第83話 現在のステータス
///////ヤマト視点に戻る///////
川から帰ってきた俺はリリスに声をかける。
「参ったよ。朝からオークに襲われるのって気分悪いわ。」
「やはり襲われたか。」
俺は頷いた。そして苦い顔をした。
「リリスの言っていた通りになったな。」
「いや、今朝がたオークが川のほうへ行くのを見かけたのでな。」
「早く言えよ!」
「オークごときにやられるオヌシでも、なかろう?」
「まぁな……。」
「それで?オークの肉は?」
「ああ。持ってきた。」
「どこにじゃ?あれは美味いのじゃ。無駄にしてはならん。」
リリスは一度死んだ身のくせに食にうるさい。
最近は俺の魔力が底なしなので、1日中実体化している。
「あ。スキルで格納している。」
俺は右手を地面に向けてスキルを発動。
「……ディメンション・ボックス(次元格納箱)。」
すると、目の前に現れたのは黒い闇だ。それは小さいブラックホールみたいな形状をしている。俺はそこに手を突っ込む。
(えっと。確か、この辺りに……。)
俺の手に感触が確認される。
(これだ。)
俺はズボ!っと、ディメンション・ボックス。小さいブラックホールから腕を引き抜くと、ドスン!とオークが出てきた。
すでに絶命しており、血抜きもされている。
「便利なスキルじゃのう。」
「このスキル手にいれるの大変だったもんな。」
「ああ。ディメンション・ミミックだったな。」
「ただの擬態魔かと思ったら、強ぇの何のって……。」
「あれは強い。かつて地上界最強で名を馳せた龍人の兵でもやられるくらい強いのじゃ。」
「まぁ、おかげでこのスキルが手に入ったわけだけど。まじで有用だな。温かいもんはそのまま保存できるし、冷たいものも保持してくれる。」
「おそらく、ディメンション・ボックスの中では時間が停止しているのじゃろう。」
「輸送屋とかやれば儲かりそうだよな、俺って……。」
「結局、魔法属性は身体強化のままじゃがの……。」
「それは言わない約束だろ……。」
そうなのだ。俺は2年の間に捕食を繰り返した。しかし、魔法属性はそのままだった。身体強化のみしか持っていない。
つくづく魔法の才能の無さに落ち込む。
「ふはは。そんなに落ち込むな。その代わりスキルの数は増えたじゃろう?」
「ああ。むちゃくちゃ増えた。捕食しまくったからな……。」
「どれ?久し振りにステータスを出して確認するか。」
「いいぜ……。ステータス!」
俺とリリスは、現状の俺のステータスを確認した。
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【ヤマト・ドラギニス】
『種族』龍人族・龍神族・精霊族(根源精霊)の混血。
『職業』魔法使い。
『状態』良好。
『魔法Lv』身体強化Lv4。
『スキル』自己ステータス表示。捕食。ゲールクロー(疾風爪)(改)。瞬転。剛力。投石。スプリング・フット(バネの足)。フィジック・リペア(物理修復)。ニードル・バレット(針の弾丸)。メルティ・アシッド(絶対溶酸)。ターン・フロアー(地面返し)。カット・ターン(切り返し)。ウォーター・ダンス・スネーク(水舞蛇)。ディメンション・ボックス(次元格納箱)。フレイム・ソード(炎の剣)。ダーク・ソード(闇の剣)。ダーク・バインド(闇捕縛)。ダイヤモンド・アーマー(金剛石の鎧)。キック・アースクエイク(蹴地震)。エンペラー・アイズ(皇帝の眼)。エンペラー・スピリッツ(皇帝の気迫)。ホーク・アイズ(鷹の眼)。ウルフ・アイズ(狼の眼)。デビル・イヤー(悪魔の耳)。ドラゴン・レーザー(竜光線)。イレイス・サイン(気配隠蔽)。デス・プレッシャー(死への抵抗)。
『称号』三つの龍を宿す者。捕食者。龍人王への無礼者。スキル捕食者。魔獣の天敵。魔物の天敵。
『耐性』毒耐性Lv1。気候耐性Lv1。幻覚耐性Lv1。
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「ふむぅ。すさまじいスキルの数々じゃ。それでスキル捕食者という称号がついておるのかのぅ。」
「そうだろうな。この称号がついてから捕食時間が短くなったのが助かる……。」
「前は、捕食するのに1時間くらいじゃったか?」
「ああ。今は30分くらいだ。半分くらいになってるから助かるよ。」
「あれだけ苦痛に耐えておるのに、耐性が生まれないのも不思議じゃの?」
「そうなんだよな!苦痛耐性ついてもおかしくないよな!」
切実に俺は苦痛耐性を願っているのだが、未だにゲット出来ていない。
「毒耐性Lv1。気候耐性Lv1。幻覚耐性Lv1。と、Lv1止まりなのも気になるのぅ。」
「ああ。毒は毒茸を食べてしまったときについたものだな。」
あれはキツかった。
口から血を吐いて、のたうち回ること2日。
死ぬかと思った……。それで毒茸に対しての耐性をゲットした。
「じゃな。あれで毒茸を見分けるようになったので、あれ以上進化しなかったな。」
「二度と口にしたくねーよ。」
今では、あらゆる毒植物に対しての知識を得ている。もっと毒植物を口にすればLvも上がるだろうが、絶対に試したくない。
「じゃな……。この気候耐性はこの森の気候によってだろうな。」
この森は、夏はとても暑い。さらに冬は豪雪になったりすることもあり過酷だ。そのため、気候に対して耐性が出来てしまったのだ。大抵の夏や冬は凌ぐことが出来る。
これはこれで助かったりするが、やはりLv1止まりだ。
「幻覚耐性は副産物じゃな。」
「ああ。毒茸食べたときに幻覚を見ていたから、そのとき一緒にゲットしたっぽい。」
「2年の間に耐性はこの3つで、スキルが多数……。それに基礎身体能力も大きく向上しておる。」
「ああ……。昔リリスがやれ!って言ってた。大岩も今では持ち上げられるし、叩き割ることも出来る。」
「筋力もそうじゃが、俊敏性・柔軟性も素晴らしい。おそらく基本身体能力だけでも大人の龍人族10人分くらいの力じゃ。」
「捕食って色々すげーよな……。」
俺は、自分がどんどん人外になっている気がして……。そこが心配。ちゃんと、俺は人里に行ったら生活できるよね?ねぇ?
「もう、ここいらの魔物や魔獣は大方捕食してしまったわけじゃ。」
「そうだな……。まだ居るかも知れないけど……、新しい種類の魔物には出会わなくなったよな。」
「うむ……。」
リリスは何か考えているようだった。
「リリス?どうした?何か悩んでいるのか?」
すると、リリスは顔を上げて優しい笑みを浮かべた。
「……まぁ頃合いじゃろう。」
「頃合い?」
「ああ。森を出るぞ。」
「…………っ!?」
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