第7話

「ふわぁ...朝か」


ベッドから起き上がりすぐに顔を洗いに行く。


「...左肩が重いな」


おっさんに当てられた時に痛んだんだろうか。

やはり昨日のおっさんを許すわけにいかなくなってきた。

剣術スキルをゲットしたら髪の毛だけ切り刻んで逃げてや....

あれ!?そういえば卵は!?


起きたとき腕の中には卵がなかった気がする「なの」。

やばいやばい!もしかしてベッドから落としちゃったか!?


顔がびしょ濡れだが、そんなこと気にしていられない「なの」。

てか俺、いつから語尾に「なの」付ける痛い子になっ.....


「なのっ」


左肩に裸の幼女。

綺麗な白髪で目は綺麗な水色だった。


ふぅ、昨日可愛いナナさんや受付嬢さんたちを見たから

自分が思っていた以上に溜まってこんな夢を見ているのだろう。

ただ、一つ言わせてくれ。






「俺はロリコンじゃない!!」

「....なの?」









「ごめんね、お名前教えてくれるかな?どこの子かな?」


ベッドの下に落ちていた卵の殻のを拾いながら佐藤裕也は現実逃避をしていた。


「なの」

「そっかぁ。なのちゃんって言うんだね。それでどこから来たのかなぁ?」


幼女が指を指す。

卵の殻を指していた。


「そっかぁ。ハーフっぽいしNANO王国から来たんだねぇ。そんな場所知らないから自力で帰ってねぇ」











「はぁ、そろそろ現実を見ないといけないか....」


いや、逆転の発想で夢を見るべきか。

今は朝の7時。

そして今日の予定はない。

二度寝するべきだな。



ぐぅぅ



決して俺のお腹じゃないぞ。

お腹の音で恥ずかしがる男子でもないが。

誰のって聞かなくても分かるよね。


「なの」


...とりあえず服を引っ張るのをやめようか





この感じ、更に割れた卵の殻。

そして、裸の幼女。

....俺の騎士どこ行ったの?


「....もう一度聞くけど、どこから来た「なのっ」」


指は卵の殻を指す。

よしここまで来たら受け入れるしかないのだろう。






脳外科って朝からやってたっけなぁ。









「なのっなのっ」

「こら手で食べるな手で」


とにかくお腹が鳴り服を引っ張る強さが段々強くなってきていたので

得意料理の一つ、オムライスを作ってみた。

食べ方が分からなさそうだったのでスプーンで一口食べさせたところ

次の瞬間、目を輝かせ手で食べ始めた。


「なんか薄々気付いてたけど、言葉分かるのか?」

「なの」


ケチャップを口回りに付けまくっているなのが大きく頷き机にケチャップが飛ぶ。

口を拭いてやると気持ち悪さが取れて満足したのか笑顔になった後、

オムライスを食べ始めた。


「でも、多分この感じ話せはしないよな」


そこはほっとしている。

何故かって?

パートナーモンスターで話せるのは今はナナさんの妖精だけ。

BOSSモンスターが話すことは極稀にあるらしい。

喋る幼女のパートナーモンスターなんて世に出て見ろ。


どれだけの注目が浴びることか。

いつかは強い冒険者として名が売れるのは嬉しいが。

幼女を連れまわすロリコン冒険者になるつもりはない。


オムライスを食べ終えたなのは俺の胡坐の間にすっぽり入り体を預けてくる。


「なのっ」


眠たいのだろう顔を胸に擦り付けてくる。

こうしてみると懐いてくれた猫って感じがして嬉しいし素直に可愛いなとは思う。





口元に付いた大量のケチャップがなければ。

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