第12話 魔法書を読みたい
【カタナール村について】
主人公が暮らしている村の名前は「カタナール村」。人口は800人ほどの小さい村。
南のほうへ行くと大樹海が広がっており、魔物が非常に強いことで有名。魔獣の森と呼ばれている。大陸の南端に位置している村なため、王都や栄えている町にいくには北上しなければならない。
気候は一年中温かく暮らしやすい。雪はめったに降らない。
魔物が豊富にいるということは、冒険者の狩場にもなりそうだが、魔物が強すぎて誰も入らないそうな。
通常、そんな魔物がウヨウヨいる場のすぐ近くに村などを置いておくのは危険だ。
しかし、この魔獣の森から何故か魔物が出てくることは少なく。そのため、王国から魔獣を監視する軍の管轄自治区として許可されている。
そのため、人口は少ないが、村の中央には小規模な砦のようなものがある。
南端にあるカタナール村の近村には、北西と北東に中規模の町がある。ここは工業、商業共に栄えていて。必要な物資などは、ここに買い付けに行くか。行商人がここで仕入れてカタナールに売りに来るかになる。
ちなみにカタナール村にも店はある。
「何でも屋カタナール」という雑貨店、品揃えは悪い。
「食肉屋カタナール」ここは冬になると燻製や塩漬け肉を売るので、繁盛している。
「鍛冶屋カタナール」武器は少なく、農具を中心に売っている。
などなど……。小さいが、カタナール村は仲良く、地元民で支え合って生きている、
そんな村、カタナール村に主人公は住んでいるのだ。
//////神崎視点でストーリーが進む//////
両親は使用人を一人雇った。
俺の面倒見るのと食事をさせるための使用人だ。
リカオンが、そろそろ仕事に出稼ぎに行く時期らしい。その間はマリーシア一人になってしまうため、そのサポートをさせるためだ。
そのた村、使用人の条件として女性なこと。小さい子供が好きな人を雇うことになった。
両親はこんな田舎村に、そんな人材がいるのかと心配していたようだが、何人か面接に応募が来た。
その中で両親が選んだ使用人の名前は……。
「ナタル」と言う。
まだ15歳くらいで若い。
しかし、この世界では15歳で成人らしいからナタルは成人女性なのだ。これには驚きだ。
背がちっこくて純粋そうで可愛らしいんだ。髪はブラウンで整っている顔立ち。日本にいたらアイドル確定だろう。しかし、マリーシアに比べたら霞んでしまう。うちのママのレベルが高過ぎるのだ。
(しかし、整った顔の女性が多い気がするな……。)
もしかして、この世界は美男美女率が高いのか?どうなんだろう。……と思っていたら、たまにウチに来る来客の顔とか見るとそんなこともないらしい。
ドラギニス家とナタルのレベルが単純に高かったらしい……。
俺はハイハイが出来るようになったので、家を探索することが日課だ。
そのときに偶然リカオンの書斎に侵入したことがあった。沢山の本棚の本を見上げるように眺めていると、背表紙に「魔法学入門」って本があった。俺はそれを見たときに衝撃を受けた。
(おぉ!あれは!)
残念ながら、その時俺はナタルに発見されて連れ戻されたんだが。
剣と魔法の世界とは聞いていたが、本当のようだ……。本まで実在しているんだから。
魔法!憧れの魔法!それが使えると思うと興奮せざるを得ない。
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それから数日、魔法学入門という本をどうしても読みたい。絶対読みたい!!という気持ちでいっぱいだった。
魔法!アニメやラノベの世界でしか見たことがない魔法を学べるんだ。これは絶対読むべきだ!
あれから何度か、父親の書斎に侵入を試みたが、「危ない」との理由で、マリーシアのガードが鉄壁だ。書斎に近寄ることすらできない。そして新人のナタルも、俺を見つけるのが上手い。すぐに発見されてしまう……。
(くそう……。二人がかりで監視されているから、難しい……。)
そして、今日も俺の挑戦は続く……。
部屋の扉を開けようと手間取っていると、マリーシアに発見された。また失敗だ。
「もう!ヤマト。またパパの書斎に入ろうとしてる!めっ!」
「入りゅー。パパの部屋入りゅー」
ちなみに、この喋りかたはワザとではない。
喋れはするが、俺の舌は発達段階のためカタコトなのだ。
「はいはい、大きくなったらね!ヤマトはこっちよー。」
てな具合で、すぐ子供部屋に戻されてしまうか、ナタルに預けられて監視下に置かれる。
しかし、ここで諦めるわけにはいかない。
夢の魔法使いになれるかも知れないのだ!
(こうなったら、夜起きてこっそり侵入してやる!)
そう固く誓う俺であった。
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何日か待って、俺は再び決行を誓った。
今度は計画的だ。
夜。俺は夜の侵入をする計画を練っていた。
まず、いつもよりも多めに昼寝をして夜に備えた(これ大事)。
夜になると、毎晩マリーシアが添い寝をしながら一緒にベッドに入る、そして俺が眠ると子供部屋のベビーベッドに寝かせて夫婦の寝室に戻っていく。そのパターンだ。
俺は眠ったふりをしていたら、騙されたマリーシアは、オデコにキスをして部屋から出ていった。
(よし!チャンス到来!)
しかし、すぐ出るわけにはいかない。
しばらく、彼らが眠るまで待つんだ。
(…………)
ひたすら待つ俺。
(やばい……。俺が眠くなってきた。くぅぅぅ……、まぶたが落ちてくる。)
”何をしとんのじゃ?ヤマト?”
急にリリスが登場した。
”うわぁ!ビックリしたぁ!”
”ふはは!テレパシーで「うわぁ!」とか器用な奴じゃのう”
光るオーブ。リリスの登場である。
”う、うるせーよ!でも、丁度いいや。眠かったから話し相手になってくれよ”
”眠いなら眠れば良かろう?”
”いや、今日はリカオンの書斎に行くんだよ”
”書斎?何ぞ調べたいことがあるのか?赤子のくせに勉強熱心なやつじゃ”
”いや、魔法を学びたいんだよ”
”何。魔法とな……。”
”ああ、リカオンの書斎に本があるだろう?あそこに魔法入門書があったんだ”
”なるほど、本な……。”
”だから、こうして夜にな……。”
すると、リリスが意外な発言をした。
”魔法ならワシが教えてやるぞ?”
”へ……?”
何ですと?
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