27話 美咲の行きたかった場所

 生徒会役員一行はノート2つ目の項目を未来への繰り越しのような扱いを取った、美しい花を沢山咲かせるためにも長年かけて手を入れ、ようやく完成するものだと美咲が語ったのだ。


 そして7月の頭、夏休みの部活動の日程を確認したり、9月中旬に行われる体育祭の準備に生徒会は追われていた。


「夏休みどこ行きます〜?」


 足バタバタ揺らしながら作業している理沙がみんなに聞く、しかし誰も答えない。


「なるほど……みんな暇なんですね」

「いや、別に……」


 凛がそう否定するが続きの言葉は出てこない、生徒会長と言えど夏休みに活動がある訳じゃないので、そんな凛がどう休みを過ごすのか理沙はとても気になった。


「凛先輩は休みの日何してるんですか?」

「最近は本を読んでるわ」


 理沙のイメージで凛はアウトドア系だったので意外な答えだなと驚く、好奇心が理沙を掻き立てる。


「どんな本読んでるんですか?」

「れ……いや、なんでもいいじゃない!」

「ふむ……ははーん」


 理沙はニマニマした顔で凛を見つめる、恋愛物でも読んでるんだろうと勝手に思っている様子、まぁ実際そうなのだが。


「何よその顔!!その顔!別にいいじゃない!!」

「悪いなんて言ってないですよ〜ただ可愛いなって」

「……っ!!」



 顔を赤らめて机に伏せてしまった、優也は美咲になんで凛は照れてんだと聞くが、「なんでだろうね〜」と知った様子で答えられてしまった。


「あ、夏休み……行きたいところあるんです」

「そうなの?」


 美咲がコクっと頷きテーブルにスマホを置く、そこには花畑と思われる画像がうつしだされており、女性が一人映っている。


「なんかの広告か?」

「少し遠くなってしまうんですけど、お花がきれいな旅館があるみたいで……ガーデニングの参考にもしたいなぁ~と……」

「ほぉー綺麗ですね!きっと美咲先輩をここで撮ったら映えますよ!万バズです!」


 それを聞いた優也は自分のスマホでその旅館を検索する、自分も少し興味が湧いたのだ、旅館の名前を見て少し驚いた顔をした後。


「な……」

「どうしたのよ、嫌いな人にあったみたいな声出して」


 優也はすこし引きつった顔で凛にスマホの画面を見せる、すると凛は不思議そうな表情から一気に驚いた顔へと変貌してしまった


「これ1人の料金!?」


 凛の声に美咲と理沙が驚き寄ってくる、そして凛と同じ顔をしだす。


「一泊で約4万!?わ、わわわ私値段なんて見てなかった!」

「これは……」


 美咲の顔が徐々に暗くなってしまった、高校生には高すぎる値段、アルバイトをしていれば払えなくはないが美咲はしていない。


「まぁ、お花なら花屋さんでも見れますからね……」


 そんな美咲をみて3人はどうしたもんかと顔を合わせる、結局その日はなんともいえない空気の中下校するのだった。


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