第17話
...俺が目指していた冒険者はこんなのだったのだろうか。
俺こと佐藤裕也は、一人の幼女をおんぶしながら歩いていた。
何故おんぶする羽目になったかというとなのの【氷器】によってスライムが倒される寸前、なのに向かって酸を飛ばしてきたのだ。
なの自身は避けれていたが今日の服装は白のワンピース。
いや、ダンジョンにワンピースって俺も思ったよ?
でも買った日からお気に入りらしく大体そのワンピースを着ているのだ。
そして少量の酸がスカート部分を溶かしてしまった。
少し素足が見える程度では済んだもののなのは涙目になってなのなのしてきた。
明日服を買いに行くという約束とおんぶすることで何とか落ち着いてくれた。
ボスポータルまでの道のりで出会ったモンスターは全部俺が倒した。
おかげで4レベルぐらいにはなったのではないだろうか。
ボス推奨レベルは5なので今日は帰ろう。
ボスポータルの隣に冒険者ビルへのポータルがあったのでそのまま入ろうとして
ポータルの前で立ち止まる。
......お姉さんのことを思い出すと足が動かない。
どうして帰りの俺に全て託したんだよ過去の俺!!!
ちなみに背中にいるなのはすやすやだ。
まぁ、寝ていてくれた方が冒険者ビルで喋ることないしありがたいか。
「おかえりなさい佐藤裕也さん?事情、説明してもらえますよね?」
後ろですやすやと寝ているなののことを見ながら話しかけてきたクールな女性。
そして俺の腕を掴んで青ざめていたお姉さんが居た。
いや、待っていたという方が合っているだろう。
ふぅ。
とにかく。
......なの起きてぇえええ!!!!
とある事務室のような所へと拉致.....案内された俺は高価そうなソファに座り、対面のソファに座るクールな女性に事情を説明していた。
ちなみにクールな女性は
採用係のトップらしくそれなりに高い地位にいるようだ。
それを聞かされ抵抗したらまずい気がしたので大人しくついていったということだ。
...別にビビったとかじゃないよ?
「ふむ。じゃあ君の...佐藤君の隣で寝ている子はパートナーガチャから出たモンスターなんだね?」
「...そうですね」
「ふ~ん、妖精の次は人型、それも人形のようにかわいい幼女ね」
.....全てを話したかのようにふるまっているが、なのが喋れることは言っていない。
なのは寝ているし、ごまかせるだろうと思って言っていない。
決して、拉致られたことを根に持って反抗しているわけではないのだ。
この時、隠せていると祐也自身は思っているがお姉さんが祐也の腕を掴んだ際になのが喋ったことをすでに佐伯に話しているためなのが喋れることは知っている。
「よし、佐藤君」
先程までよりも鋭い目つきで顔を覗かせてきた佐伯さんはこう言い放つ。
「その子、手放してくれないかな?」
「......は?」
何か体の中が冷たくなるのを感じた瞬間だった。
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