第18話
「その子、手放してくれないかな?」
「......は?」
ここまで自分が動揺するとは思ってなかった。
まだなのと出会って日は浅い、たったの1週間ちょっとだ。
「別に無条件で手放せってわけじゃないよ?それなりの金額は払うし、そしてさらにもう一度パートナーガチャをタダで回させてあげるよ。」
それでも、もうなのは俺のパートナーなんだという思いはあったのだろう。
初めは確かになのを見た時面倒ごとになると思い本気で返品を考えた時期もあった。
.....たまに今でも思う時あるだなんてそんなことは無い。
実際こうやって目を付けられ面倒なことになってるし、
それにいつの間にかソファーの上には一匹の虎が座っていた。
おそらく、佐伯さんのパートナーなのだろう。
その虎は、俺から目を離すことなく観察している。
いや、佐伯さんの命令を待っているのかもしれない。
襲えと言われればすぐさま飛びついてくるだろう。
「もしかして心配してるのかな?安心してよ。決して殺すようなことはしないさ。君が手放したくない気持ちも分かるよ。これだけかわいいと愛着がわくというものだろう」
おい。誰がロリコンだ誰が。
流石にそろそろイラつきもしてきたな。
とはいえ逆らったら冒険者が出来なくなる可能性あるし、何なら始末されそうだしなぁ。
すやすやと眠るなのの頭を撫でてやると気持ちよさそうにしている。
「決まったようだね。もう君がその子に会うことは無いだろう見かけるとしても1年後かな。1年間ぐらいは外に出ることもできな―—」
「すいません。やっぱり手放せそうにないです」
買い物をしているなのがどれだけ楽しそうにしていたか。
お気に入りの服を着て歩くことをどれだけ楽しんでいたか。
全部こいつは知らない。
その楽しみを一年も俺のパートナーから奪う?
少し調子に乗ってませんかねぇ?
可愛いお姉さん達のみ採用してることだけは感謝していたけど
それとこれは別だよなぁ?
side 佐伯
あ~、怒らせてしまったかな。
ちょっとしたテストって感じだったんだけど、もしかしなくてもやばいかな。
水色の目を僅かに光らせる彼がイラついているのは、分かっていたが少し調子に乗って地雷を踏んでしまったようだ。
私は採用係というのもあって多くの人をこの目で見てきた。
そしてパートナーモンスターで良くないことをしている人も見てきた。
なので私は新種や未発見のパートナーモンスターを手にしている人にこうして
同じ質問をしていた。
彼のように拒否する者はまだいいだろう。
だが、ほとんどは金額を聞いてくる者や私と一夜などとほざいてくる者もいた。
体を許すことはしなかったが、それ相応の金額を渡し、パートナーモンスターを引き取っている。
隣にいる虎も、引き取ったパートナーモンスターだ。
コトラという名前を付けたところ思いのほか懐き、当時パートナーが居なかった私のパートナーモンスターになってくれたのだ。
っとそんな話をしている場合でもなさそうだね。
さてどうしたものか。
と考えていると勢いよく扉が開かれ入ってきたのは受付嬢であるナナだった。
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