意志導

青井サアノ

プロローグ 小さな春が訪れる時

 窓を開ける、吹いた風は彼女を祝福するように流れる。


 桜の花びらが一枚風に乗ってやってきた、それはゆらゆらとゆっくり落下して、あるノートの上に着地した。


「起きてください!」


 少女が机に突っ伏している彼女に声を掛ける、意識がもうろうとする中ゆっくりと目を開ける。


「やっと起きたんですね」

「うん……暖かくてつい」

「でも確かに生徒会室はこの時間、陽の当たりがいいですからね」


 そして彼女は再び眠ろうとする。


「あーもう!ダメですって!!」


 少女は諦めたように椅子に座る、机の上のノートを手に取り、花びらを優しくつまみ彼女にそえる。


「似合ってますよ、桜」

「うん……」


 桜色の髪を優しく撫で、小さく微笑む、そして窓から流れる風がノートをめくる。

 

 いくつもの字が書かれたページ、彼女たちもいづれ書くことになるだろう。


 問の答えをーーー


 


 

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