第99話 里とは……。 ※資料:リューグー 

俺はリリスの説明を受けて呆れていた。


「お前早く言えよな。俺のイメージと全然違うよ。龍の里。」


何かこう……。ホンワカした村を想像していた。


全くの真逆である。


「あれ……ワシ説明しておらんかったか?」


「してねーよ!」


「オヌシはたまに忘れるからのぅ……。」


「聞いてねーし!そんなすげー話だったら、絶対覚えてるし!」


俺とリリスが、ギャアギャア騒いでいるのをリーランは不思議そうな顔で見つめた。


(カリアースの時以来だわ。こんなに楽しそうにする母上を見るのは。)


「あの母上……。」


「なんじゃ?」


ニコニコするリリス。


リリスはリーランの顔を嬉しそうに見つめた、可愛くて仕方ないという感じだ。


「母上、この少年をヤマトと呼んでいますが……。それに母上が亡くなったとか、現にこうして元気でいらっしゃる……。」


リーランと呼ばれた少女は、そういうと改めて俺の顔を見た。


ニコ。


「……!」


(こ、この至近距離で見つめられると照れる。やばい、超可愛いこの子。)


「リーラン、応えてやりたいのだが……長くなる。いまは説明している時間がないのじゃ。すぐに龍の里に入らねばならぬ。」


そう言われたリーランも、微笑しながら同意した。


「そうですね。申し訳ありません。はい、今は急ぎましょう。」


「うむ。さすがリーランじゃ。聞き分けが良いのじゃ……」


そういうと、リリスは慈愛のこもった目をリーランに向けた。


(もしかして、リリスって子煩悩?)


リリスは我に返ったように、指示を出す。


「ヤマト。急ぐのじゃ!魔王が解放された以上、早く里に入る必要がある。」


「だから、里だとややこしいから!」


(たしかに、あの魔王エングルド。あれはヤバい……。早くここから離れたほうが良いかもな……。)


俺とリリス、リーランはセイルシールドの丘を下りはじめた。

※※資料※※


【空中移動戦艦リューグー 概要】

別名「龍人の里」。 魔人に襲われることによる龍人の子供たちの死亡率が高く、保護するためにリリスにより設計開発された空中移動戦艦。もともとは単純な保護施設だったが、水上船→空中船→空中戦艦と進化していった。


【全長・全幅・全高】

全長:800m

全幅:130m

全高:250m


【エンジン】

主エンジン:10連魔素変換型永久エンジン×1基

補助エンジン:魔素変換型永久エンジン×2基

エンジンから生み出されるエネルギーによって、兵装へのエネルギー供給が無尽蔵に可能。主機関のほかに補助エンジンを2基装備する。補助エンジンは副推進器であると同時に、艦始動にも使用される。補助エンジンのみでも通常航行できるが、補助エンジンのみでは兵装利用ができない。

※現在は主エンジンが壊れたまま。


【兵装】

主砲:超大三連装衝撃砲×2基

副砲:三連装衝撃砲×2基

連装対空魔素レーザー砲多数


主砲は山をも一瞬で蒸発させるほどの威力があったが、充填速度がかかる。期待された威力だったが魔王には多少ダメージを与えたのみで終った。魔王にはまったく通用しなかった。副砲も通常の要塞程度であれば10分もあれば破壊可能なほどの威力だが、これも魔王には通じなかった。撹乱目的で攻撃回転が速い連装対空魔素レーザー砲が主力武器となるケースが多い。

※現在は主エンジンが壊れているため兵装一式が使用できない。


【艦橋エリア】

リューグーは四層から成り立っている。頂上部には艦長専用居室、その直下には艦の全機能を集中管理する第一艦橋。さらに下に第二艦橋・第三艦橋が収まる。第二艦橋は航路決定と兵器管理機能を持っている。第三艦橋は生活居住区エリアになっている。艦橋艦長席の椅子は、艦長室から第一艦橋を通り第二艦橋まで着席したまま移動出来るように設置された貫通レールに乗っている。艦長室から第二艦橋まで、上から下まで移動できる。


【生産エリア】

艦内に工場を持つ、部品や消耗系の兵器弾薬の生産能力を持つ。食糧に関しても緑黄野菜を自給する農園がある。人造タンパク質から肉類も合成可能。野菜から糖も作成可能。


【居住エリア】

龍人の子供達を安全に長期間に保護するため、居住性は高い水準にある。500人まで居住可能。食堂も多数持つ。さらにジムなどの健康維持施設や医療施設も持つ。また男女別の大浴場も完備している。学校施設などもあった。


【艦載設備】

立体的に格納することのできる格納庫が艦底にある。資材は円盤型エレベーターや転移陣によりスムーズに高速移動できる。救命艇、上陸用舟艇、中型雷撃艇、修理艇など多数の機体を搭載する。さらにはバルーンダミーのような特殊な装備品をも常備している。また、艦内人員はすべてがロボット化しており、各エリアに多数の人型ロボットが作業に従事している。おどろくことに、これだけの大きさの戦艦に対してフル稼動させるために生身の必要作業人員は30名ほどで運用可能。運航させるだけであれば1名もしくは、人口知能リューグーで無人飛行可能。


【開発経緯】

水上船時代には、海底王国より苦情が殺到したため悩んでいたところ。リリスが「海がだめなら空じゃ」と空中船の開発に踏み切る。世界初である空中移動船が誕生した。


【航行能力と兵装能力】

100回に及ぶ再設計を繰り返し。超高速で移動し続けることが可能な超高速空中移動船となった。魔人や敵に追跡される可能性は極限まで低い。「逃げ続けること」を前提に設計されているため、その速度は「マッハ2」と恐ろしく早い。しかし、のちに神龍戦争や魔王戦争時に戦闘用として兵装を装備して大幅改造。今の姿にいたり、空中移動戦艦となる。戦艦として地上では最強兵器として生まれたが、神や魔王との戦いにはさすがに戦力不足だった。


【封印経緯】

龍魔大戦時代には、魔王にまったく歯がたたず。破壊手前まで追い込まれた。しかし速度が優秀だったため移動船として利用され、多くのシーンで活躍した。魔王戦では主エンジンを破壊され、戦うことができず艦をリリスが最低限の修理をして放棄。セイルシールド南の地中に封印された。その後、封印場所で人口知能リューグーが修理を引き継ぎ、主エンジン以外は修復されている。

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