第12話

「なのは魔法が使えるなの」


待て待て待て。

よし、今からでも剣道習いに道場に通いだすか?


いや、10年やっても冒険者に敵いやしないか。


ますますやばくないか!?

幼女一人に戦わせる冒険者。

はたから見れば自分ではなく子供にパートナーモンスターを買い与え、戦わせる。

そして自分は何もせず換金だけする男....


「なの一応聞いておくんだけど...何属性だ?」

「氷なの」

「み、未発見属性....」


はっ!

危ない、気を失いかけていた。

まだ見つかっていない属性ってことはそれなりに希少なはず。

そして希少属性程適性を持つ冒険者は居ない。


うん。

決めた。


何かを決意した目でなのを見ながら心の中で言葉を吐く。









(俺、なののヒモになる。)








現在、最低ランクF級のダンジョンに来ている。

モンスタを見ていたなのが勢いよく立ち上がりなのなのしながらこう言ってきたのだ。


「ダンジョンにいきたいなの冒険したいなの!」と。


まぁ俺もまだ冒険者をあきらめたわけではなかった。

そこまで簡単に諦めれるものなら20万もするパートナーガチャなんて回さないだろう。


なのが魔法を使うなら何としても守ろうということで一応軽めのショートソードだけ冒険者ビルで購入した。

その際、なのを物珍しく見てきている奴らが....いやそんなことは無い。

俺はSNSで見た動画を信じているのだ。


...信じさせてくださいお願いします。




そしてF級ダンジョンへは、冒険者ビルから飛べるとのこと。

要するにテレポートポータルがあるのだ。

ここで一応説明を挟むとテレポートポータルとはダンジョンと冒険者ビルを繋ぐ扉だ。

ダンジョン内の2階層ごとにポータルは設置されている。


まぁ、最低ランクのF級ダンジョンは2階層までしかないんだけどね。

今はF級ダンジョンのポータルが並ぶように置いてある冒険者ビルの20階に来ている。


受付に冒険者カードを見せてから適当な草原1って看板がある扉の前に立つ。

初めてのダンジョンだ。夢にまで見たダンジョンが目の前に。



いざ!初ダンジョ....おい、受付嬢さんその手を離せ。

いくらかわいいからと言ってもいきなり腕を掴んでくるのはどうかと思う。

お、おい!ほら!なのもなんか言ってやれ....よ...

ごめん!やっぱり何も言わないで!お願いだから喋ら――




「ゆうやを離すなの」




いつものような明るく優しい甘えんぼのようなトーンではなく、氷のような冷たいトーンで言葉を吐くなの。

そして素早く手を受付嬢に向け、その動作に呼応するかのように目に

僅かな光が宿る。



ひょう――


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