第一章短編

行方知らずの少女、救助完了

隼人が通う学校、私立博良学園の女子が、ダンジョン内に潜ってから行方不明である、そんなニュースを隼人が知ったのは、翌日の十時だった。


「まずいまずいまずい、助けに行かないと!」

このまま女子が行方不明になったまま帰ってこなかったら、心配した祖父に冒険者の活動を禁止されてしまうかもしれない。


そして、隼人は新宿のギルドに駆け込んだ。


たぶん、女がいるのだったらここだろう。ギルドのナビゲーターが制服を着ていたというので、たぶん学校帰り。

学校帰りにふらっと立ち寄ることのできるダンジョンといえば、たぶんここだ。


「救助の依頼を受けに来ました!ダンジョンに通してください!」


「了解しました。ダンジョンのランクはEランク、依頼の受注を決定します。」


そして、隼人は依頼を受注し、ナビゲーターにダンジョンのゲートを案内してもらう。


「救助依頼ですので、できるだけ魔物との戦闘を避けてください。ご武運をお祈りします。」


ナビゲーターに見送られ、ダンジョンに足を踏み入れる。

「アーレ、フローラ!召喚だ。」

隼人が声を出せば、それに伴って二人の魔物が出現する。


「おうおうどうした、随分と早いお呼び出しじゃねぇか。」


「すぐに召喚してくれるなんて、マスター男前!」


モンスターたちがそれぞれの反応を見せる中、俺は口を開く。


「御託を並べてる暇はない。女子高生がダンジョン内で行方不明。できるだけ戦闘は避け、最短経路で行く!」


「おう、了解!」


「そういうことなら、全力で行くよ!」


そして3時間後、隼人たちはボスの扉の前に来ていた。

戦闘をなるべく避け、急いできたので、かなり速い到着になっている。

ダンジョンのボスは、基本的にダンジョンのランクより一つ上のランクのボスが出てくるようになっている。

つまり、この先にいるボスはDランク、昨日戦ったゴブリンジェネラルと同じランクだ。


「この先にボスがいる。部屋に突入したら、フローラは行方不明者の救出をしつつ、援護を頼む。オークはボスと戦闘だ。行くぞ!」


そしてボスの部屋の扉を開け放つ。そこには、行方不明者が倒れこんでいた。

すかさずフローラに治療を頼む。


数秒後、部屋のボスが異空間から出てきた。

その魔物はゴーレム。土の魔法を扱う上に、防御力も高い為、冒険者の敵になっている。見ると、その女の魔物であろうウィッチとスライムが倒れ伏していた。

どちらも持久力があまり無い魔物だ。ゴーレムと相性が悪かったのだろう。


そんな思考を巡らせていると、ゴーレムの足元の土が盛り上がった。そして、土の壁を作り、俺達に向けて倒していく。


「オーク、砕け!」

俺が命令すると、オークは斧によって岩の壁を四つに粉砕し、岩の脅威を防ぐ。


「マスター、この女の子かなり傷が深い!なるべく早く地上に運ばなきゃ!」

ピクシーが叫ぶ。つまり、あまり時間はないという事だ。


ゴーレムが次の岩の壁を生成しようとしている間に、俺は指示を出す。


「ピクシー、ゴーレムの足元を狙ってゴーレムを転ばせろ!その隙にオークは頭を砕け!次の岩の壁を壊してからが勝負だ!」


「おう!任せろ!」


数秒後、岩の壁が倒れてくる。それをオークが壊し、間からフローラの光の矢がゴーレムの足元に降り注ぐ。

狙い通りに、ゴーレムは倒れこんだ。


「今だ、行け!」


その隙にオークが距離を詰め、頭部を斧で粉砕する。

ゴーレムの魔石と素材を回収し、俺達は急いで地上へ戻る。





二時間後、彼女は集中治療室に運ばれ、俺はギルドの中にいた。

そこへ、ナビゲーターがやってくる。

「彼女、一命をとりとめたようです。救助、誠にありがとうございました。それと、隼人様に会いたいとおっしゃっている方がいますので、ギルドの中の会議室へお越しください。」


用件を伝え、彼女は去っていった。


会議室の扉を開けると、そこには一組の夫婦がいた。


俺が席に座ると、夫の方が口を開く。


「僕たちの娘を助けてくれて、本当にありがとう。どれだけ感謝を尽くしても、足りないぐらいだ。」

それに続け、妻の方も口を開く。

「本当にありがとうございます。もうなんとお礼を申し上げたらいいのやら……」

そう言っている二人の夫婦は、少し涙ぐんでいた。


「本当にありがとう。僕たちは、モンスターの武器や防具を作ったり、取り扱う店を経営している。娘の恩人の君には、特別安い価格で武器を売ったり、素材を高く買い取ってあげることもできる。気が向いたら、この店に足を運んでくれ。それでは、私たちは娘がいる病院に行かなければならないので、失礼させていただくよ。」


夫の方が名刺を取り出し、俺に差し出してくる。見ると、如月工房工房長、如月誠と書かれていた。多分、男の人の名前だろう。

俺はそれを受け取り、礼を言うと、夫婦たちは去っていった。

こうして、行方不明の人物をめぐる事件は一件落着となったのだった。





ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!

本作はパロディを多く含むため、了承して楽しめる方のみ読んでいただけると幸いです。

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それでは次回もよろしくお願いします!

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