姫様は頂いた!
「な、仲間になるってどういうこと?」
「そのままの意味だ。主従契約を結ぶ。」
困惑している妖精に、さらに言葉を投げかける。
「なんでもするって・・・言ったよな?オークでお前の体を粉砕することもできるんだぞ?」
「・・・クッ!分かった、分かったわよ!力を貸せばいいんでしょう!?」
顔が引きつった妖精がやけくそ気味に叫ぶ。
(主従関係の誕生を確認しました。)
脳内にアナウンスが流れ、またもまばゆい光が当たりを包む。
光が収まって目を開けると、新たな力が芽生えた感覚になった。
「ヒールピクシー、召喚!」
隼人がそう唱えると、妖精がポンと音を立てて飛び出してきた。
「まったく・・・面倒くさいことになったわ。まぁ、これからよろしくね。」
これで、二人目の仲間ゲットだ。探索が順調に進んでいることを実感した隼人は、心の中で小さくガッツポーズをする。
だが、今最優先すべきは妖精のステータス確認である。そう思った隼人は妖精のほうに向きなおると、「ピクシー、ステータスを見せてくれ。」と落ち着き払った声で頼んだ。
「ちょっと待って、えーと、それっ!」
少し間をおいて、妖精の前にオークと同じ、黒い板が浮かび上がる。
ヒールピクシー ランクE
力:F
魔:C
知力:D
俊敏:D
スキル:ヒール(擦り傷、切り傷などを治すだけでなく、疲労なども軽減する。)
治癒の素養(回復魔法を使うとき、必要な魔力量が少なくなる。)
ファイヤ(小さな炎を操ることができる。)
どうやら、ヒールピクシーは魔法で攻撃もできるようだ。
「おぉ、パワータイプの俺に続いて、魔法を扱うヒールピクシーか。中々運がいいな。」
「戦略としては、オークが攻めて、ヒールピクシーが補助する形になるかもな。」
「もう、やってやるわよ!仕方ないわね!」
そうして小部屋を出ると、犬の顔に人間の体をしたコボルトが出てきた。手には錆びたナイフを握っている
「丁度いい。ヒールピクシー、あいつと戦って、力を見せてくれないか?」
「分かった。好きにしていいのよね?」
「怪我しないようにしろよ」
短いやり取りの後、戦闘が始まる。
「こいつ、速っ!」
予想以上に早かったのか、コボルトに距離を詰められてナイフで切りつけられてしまった。
「く、痛っ!ヒール!」
しかし、即座に反応し、ヒールで自分の傷をいやして見せる。
そして今度はヒールピクシーの反撃である。
「ファイヤ!」とヒールピクシーが唱えると、彼女の周りに小さな火の玉が三つ浮かび上がる。
そして、火の玉は猛スピードでコボルトのもとへ向かっていった。
「ワフッ!?」
コボルトは焼き焦げ、灰になった。
「ヘッヘー。どんなもんよ!」
ヒールピクシーが小悪魔的な笑みを浮かべながら自慢気にこちらを向く。
かくしてヒールピクシーの初戦闘は無事に終了した。
「お疲れ様。余裕だったな。さて、これからボスも近いだろうし、心して探索に挑めよ」
「あい」
「分かったわ。」
かくして一行はダンジョンの最深部を目指していくのであった。
ここまで読んでくださり誠にありがとうございます。
本作はパロディが多く含まれておりますので、了承して楽しめる方のみ読んでくれると幸いです。
読んでくれただけでも嬉しいですが、フォローしてくれるとさらに嬉しいです!
それでは次回もよろしくお願いします!
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