第10話 すくすく成長中
俺がこの家に来てから二ケ月が経とうとしていた。すくすく成長中です。
少しだけ体もしっかりしてきた。嬉しいのは、耳と目が急速に成長してきたことだ。
ちょっと聴こえるし、見える。
家では相変わらず可愛がられている。数か月前に追い出されることに怯えていたが、今はその兆候はない。
もしかして、養子として受け入れられたのかも知れない。
つーか、絶対そうだ。
捨てられそうに感じていたのは気のせいだったのかね?
とにかく感謝しかない。俺には身寄りが無いので、この家が命綱だ。
特に、この夫婦のうち妻のほうが俺を溺愛している。四六時中、俺を構っている。いつも話しかけているし、抱っこしている。
そのお陰か、この世界の言葉のクセみたいのが分かってきた気がする。
まだ何言ってるか、まったく分からないけどね。発音のリズムっていうの?そういうのが判ってきた。
生後二ケ月な俺に出来ることは少ない。
ニコ!って笑うことが出来るくらいだ。これをやると凄く喜ばれる。家の中で、俺はちょっとしたアイドルだ。
リリスは龍人と言っていたけど……。その確証は持てない。
今のところ、人間と全く変わらないように思える。
本当に龍人なのかね……?。
リリスは夜な夜な出てきて俺と会話している。
世間話くらいだけど、今では友達感覚だ。敬語も使っていない。奴には、俺が転生者だって打ち明けてもいいのかも知れない。それくらい信頼している。
リリスが「敬語は止めてくれ」と言うから。今ではタメ口だ。結構仲良し。
何回も言うが生後二か月なので、基本まだ何もできない……。とにかく、ミルクを飲んで、寝て、ウコして、小しまくる。そんな毎日だ。本当これのみ。
もう慣れてきたが、この家の夫婦にオムツを交換してもらうのは、当初死ぬほど恥ずかしかった。
目が見えるようになって判明したのだが、この女性のほう!むちゃくちゃ美人なんだよ!
まだ10代じゃないかね?とにかく美人だ。
髪は金色でロングヘア。肌は透き通るほど白く、目はブルーアイ。顔が小さいせいなのか、目がとても大きい。日本のアイドルなんかビックリの美人だ。
細いせいか、全体的に華奢な感じがする。身長は女性にしては、たぶん相当高い。とにかく脚が長い気がする。
この夫婦、俺のいた地球であればヨーロッパ系の人種に似ている。眉目が高くクッキリしていて、堀りが深い。女性のほうの胸は……。うん、少し残念な感じがするが大丈夫。有り余るくらいの美貌があるから!!
ちなみに旦那のほうも、キリっとした美男子だ。少し童顔である。外国のアイドルってこんな感じなんだろう。髪の色、目の色ともに妻とおそろいである。
そんな美男美女に育てられている俺の容姿はどうなんだろう。まだ鏡も見ていないし。ちょっと気になるところだ。
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さらに二ケ月が経過。
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転生して四ケ月が経った。
そもそも、なぜ四ヶ月か判るかというと、転生してから毎日せっせと夜を数えていた。それが120日経ったからだ。だから約四ケ月。地球の暦と同じであれば・・という前提だけど。そもそも、こっちの暦ってどうなんだろう?この世界では一ヶ月が何日なのかは判っていない。
まぁ、とにかく地球基準で俺は約生後四ケ月。
何か成長したのかって?
ふふ、もう「お座り」も出来るんだぜ?
というか、ちょこんって足投げ出して座るだけだが……。
気を許すと後ろに倒れる。コロンってね。
ちなみにまだ「立っち」は出来ない。本当これだけ……。成長速度は、龍人でも人でも大して変わりはないらしい。
リリス曰く、これでも人族にくらべて成長が早い方らしいが。
普通 「お座り」は生後半年くらいからだ。つまり四ケ月で出来る俺は凄いのだ。ちょっとの差だけど……。
これからの課題だが、まず身につけるのは言語だ。
これを身につけてないと始まらない。
この世界の知識をつけるにも言語が必須である。人間が他の生物と決定的に違う点は3つある。火を使う、言葉を操る、笑う。だ。
このうち言語は非常に重要だ。俺はこの世界にあまりに無知だ。言語で周辺情報に気を配る必要がある。
暇なので、毎晩リリスに龍人族の特性などは聞いている。あとリリスは周辺諸国の情報などにも詳しい。
龍人族は、聞けば聞くほど面白い。
たとえば……。
・龍人族の寿命は数百年。
・幼年期は人族並み。10歳までに死ぬ確率が高い。
・魔法適性が高く。10歳で発現する。優れた魔法使いになることが多い。
・身体能力も抜群に高く。この世界では最強クラス。
とのこと。
何故に10歳までに死ぬ確率が高い?そこが気になる。
いくらリリスに聞いても、そこは教えてくれなかった。何か秘密があるのかも知れない。
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