第22話

その後、たんまりと服を抱えた店員さんがやってきて

なののファッションショーが開催された。


なのもノリノリなのか少しかわいらしいポージングをしてきたのでスマホで

撮ってあげていた。

...店員さんが俺のスマホでな。


自分のスマホで取れよ。

と言ってみたところ。

「いやいや、仕事中に自分のスマホ触るのはダメでしょ」だってさ。


お客のスマホを取って撮るのはありなのか?

まぁ、服を何着か付けてくれるみたいなので今回は許そう。

......けど一つだけ言わせてくれ。




待ち受けをなのにしようとするなおい。






帰り道、なのはずっと笑顔だった。

足取りも軽やかで時々スキップもしていた。


まぁ、喜んでくれたなら服屋に来た甲斐もあったか。



なの、次は違う服屋にしような。






そして昼を家で食べた後は、冒険者ビルに向かいダンジョンへと入る。

F級ダンジョンの受付は、青ざめお姉さんが固定なのか今日も居たので一応挨拶をしておいた。


でも、なのがなぜか不機嫌になっていた。

なんでなの?






「【氷結】ッ!」

「グギャァァアア!!」


だいぶモンスターを倒すことにも慣れてきた。

初めはほんの少しだけ抵抗があったが今ではもうほとんどないな。

それに【氷結】で凍らす速度も速くなっている気が―—


ビキビキビキッ!!!


「【氷結】なの」

「グギャ....」


なのさん【氷結】っていう前に凍らせ終わってませんでしたか?

......なの先生一生付いて行くっす!



そして難なくボスポータルまで辿り着いた。

が、少しだけ迷っていた。


「ん~、なのは本気で戦ったことないよな?」

「ないなの」


少し気が緩んでるのかもしれないが勝てそうな気がするんだよなぁ。


なのが本気とやらを出してくれるなら。


でもやっぱり俺が倒したいって思っちゃうしどうするか迷うな。


「大丈夫なの。ゆうやはなのが守るなの」

「...ウン、アリガトウ」


くそう!幼女に守られる俺!


でも、【氷器】もあれから練習してるけどできないんだよな。

なんとなくだけど、佐伯さんと戦うときは行ける気がしてたんだけど。

今は、飲み物の氷レベルしか出せない。

...別に前のなのの発言、根に持ってるわけじゃないよ?


佐伯さんで思い出したけど、何気に異性に褒められたのは初めてだったな。

そんなに綺麗だったんだろうか。

帰り際に目を合わせられ言われた一言が頭の中で反復する。







「ふ~ん。佐藤君の瞳はだね」と。


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