第5話 友達の人数

「で、でも。おかしいよ……。カツアゲをたくらまずに、私と友達になりたいなんて、普通は考えないはず」

「そんなことは無いだろ」


 彼女は、自信が不足し過ぎているのではないだろうか?


「もしや……LI〇Eラ〇ンの友達の数を増やしたいがために、友好関係ゆうこうかんけいを持ちかけている説がある? つまり、私はただの数字でしかない……!」

「だから、どうしてそんな結論に辿たどりつく!?」

「…………公式アカウントと友達になれば、ずかしくはない数字をほこれるよ。オススメ」

「何のオススメだ! というか、可哀想かわいそうな人をながめる目で、俺を見るんじゃない!」


 俺も、その方法を実践じっせんしたことは、じつはあるけども!


「ちなみに、私のLI〇Eラ〇ンの友達の数は、30人だよ。内訳うちわけ、27人が公式。残り3人が家族」

実質じっしつ0じゃねえか……」


 まあ、それは……。


「俺も、たようなものだけどな」


「えっ……?」と、少女は、目を見開みひらいた。


「あ、あなたも、私と同じ……?」

「ああ、そうだ。俺も、中学時代は普通にぼっちだった」

「そっか……」


 彼女は、続ける。


「あなたも――孤独こどくさびしく、学校の環境に適応できずに、かげでひっそりと生きてきた――そんなぼっちだったんだね」

「――そこまで具体的に言わんでいい」


 心のきずえぐれるわ。


「そ、その……」


 彼女は、もじもじし始めた。


「なんだ?」

「と、友達に……なっても良いよ」

「――っ」


 いろいろ勘違かんちがいこそ激しいものの、彼女は美少女だ。友達になっても良いと言われたら、迷いなくこう答えてしまう。


「よ、よろしく、お願いします」

「う、うん……!」


 少女は、満面まんめんみを浮かべた。


「お小遣こづかは、毎月4日だよ」

「だから、カツアゲはしない!」

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