第21話 消えたリリス

(な、なんだ?この古代文字みたいな紋様は?)


起きたら右手に紋様が発生していた。


あの後、俺は気を失っていたらしい。


無我夢中で、何をしたのか覚えていない。


右手の甲のあたりに、古代文字のようなものを組み合わせた紋様が描かれていた。


俺はそれを眺めながら悩んでいた。


やけに凝った紋様である。ちょっとドラゴンの頭に見えなくも無い。


もー…。変な落書きしないでよね。ちょっとカッコいいけどさ。


コシコシ………。


(ん?油性マッ◯ーか?落ちないぞ?) 


あとで、ママんに石鹸で落としてもらおうっと。


(まぁ、それはそれとして………。)


ボンヤリする記憶を遡る。


徐々に状況を理解しはじめる。


そうだ!水晶の結果は!?


あの後どうなった!魔力測定してどうなった?


俺は早く魔法を身につけない……。魔力があると証明できれば、トンカンに連れて行ってもらえるかも知れない。結果が気になるぞ!


(こういうときは落ち着いて!整理しよう。えーと。たしか……。)


嫌な予感がしてる俺。

予知夢が発覚。魔法が必要。

魔力適性知るためにエンジストーンが必要。

隣町のトンカンにエンジストーンあり。

両親に連れて行ってもらう必要がある。

魔力を示すため水晶を使った。

起きたら、油性ペンで右手の甲に落書き?


こういう流れだったな。


最後のところが意味わからない。特に落書きが……。


リリスなら状況を把握しているだろう。聞いてみるか。


”リリス!リリス!”


俺はリリスを呼んでみた。


しかし、どういう訳だろうか。どこにもリリスの姿が見えない。


シーン……。


何も反応が無い。


”おい!リリス!出てこいって!”


俺は何度かリリスを呼んでみたが、出てくる気配が無い。


”なんだ。どっか行ってんのか?”


まぁ、そのうち出てくるだろう。


それはともかくだ!これからどうしよう?


俺に魔法の才能があると示せたんだろか。それを確認すべきだ。


俺は両親に確認を取るべく1階へ降りていった。ハイハイでね。


2階から1階に降りる際、必ずと言って良いほど、マリーシアとナタルのヤマトレーダーに捕捉される。


ので、途中から俺は例のごとくマリーシアに抱えられながら大広間に入っていった


マリーシアに抱っこされながら、父と母に尋ねてみる。


「ぼく、どうだった?まほうつかいになれる?。」


マリーシアとリカオンは顔を見合わせた。そして、耐えれないって感じで笑い出した


「ははは、なれるとも!なれるとも!とびきりの魔法使いにな!」


「ふふ、うちの子がまさか神話級の魔力をもっているなんて!ママ感動よ」


な。なんだか。過剰評価されているような……。


神話級とか親バカすぎじゃね?


でも、隣村に連れて行ってくれるってことだよな?


「あなた、さっそく魔力適性を調べにトンカンの町に行きましょうよ!」


「そうだな、じゃあ来週にでも行こう。」


やったー!


こうして、俺はとうとうトンカンに行けることになった。


リリスは一体どこにいったんだ………。

1週間後。

翌週になり、俺たち家族はトンカンまで移動することになった。


移動手段は馬車だ。


その予約をするのに1週間待つ必要があったのだ。


待ち遠しかったー!!


しかし、心配ごともある。


リリスが1週間もの間。まったく姿を見せないのだ。


(どうしたんだろう。)


俺はすごく心配していた。


生まれてから、ずっとリリスが傍らに居たこともあって、俺は彼女とは一心同体に近かった。


どうしようもなく落ち着かない。


こんなこと初めてだ。


(どこ行ったんだよ。まったく。)


もしかして、この先ずっと出てこないとか?


そんなことも頭をよぎる……。背筋が冷たくなる。


考えたくない。そんなことは……。


何か怒らせてしまったのだろうか。いや……、途中までの会話で、そんな兆候は無かった。


気絶したときに何かあったのだ。何があった?


それが何かは判らないけれども……。何も出来ることが無い。


(とにかく。トンカンにいけることは予定どおりだ。リリスはそのうち出てくるだろう。)


俺は頭の中から、リリスのことを一時的に忘れることにした。


(今は、これに集中だ。)


俺はいま馬車に乗って、母親に抱きかかえられながら移動している。


馬車は結構揺れるから舌を噛むので、親子であまり会話はない。ちなみに俺はまだ歯が生えていないけどね。


ガタガタ…………ガタガタ!


(うぅぅっぷ!!こ、この馬車揺れすぎじゃね??)


ガタガタ…………ガタガタ!


(ちょー気持ち悪いんですけど……。吐きそう。)


エンジストーンに出会うため、俺は頑張った。



【 情報整理 ※資料 】


【世界の界層】

地上界

神界

魔界

天界


【国】

中央大陸:ラスタ大陸

ラスタリス王国(主人公が住んでいる国)

人口 約1,800万人


西大陸:エルヘブン大陸

ブルーサファイア王国(エルフの国)

人口 約1,000万人


東大陸:ストーン大陸

ギンダートン王国(ドワーフの国)

人口 約1,500万人


北大陸:ドルン大陸

ドラグーン王国(龍族の国)

人口 約500万人


南大陸:ジャカルド大陸

ファング王国(獣人族の国)

人口 約3,000万人


【ラスタリス王国内都市】

王都:王都レシータ

主人公の出身村:カタナール村

カタナール隣町:トンカン町(カタナールから北東。馬車で半日)


【登場人物】

ヤマト・ドラギニス (主人公)0歳


リリス・ドラガラム(龍人族最後の王) ※約3000年前に死亡。享年2100歳。


ミヤビ・コバヤカワ (ブルーサファイア王国内の忘却人)


ヤマト・カリアース (龍人族最強の男)享年250歳


マリーシア・ドラギニス (人族。育ての母 魔法使い)19歳

 

リカオン・ドラギニス (人族。育ての父 魔法剣士)20歳


レシータ巫女  (人族。結界、封印が神位)不明


ナタル (人族。使用人)15歳。


【魔法使い】

なるには属性が大事。魔力は10歳から発生する。魔力発現率は少ない。人口全体の0.01%以下しか才能が発現しない(エルフや龍人では3%ほど)。魔力が発現しても魔法使いになれるものは少ない。その中でさらに上位までいくのは一握り。貴重な存在。

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