6話 見つけた意志
すけら部の手伝いを初めて4日が経っていた、生徒会室の隅々を探してもそれらしいものは見つからず、諦めようとしていた時。
「15年前に?」
「あぁ、この生徒会室はもともと指導室だったらしい」
昼休みに焼きそばパン片手に黒川が教室に入ってきたと思ったら、どうやら新たな手掛かりを見つけたらしい、ちなみに凛は美咲、優也と同じクラスであり、すけら部のメンバーとは別のクラスである、また黒川達すけら部は3人とも3年生で同じクラスなのだ。
「じゃあ15年前はどこに生徒会室があったのよ」
「はは……聞いて驚け生徒会長、なんと我らすけら部の部室が15年前の生徒会室なのだ」
「そう」
とあっさりとした一言を放ち、食べ終えたお弁当箱を丁寧に包んで鞄にしまう、そして立ち上がり優也の席へ向かう。
「行きましょ」
「え?」
「聞いてたでしょ?」
「俺まだ食べてーー」
優也の言葉を待たずに制服を引っ張り出す。
「な、なにしてんだ?」
「時間は貴重なの、行くわよ」
そしてすけら部へ向かった、ちなみに美咲は友人と食べていたので邪魔をするわけにはいかなかった、当の本人は気を使ってくれて欲しい反面すこし寂しい気持ちもあるようで。
「ねぇ田中さん、あの2人て……付き合ってるの?」
「ち、違うよ!橘くんと凛ちゃんはなんていうか……相棒?みたいな」
「ふーん」
***
黒川、優也、美咲はすけら部の部室に入り捜索を開始する。
すけら部のみんなはまだ部室の隅々までは探していないとのこと、生徒会室のように整頓されているわけではない、かといって散らかっているわけでもなのだが、そもそもこの教室だけすこし古いような、他の教室とはすこし違う感じになっている。
「ここはずっと使われてなかったらしくてな、例の物があるとしたらそこにある段ボールのなかとかだろう」
「うわぁ」
4段に重なった段ボールが3セット、多分これから捨てる予定の物なのだろう。
「まぁ、一個ずつ開けるしかないよな」
やれやれと詰まれたダンボールを優也が上からとる、中には資料やら本やら雑誌やらが入っている。
「どれも違うわね、あっ」
ここが元生徒会だったとしたらありえないものを凛が見つけた、いやむしろそういうしっかりした場所だからこそのギャップなのか、凛は頭悩ませる。
「どうしてエロ本が……」
「どうした?」
「ななな、なんでもない、このダンボールには大したものは入ってないわ」
急いで中に押し込みダンボールを占める。
「なんだか部下を持った気分だ……ふふ、ふはは……」
「働け」
優也がいい気分になっている黒川に雑誌をなげつける、しかし華麗な動きでよけられてしまった。
「もう2人とも遊んでないで……あ!?」
「なんだ!?」
凛が一つノートを見つけた、白い無地の表紙、ずっと放置されていたであろうものだが、とても綺麗な状態だ。
「ウィルノート?」
「ウィル……意志?」
3人が寄ってこそこそとしだす、そして互いにうな頷きあった後に凛がノートをめくる、最初のページには綺麗な字でこう書かれていた。
ー私の成し遂げられなかったことを書き残す、私の意志を継いで誰かが叶えてくれることを願おうー
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