オークとの出会い

光が収まった後、目を開けるとそこにはオークがいた。

ずんぐりむっくりの体に、猪の頭をした典型的なオーク。

ダサいと言ってしまえばそれまでだが、隼人は見た目など眼中にないほど興奮していた。


(初めて魔物が召喚できた・・・!やっと冒険者になれたんだ!よっしゃぁ‼)

興奮を隠せないまま、隼人はオークに話し掛けた。

「初めまして。俺の名前は隼人だ。これからお前のマスターになる。よろしくな。」

早口で話し掛けた隼人に呆れる様子もなく、オークは陽気に口を開く。

「あぁ、これからよろしくな。俺は力が強いが頭は弱いから、うまく使ってくれ!」

どうやら、性格に難はなさそうだ。


魔物の中にはプライドが高いものや、悪魔のような残虐性を持った魔物がいると聞いたから、隼人は薄々心配していた。

しかし、ひとまずそんな様子はなかったので、隼人は胸をなでおろした。


「とりあえず、お前のステータスを見せてくれ。」

ステータスとは、魔物のマスターだけが見ることのできる、魔物の力を現した資料だ。Sが最高で、Fが最低、最初に召喚する魔物はEランクであれば十分と言われていた。


「あいよ。」軽い様子で了承したオークの胸あたりに、ステータスを表示する板が出てきた。


種族:オーク ランクD

LV:1

力:C

魔:E

知力:E

俊敏:D

装備:オークの斧

スキル:鎧砕き(鎧を砕くほどの威力で斧を振り下ろす)

    筋力増強(魔力を使い、力を高める)


「おぉ!ランクDだ!すごいぞ!」

ランクDは魔物の中では十分に強い部類である。初召喚したのがこいつで、本当に良かった。


「喜んでくれてよかった。さて、ステータスも見終わったし、とっとと行くとするべ。」

そうしてオークに言われるがままダンジョンの探索を二人(一人と一匹)は開始しだした。

そして、10分くらい薄暗い洞窟を歩いていると、前方に魔物が現れた。


「ぽよっ!」「グギャギャ!」スライムとゴブリン。RPGでよくいるFランクの雑魚的。しかし人間に大怪我を負わせるくらいの力は持っている。だが、オークの敵ではない。

「オーク、力押しで行ける!スキルは使わないでいい!」

隼人の指示にこたえ、オークはスライムを斧で粉砕し、そのままゴブリンに距離を詰める。


「グギャッッッ!?」

断末魔をあげ、ゴブリンは息絶える。

「どんなもんよ。」

正直、あっけなさに拍子をとられた。しかし、安全な分には問題ないと思いなおし、オークにねぎらいの言葉をかける。


「よくやったな。この調子でいくぞ!」

そして、二人はダンジョンの奥に進む。

そうして歩いていると、とある小部屋を見つけた。

興味を持った二人が入ってみると、魔物が飛び出してきた。


「コノサキニハトオサン!」と威勢のいい声を上げながら、小さいゴーレムが突進してくる。

これは冒険者のテキストに載っていた魔物だ。「そいつは防御力が高い!オーク、鎧砕きだ!」

隼人の声に反応し、オークが渾身の力を込めて斧を振り下ろす。


衝撃に耐えられずゴーレムは砕け散り、ゴーレムがいた地面までも凹むような力に、隼人は感嘆した。

(これがオークの力。想像以上にすげぇぞ……!)

「へへ、どうよ。」というオークの自慢げな声が聞こえる。

「凄いな。」

「お気に召したなら何より。さて、宝箱があるかもしれないし、奥行こうぜ。」


オークの声に従い、奥を目指す。そして見つけたこれ見よがしにおいてある箱を開けると、中から白い妖精が飛び出してきた。

「ころさないで~!!お願いします!!」

「うおっ、何だこいつ!?」唐突に出てきた妖精による唐突な命乞いに驚いている俺とは対照的に、落ち着いた声でオークが言う。

「こいつは魔物の傷を治す代わりに自分を守らせる、言わばモンスターの姫だな。どうする、殺すか?」

「殺さないで~!!ほんとに何でもするから!」


ほう、今何でもすると申したな。言質を取った隼人は、妖精に対し言葉を投げかける。

「だったら、俺たちの仲間にならないか?」

「……へ?」









ここまで見てくれてありがとうございます。

この作品、パロディが多く含まれておりますので、楽しめる方のみ読んでいただけたら幸いです!

それでは次回もよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る