第91話 聖龍の加護

「か、加護?何それ?」


加護って神様が渡すものじゃないの?


俺が首をひねっていると、リリスが笑った。


「龍王なら加護を渡せるかものう……もらっておけ。」


「わ、わかった……。」


聖龍は嬉しそうだ。


「龍王族だけが渡せる特権みたいなものだぞい。ヤマト様のきっと力になる。」


「……わかった。ありがとう。」


「ふふふ。きっと喜んでくれると思うぞい。では、これから渡したいと思うぞい。頭に手をおいて良いですか?」


「……うん。」


俺は無言で聖龍に頭を下げた。そこに聖龍が俺の頭に手をおく。


「########。」


聖龍が何やら呪文のような言葉を紡ぐと……。


ズアア……。


「!!」


何か暖かい力が俺の中に入ってくるのが分かった。


「い、今のは……?」


俺が驚いていると、セイリュ―が満足そうな顔をして俺の頭から手を離した。


「終了じゃ。加護を付与した。」


「龍の加護……どんな役割があるんだろ?」


「ワシの加護は、効果が高いのじゃ。」


「ちなみにどんな加護があるの?」


「竜支配!だぞい!」


「竜支配?」


「うむ、竜系の魔物から攻撃を受けた場合、ダメージが半分になる。しかも、こちらからの攻撃力は倍になるんだぞい。」


「そりゃすごいな……。」


それ凄すぎだろ。チートだろ。


地竜と戦いたくないと思ってたけど、もしかして捕食出来たりする?だとすると、ステータスにどれだけ寄与するのか想像も出来ない。


俺がポカンとした顔をしていると、聖龍が不満そうな声を上げる。


「この加護は有用だぞい。もう一つ効果があるんじゃ。」


「い、いや。別にガッカリしているわけじゃないし。ち、ちなみに他にどんな効果?」


どうやら、俺の反応が薄いので誤解させてしまったようだ。


「竜種と出会う確率を操作することが出来るのじゃ。里にいくなら役に立つんじゃないのか?」


俺は、それを聞いて飛び上がって驚いた。若干、反応を高めに……。


「ま、まじで!?そりゃすごい!」


「おぉ!喜んでくれて嬉しいのじゃ!逆に出会う確率を高めることもできるぞい。素材集めにもってこいじゃ。」


リリスも驚いていた。


「ヤマト。まじで凄い加護じゃ。」


「じゃろ!?ヤマト様!褒めて!褒めて欲しいのじゃ!」


聖龍が頭を差し出してくるので、俺はためらいながら撫でた。


「むふぅ……。至福の時じゃ。」


聖龍は猫のようにゴロゴロ言っている。


しかし、この加護は使える。


里までいくのに、飛竜や地竜に遭遇するのが怖かったから超助かる……。


確率高めるのも、時期がくれば使える!


聖龍にベタベタ抱き着かれ、俺は無理やり引きはがすと聖龍に告げた。


「じゃ、じゃあ……そろそろ行かなきゃ。」


「うむ、では死ぬより辛いが離れるとしよう。暫しのお別れだぞい。10歳の誕生日と同時に迎えにきてくれ。ここで待ち合わせるとしようぞ」


「わ、わかった」


「日付はいつ?」


「え?」


「だから、待ち合わせるのに日付がはっきりしていないと困るんだぞい。」


セイリュ―は俺の顔を疑うような表情で見つめている。


「まさか、適当に話を合わせているんじゃ……?」


「そ、そんなことないよ!」


俺は聖龍と日付を合わせて、別れた。

聖龍と別れた俺達は、もらった加護を調べるために、ステータスを確認してみた。


【ヤマト・ドラギニス】

『種族』龍人族・龍神族・精霊族(根源精霊)の混血。

『職業』魔法使い。

『状態』良好。

『魔法Lv』身体強化Lv4。

『スキル』自己ステータス表示。捕食。ゲールクロー(疾風爪)(改)。瞬転。剛力。投石。スプリング・フット(バネの足)。フィジック・リペア(物理修復)。ニードル・バレット(針の弾丸)。メルティ・アシッド(絶対溶酸)。ターン・フロアー(地面返し)。カット・ターン(切り返し)。ウォーター・ダンス・スネーク(水舞蛇)。ディメンション・ボックス(次元格納箱)。フレイム・ソード(炎の剣)。ダーク・ソード(闇の剣)。ダーク・バインド(闇捕縛)。ダイヤモンド・アーマー(金剛石の鎧)。キック・アースクエイク(蹴地震)。エンペラー・アイズ(皇帝の眼)。エンペラー・スピリッツ(皇帝の気迫)。ホーク・アイズ(鷹の眼)。ウルフ・アイズ(狼の眼)。デビル・イヤー(悪魔の耳)。ドラゴン・レーザー(竜光線)。イレイス・サイン(気配隠蔽)。デス・プレッシャー(死への抵抗)。

『称号』三つの龍を宿す者。捕食者。龍人王への無礼者。スキル捕食者。魔獣の天敵。魔物の天敵。ジゴロ。

『耐性』毒耐性Lv1。気候耐性Lv1。幻覚耐性Lv1

『加護』竜支配(龍王の加護)。


【アラート】

『称号』ジゴロ、を手に入れました!

※魅力10%アップ

『加護』竜支配、を手に入れました!

※竜種との戦闘で被ダメージ半減。加ダメージ倍化。遭遇確率操作。

「…………。」


「これ……何だよ「ジゴロ」って。」


「おそらく、エルフの姫と龍女王と婚約したことに寄るものじゃろう。」


「………それは分かるけどさ、ネーミング……。」


なんだか称号のネーミングセンスを疑う俺。


リリスに急かされ、俺は足を進める。


しかし、ステータスに魅力値があることを初めて知った。

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