ゴブリンの城、侵略完了
オークが放った強力な一撃が、ゴブリンの脳天をかち割る。
真っ二つに分断されたゴブリンジェネラルの体は崩壊し、ゴブリンジェネラルの剣と、魔石だけが残った。
それを見た隼人が溜息をつく。
「終わったぁぁぁ……!」
「ようやくだな。さぁ、ゲートを通って帰ろうぜ。」
それを見たヒールハイピクシーが口を開く。
「マスター、思ったんだけどさ、オークとかヒールピクシーとか、いちいち種族名で呼ばれると余所余所しいし、長いから名前を付けて欲しいんだけど、いい?」
モンスターへの名づけか。確かに今後のことを考えれば、その方がいいかもしれない。
「少し考える時間をくれ。」
その言葉にうなずいたオークとヒールハイピクシーは、自分のマスターを待つことにした。
ううむ。どんな名前がいいかと考えていた隼人に、あるアイデアが走る。
「よし、決めた!」
「うし、かっこいいの頼むぜ。」
「まず、オーク。お前の名前はアーレ。豚をイタリア語で言った、マイアーレからだ。」
そこで隼人は一呼吸置き、続けてヒールハイピクシーの名前を発表する。
「そして、ヒールハイピクシー。お前の名前はフローラだ。ラテン語で花の妖精という意味。」
正直受けるかどうか微妙だったが、二人は満足したようだ。
「あぁ、これからよろしくな!」
「フローラ……いい響きね!」
そして三人は和気あいあいと談笑しながら、ダンジョンのゲートをくぐるのであった。
「誠に申し訳ございません!」
ナビゲーターの謝罪の声がギルド中に響く。
このナビゲーターは、イレギュラーに発生した魔物によって、隼人に身の危険が迫ったことに謝罪している。
「気にしないで下さい。突然出現するボスの魔物は、ギルドでも完治が難しいんですから。」
そう、イレギュラーの魔物を感知することはほぼ不可能に近いといって良い。ギルド側が責任を感じる必要は全くないのである。
「お気遣い誠に感謝致します。Fランクダンジョンイレギュラーボスの討伐報酬として、十万円を支給いたします。」
そして、隼人は大金を手にしてギルドを出ることになった。
「十万円かぁ。素材の買い取りも含めたら十五万円くらい手に入ったし、やっぱり最高の職業だぜ、冒険者。」
帰り道、俺は呟く。
潜った時間は10時間程度なので、時給は一万五千円程度。やっぱり、夢のような職業だ。
冒険者は命の危険がある職業であるため、もともとの給与が高く設定されている。
さらに、隼人たちは途中で倒したモンスターも多かったため、素材の買い取り料なども合わせれば、かなりウハウハである。
これで最下級のFランクダンジョンなのだから、まったくもって恐ろしい職業である。
地に足を浮かせながら、いつの間にか帰って来ていた家のドアを開ける。
「ただいま~……っても、誰も居ないけどな。」
隼人は幼いころに両親を事故で亡くしているため、かなりの富豪である母方の祖父の力を借りて一人暮らしをしている。
(もしかしたら、俺が冒険者になろうと思ったのは、学校が終わった後孤独感に苛まれるのが嫌で、魔物と話すことのできる職業を目指したからなのかもしれない。
まぁ、たぶん親が居ても冒険者目指してるだろうけど。俺大きな子供だから。)
そんなことを考えながら、明日の日曜日を迎えるため、一人には少し大きいベッドの中で泥のように眠るのであった。
だが、そのせいで隼人はその日の重大なニュースを見逃すことになる。
自分の学校に通っている女子高校生が行方不明だという、普段の隼人なら見逃さなかったであろうニュースを。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます!
本作はパロディを多く含みますので、了承して楽しめる方のみ読んでいただけると幸いです。
また、★やコメント、フォローなど大変励みになりますので、よろしくお願いします!
それでは次回もよろしくお願いします!
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