7話 未来の私への導
未来の生徒会長へ
私の成し遂げられなかったことを書き残す、私の意志を継いで誰かが叶えてくれることを願おう。
君一人で成し遂げることはない、仲間と共に、そして生徒と共に、それが生徒会長であ
る私たちのあり方だ、もしそれでも成し遂げることが出来なかったら、その時は
私のように次の者に託すのもいいだろう、新たな項目を加えたって良い。
生きた時代は違えど、私たちは確かに同じ意志で行動した、そしてこれから未来の生徒会長は同じようにこのノートを手にするだろう、そうして紡がれた意志を導に進むんだ、それが春華の生徒会長のあり方。
2004年 2月21日 生徒会長 佐々木 彩より
***
ノートに書かれていたメッセージを読み終える、夕暮れの生徒会室で凛は1人で黙々とそのメッセージを見つめていた。
「佐々木……彩」
頭を抱える、確かどこかで聞いた名前だった、しかしそれを思い出すことはできないでい。
「成し遂げられなかったことか」
次へ次へと、そして何ページが飛んだところにそれはあった、ざっと8個くらいの項目がズラっと並べられている、面白そうなものから難しいものまで、彼女がやり遂げられなかったことが。
1 自習スペースの設立
私は静かに勉強できる場所が欲しかった
2 ガーデニングに力を入れたい
花はいい、見てるだけで癒されるからな、だからそれを踏んずけたり蔑ろにするやつは嫌いだ
3 春華高校のマスコットが欲しかったから作って欲しい。
出来れば可愛いのな!?いや絶対だ!
4 体育祭を強化
色んな種目を増やしてくれ!私がやった喧嘩上等気分上々みたいなクソ種目は未来にはないことを願ってる!皆が楽しめるようなのにしてくれな
5 文化祭の強化
私的には文化祭は恋人量産イベントって感じだったんだ、実際違ったけどさ。
でも好きな人と一緒にいる時間って言うにはいいもんだったよ。
6 君たちはどんなときでも互いに助け合い、このノートを道しるべにし、未来へとつなげてくれ
7 生徒たち皆が迷うことなく卒業できるように道を示してやってくれ
8 生徒会長とはなにか、一年を通して答えを最後のページに書いてくれ。
いつかきっと、君たちの答えを見に行くよ。
まぁその時私は老けてるかもな。
佐々木彩という人物は明るくて面白い人だったのかもしれない、凛はそう思った。
「未来へ、つなげる導」
ペンを手に取り8個目の項目のしたに9と書きノートを閉じる、いつかそこには未来の彼女、そしてその仲間たちが導を書くことになるだろう。
「一人で見るなんて、いじわるだな」
「橘くん……」
黒川達とノートを見つけ、真っ先に中身をみた凛は深刻な顔をして出て行った、未来の生徒会長へ、まず最初に自分が見るべきだと思ったのだ。
「……心配してたが、その様子じゃ相当楽しそうなことでも書いてあったのか?」
「さっすが橘くん」
静かな声でそう言う、優也はソファーに腰をかけてノートを見せてくれとジェスチャーをする。
「見たい?」
「うん」
「仕方ないなぁ~」
いたずらにそう言い優也の横に座る、それから数分、ただ静かな時間が生徒会室に流れた。
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