第28話
気持ちの悪い視線を隣から受けながら開式を待っていると新入生が揃ったのか
一人のじいさんがスピーチ台へと昇り、周りが騒がしい中、マイクを持ち、話し始める。
そして―—
「東京大壱大学、入学式、式辞―—」
「以下、省略じゃ」
と適当な挨拶をかましてくるじいさんに対して笑う者や素直に驚く者そして、
俺はなのを膝の上に座らせて何事も起こりませんようにと神様に祈っていた。
「堅苦しい挨拶は好きではないのでの。もちろん新入生の歓迎はしておるぞ。若い者たちは何かを成し遂げるために足を動かし脳を動かしそして何かを考えて行動に移す。ワシは好きじゃぞ」
「良い意味でも悪い意味でものぉ」
含みのあることを淡々と話すじいさんに対してのガヤは消え、新入生達は静かに話を聞く。
「ここにいるおぬしらは時に敵、時に味方、そして最後は良いライバルとして誰一人欠けることなく、卒業することをワシは望む」
「じゃあの。ワシはこれでも忙しい身じゃ。勝手に強くなって勝手に卒業せい」
後ろに控えていた教師にマイクを渡し、校舎の方に歩いていく。
じいさんが見えなくなるまで拍手が止まることは無かった。
そして新入生代表とかは居ないみたいなので在学生からのお言葉があるそうだ。
「桜の花が咲き始め、温かい日差しが降り注ぐようになりました。
新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。在校生一同、心より―—」
はい。
さっきのじいさんとは違いめちゃくちゃ真面目な人みたいだ。
今、スピーチ台で話をしているのは、生徒会長の
すらりとしたスタイルに黒髪ロングでキリッとした目。
そして何より似合っている刀が腰には差さっていた。
男子の告白なんて一刀両断してそうだな。
やっぱりナナさんみたいな明るい女性が俺は.....
ん~でもつい最近刀が似合う女性を見た気がするけど誰だったかな。
見た目がやんちゃな奴らも多くいたが生徒会長である桜木が話している間、
その多くの者はあまり強く出ることも無く騒ぐことも無かった。
それはひとえに大人しくしたくてしているわけではなかった。
理由は一つ。
誰しもが憧れ欲しているパートナーモンスターが彼女の傍に控えていたからだった。
「ゆうやこれつまんないなの家に帰ってモンスタみるなの」
「しぃー!!なの静かにしてろ!騎士に目付けられたらどうするんだよ!!」
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