小さな妖精の覚醒

隼人たちのパーティーは、壊滅の危機に追いやられていた。

オークは武器を吹き飛ばされたことで攻撃力を失い、ヒールピクシーはゴブリンジェネラルに転がされ、地面に蹲っている。


(あぁ、ここで終わりか。……会ってすぐに死なせるなんて、マスターにも悪いなぁ……)

ヒールピクシーはこれまでの自分の生涯を振り返りながら、後悔の念を浮かべていた。


彼女は、もともとは普通のピクシーとして仲間と一緒に群れで過ごしているはずだった。

しかし、普通のピクシーは炎に加え、雷や氷、風などを操ることができるはずだった。


しかし、彼女は魔法を炎の一種しか扱うことができなかった。

それ故に、他のピクシーから迫害を受けた。ひどいときには、魔法で攻撃されることもあった。

彼女が回復魔法に目覚めたのは、その影響があったのかもしれない。

魔法によってつけられた傷を、癒すため回復魔法を使っていた彼女に、ある転機が訪れる。


ある日、道端に小さな、されど彼女の体ほどの大きさはある、リスの魔物がいた。

そのリスは足を怪我していたため、彼女はヒールの魔法でそのリスを治してあげることにした。

そのリスは自分を癒してくれたヒールピクシーをじっと見つめると、ヒールピクシーを背中に乗せ、ピクシーの集団から彼女を連れ去っていったのだ。

「ちょっと、何々何!?止まりなさいよ!?」

そんな彼女の叫びも虚しく、リスは猛スピードでかけていった。


そして、ゴーレムがいるところに彼女を置いていった。

そのゴーレムは彼女を守ってくれた。しかし、外の世界に出られないことの窮屈感が、彼女の溜まっていった。

「はぁ、外の世界に出たいなぁ」

いつからかそれが、彼女の口癖になっていった。


しかし、数時間前、隼人たちが箱を開け放って、自分を外の世界に出してくれた。

隼人たちには見せなかったが、彼女は内心とても嬉しがっていた。


(やっと外の世界に出ることができた……!)

しかし、今自分は無様にも地面に這いつくばっている。

そんな時、隼人の声が彼女に届いた。

「ヒールピクシー、諦めるな!頼む、お前が俺たちの生命線なんだ!」


諦め……るな?

(諦めてもいいならとっくに諦めてるわよ。……でも、私が生命線だって?

笑わせてくれるわね。今まで引きこもってばっかのダメダメ妖精だったのに。

でも、そんな私を助けてくれたのは、まぎれもなくマスター達。)

そう思い返し、ピクシーは覚悟を決める。


「そう、マスターたちが私の願いをかなえてくれたんだから、今度は私がマスター達を助けなくちゃ!」

そう叫んだヒールピクシーを、まばゆい光が包み込む。

(進化の条件を達成しました。これより進化を開始します。)

「グギャ?」


ハイゴブリンがヒールピクシーの方に興味を向ける。

だがしかし、そこにいたのはヒールピクシーではなかった。

(進化を達成。マスターにステータスを報告します。)


ヒールハイピクシー ランクD

LV:8

力:E

魔:C+

知力:C

俊敏:D

スキル

ハイヒール(SKILL RUNK UP!)(ヒールよりもさらに強い回復効果を付与する)

治癒の素養

フレア(SKILL RUNK UP!)(強い炎で相手を焼き尽くす)

シャイニングアロー(光の魔力で相手を貫く)


「こりゃあ凄えぞ!……」

大きく変化したスキルに、隼人が感嘆の声を漏らす。

「もう好きにはさせない!!覚悟しなさい!!フレア!」


あいさつ代わりに大きな火球をゴブリンジェネラルにぶつける。

「グギャ!?」

その隙にオークが武器を回収する。即座にハイヒールピクシーがハイヒールをかける。

「よし、行くぞ!」

「あんたは力を溜めておいて!私が牽制する!」


そこから先は一方的な展開だった。

「シャイニングアロー!」

無数に出てくる光の矢が、ゴブリンジェネラルに向かって放たれる。

「グギャギャギャギャギャギャギャ!?」

「最後の……一発!」

最後に放たれた特段大きな矢に、ゴブリンジェネラルが大勢を崩す。


そして、力を溜め終えたオークが一気に前に出てくる。

「これで終わりだぜ!鎧砕き!」

そして、あらん限りの力を込めた一撃は、ゴブリンジェネラルを一刀両断して見せる。


長い戦いに、ついに決着がついた。






ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

本作はパロディなどが含まれるため、了承して楽しめる方だけ読んでいただけると幸いです!

読んでくれただけでも嬉しいですが、フォローなどもしてくれると更に嬉しいです!

それでは次回もよろしくお願いします!

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