もない・・・

竈(かまど)の上で鍋やフライパンを振ってる母親のアンの背中を見る。


ただこれだけなら、過去に転生したと思えるのだが、

小さな火が人差し指から出て竈の薪に飛ばして火が付いた。

うん・・・ファンタジーですね。


食事が終われば食器を2人で洗っている。

仲の良いことで。

終わるとアンの背中に抱っこされて移動が始まる。


移動先は受付の窓口だ。

椅子に座って老若男女問わず会話をしている。

会話の内容的にここは、病院みたいだ。


時々ロイから呼ばれて診察室に移動する。

こういう時は、大概は怪我の治療や処置の相談する時だ。


ある程度人が減ってきたら、正面のドアに掛かってる看板を逆にする。

これが閉店合図みたいだ。

完全に人がいなくなったら、昼食の準備だ。

と言っても共働きなのでパンを半分に切って野菜やハムやソーセージみたいな

肉を挟んで食卓に出る。


食事が終わったら、俺の食事の時間だ。

何とも言えない味だ・・・


食事が終わると両親は、別行動を起こす。

アンは、外に買い物にロイは、洗濯を始める。

この行動を見るに緊急で怪我人や病人が来た時にロイが

対応する為だろう。


買い物か洗濯が先に終わった両親が俺を抱っこして

立たせる練習をさせる。

今日からは、壁に手を当てて歩く練習みたいだ。


暗くなってくるとロイに抱っこされて、アンの料理風景を見る

食事が終わったら、小さなベッドに移動だ。

そんな生活が2年続いて完全に立って歩けるようになった。


3歳になって会話も出来るようになった。

さて、確認したいことがあるので色々と調べるか・・・


まずは、文字の確認だな。

手っ取り早いのは、本だな。

見た感じだと日本語と変わらないみたいだ。

だが問題がある・・・漢字がない・・・


平仮名が主流で人物名と国と市町村の名前だけがカタカナだ・・・・

これだと文章の意味を理解するのが難しい・・・はぁ~漢字が欲しい・・・

漢字を開発して発表するか?いや駄目だろ・・・3歳の子供が発表したら

悪魔憑きとか言われて隔離されそうだ・・・


「アレクは、本が好きね」

夕食時にアンから言われた。

「そうだな、これぐらいの歳なら外で走り回りそうだが、お前は大人しいから

手間がかからないよ」

ロイの言ってることは、理解出来る。

好きに動けるから行ったことない所や見たことない物に興味示すの

当たり前だと思う。


「そうかな?だって家事も仕事の手伝いも出来ないから、家で

ゴロゴロしてるのと変わらないと思うよ」

そんなこと言うと両親は、顔に豆鉄砲食らったような顔になる。


「アレクよ・・・お前は本当に俺の息子か?」

「えぇ・・・本当に私の息子かしら?」

「えっと息子だよ・・・もしかして、どこから拾ってきたの?」

「そんな訳ないだろ」

「そうよ、私が産んだからね」

そんなに変こと言ったかな?いや、普通に考えろ・・

俺は、まだ3歳だった・・・

「なんてね、本に書いてあったことを言っただけだよ」

これで年相応の回答出来たと思う。するとまた豆鉄砲を食らったような

顔の両親がこっちを見てくる。


翌日


「アレク、ちょっといいか?」

「なに、お父さん?」

「今日は、一緒に診察室に来なさい」

「仕事の手伝いですか?」

「いや見てるだけでいい」

「はぁ~解りました」

何だ?昨日夫婦で秘密の会議でもしたか?



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