第13話 マリーの埋葬
戦闘が終わり、舞と仲間たちは疲労困憊していた。魔物を倒したことで村は一時的な安全を手に入れたが、彼らの心には重い悲しみが残っていた。彼らは、失った仲間、マリーを埋葬するために村に戻ることに決めた。
村の広場に到着すると、村人たちが静かに見守る中、舞たちはマリーの遺体を丁寧に運んだ。彼女の顔には安らかな表情が浮かんでおり、戦いの中で見せた勇気が尊重されるべきものであることを示していた。
「ここに彼女を埋葬しましょう。彼女が私たちのために戦ったことを忘れないように」とリックが提案した。
舞は頷き、静かに同意した。「そうね、彼女がここで永遠の安らぎを得られるように」
村人たちは、広場の端にある大きな樹の下に穴を掘り始めた。樹は村の守り神として崇められており、その下に埋葬することで、マリーの魂が村を見守り続けると信じられていた。掘り終えた穴に、舞たちはマリーの遺体を優しく安置した。
「マリー、あなたの勇気と犠牲を忘れない。ありがとう」と舞は静かに言葉をかけた。
リックも続けて、「君がいなければ、私たちはここに立っていられなかった。心から感謝するよ」
村の長老エルダンが近づき、手に持った花束をマリーの遺体に捧げた。「彼女の魂が安らかに眠りますように」
舞は涙をこらえながら、マリーに最後の別れを告げた。その瞬間、彼女の心の中で家族の顔が浮かんだ。自分がどれだけ大切な人たちを失ったのか、そしてこれからも失うかもしれないという恐怖が襲ってきた。
しかし、彼女は深呼吸をし、自分の中に芽生えた強い決意を確認した。「私は諦めない。仲間と共に生き抜き、元の世界に戻るために」
埋葬の儀式が終わり、村人たちは静かにそれぞれの場所へ戻っていった。舞とリックは、最後までマリーの墓前に立ち続けた。
「リック、これからどうするつもり?」と舞は尋ねた。
「私たちはまだ戦い続ける。村を守り、君のためにも安全な場所を確保する。マリーのためにもね」とリックは強い意志を示した。
「ありがとう、リック。私も一緒に戦うわ。これからも」と舞は微笑みを浮かべた。
翌朝、舞は再び目を覚ました。窓から差し込む朝の光が、彼女の心を暖かく包み込む。彼女は深呼吸をし、今日も新たな一日を迎える準備をした。
舞は村の広場に向かい、昨日の埋葬の場所に立ち寄った。大きな樹の下にあるマリーの墓に、静かに祈りを捧げた。
「マリー、あなたの勇気を胸に、私は前に進むわ」
その後、舞はギルドに向かい、新たな仕事を探すための準備を始めた。村の安全を守るために、そして自分の使命を果たすために、彼女は決して諦めない。
ギルドのドアを開けると、中には昨日と同じように多くの冒険者たちが集まっていた。舞はカウンターに向かい、ギルドマスターに声をかけた。
「おはようございます。次の仕事を探しています」と舞は決意を込めて言った。
ギルドマスターは微笑みながら、「おはよう、舞さん。君の勇気と決意に感謝している。さあ、新たな旅の始まりだ」と答えた。
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