桜の舞

開花

1話 それでは紹介しましょう!

「まずは私!」


 桜色の髪の毛をかき分けて立ち上がる、黄色の瞳を大きく開けて腕章のついた右腕をあげ、胸に手をあてる。


櫻田凛さくらだりん、生徒会長です!」


 放課後の生徒会室に彼女の明るい声が響く、生徒会役員は全員そろっている、しかし彼女の声に反応する者はいない。


「なんで無視するの」

「いや、知ってるし」

「親友だから知ってるもん」


 冷めた返事が彼女の心を突き刺す、生徒会書記のたちばな裕也ゆうやと会長の親友こと生徒会副会長の田中美咲たなかみさき、凛は恥ずかしくなったのか生徒会室のテーブルをくるくると速足で回り始める凛。


「最近知ったんですけど、とうもろこしの粒って絶対に偶数になるらしいですよ」

「待って理沙、なんの話?」

「凛ちゃんが新聞で話す雑学の話、かな?」

「美咲ぃ?私は真面目なのよ」


 凛が美咲に近ずき手を広げる、そして抱きついた。


「じょ、冗談だから!離して凛ちゃん!」


 美咲はぽつんと椅子に座り、読んでいた本を再び手に取り異常なほど顔に近づける、他の3人は「あぁ照れてるな」とほほえましく見守る。


「なんだか焼きとうもろこしが食べたくなってきた」

「私も、責任取ってください会長!」


 ふざけた後輩を凛がジト目で見つめる、生徒会会計の木下理紗きのしたりさはばつが悪そうにそうに窓の外へ視線を送り始める、他3人とは違い彼女は一つ下の2年生である。


「とうもろこしはさておき、さっき美咲が言ったように、今度新聞部が新会長の私と新しい役員の理沙を記事にするんだって、その練習してたのよ」

「自己紹介はいるの?」

「いるの!」


 前年生徒会役員だった凛と美咲と優也、そして今年新しく役員になった理沙、この4人がどう学校を変えていくのか、生徒たちは皆楽しみにしている。しかし1番楽しそうなのは他でもなく生徒会長本人である、それもそのはず、生徒会長桜田凛のモットーは「人生楽しんだもん勝ち!」である。


 


***



 

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