1つ目の契機
家では両親が喧嘩をしているし酒瓶の破片が散らばっている、学校は勉強をする場所のくせに不良どもがそこら中で喧嘩している、窓ガラスも割れてるしまともに勉強できる場所がない。
春華高校がまだ不良に溢れていた頃のことだ、そこには1人の生徒がいた、彼女がリラックスできる場所と言えば誰もいない教室か飲食店のイートインスペースくらいだった。
昼休みの時間、空き教室で勉強をしているとドアの方から視線を感じた。
「おい、何見てんだ」
自分をこっそり見ていた金髪の男を睨みつける、男は少し驚くがすぐに悪い笑みを浮かべる。
「何真面目ぶって勉強してんだよ?」
「私の勝手だろ」
生意気な返答をされた男は「てめぇ誰に口きいてんだ!?」と怒鳴る、男は短期であった、相手は女だというのに構わずに殴りかかろうとする、しかし。
「ぐあっ!!」
軽く受け流し、腹にでかい一撃をくらわした、よろよろと立ち上がりながら睨みをきかせて男が問う。
「てめぇ……なにもんだ」
「生徒会長」
「はぁ!?この学校にんなもん……いや」
男は何かを思い出したように女を眺める、そして徐々に表情が青ざめていく。
そして優位にたったなと感じ、徐々に徐々に距離を詰めていく。
「確か前にダチが生徒会長を名乗る頭のおかしいやつにボコボコにやられたって……まさかお前が!?」
「あぁ、か弱い女の子相手に5人がかりできた連中か、そうだ私がやった」
か弱いという言葉に反撃したいと言いたげな男、天敵に出会った生き物のようにおびえている、最初こそ女だからと言ってハイエナの如く襲い掛かろうとしていたくせに情けないなと彩は嘲笑った。
「お前のお友達にも言っておけ、私の勉強を邪魔するなって」
「なんで俺が……」
「負けたからだ、私に」
男はそれでも納得いかないように舌打ちをする、それをみて女は勢いよく男の肩を掴み言う。
「ならこう言えよ、生徒会長佐々木彩の命令だ、と」
声を低くして男を睨みながら命令する、そして肩を掴んでいた手で男を押し払い、汚いもの触れたかのように手をパンパンとさせる。
「くそ……覚えてろよ」
男は恐れながらも捨て台詞を吐き立ち去った、その後も彼女にちょっかいをかけるものは減らなかった。
「くそ、静かに勉強できる教室くらい作らせろクソ学校め」
そして、その苛立ちが契機となり一つ目の項目として未来に託された。
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