第14話 ギルドマスターからの新しい仕事

舞はギルドマスターの部屋に入ると、彼は温かく迎えてくれた。「おはよう、舞さん。君の勇気と決意を尊敬している。今日は新しい仕事を提案したいんだ」


舞は興味深げに顔を上げ、「どんな仕事ですか?」と尋ねた。


ギルドマスターは微笑みながら、「村の図書館の司書の仕事だ。君の知識と冷静さが必要とされている。図書館は情報の宝庫であり、君が元の世界に戻る手がかりが見つかるかもしれない」と答えた。


「図書館ですか…」舞は一瞬考え込み、「その仕事、ぜひやらせてください。知識を得ることが私にとっても大きな助けになります」と決意を込めて答えた。


「素晴らしい。では、早速図書館に向かってくれ。新たな出会いもあるだろう」とギルドマスターは頷いた。


舞はギルドから村の図書館へ向かった。図書館は村の中心部に位置し、大きな石造りの建物で、歴史と知識の象徴となっていた。舞は入り口の重厚な扉を開け、中に足を踏み入れた。


内部は静寂に包まれ、高い天井からは柔らかな光が差し込んでいた。棚には無数の本が並び、そのどれもが古びた魅力を放っていた。舞は深呼吸をし、知識の香りに包まれる心地よさを感じた。


「こんにちは。あなたが新しい司書の舞さんですか?」と優しい声が聞こえた。


舞が振り向くと、中年の男性が微笑みながら近づいてきた。彼は図書館の主であり、長年ここで働いているカインという名前の人物だった。


「はい、桜田舞です。よろしくお願いします」と舞は礼儀正しく挨拶した。


「こちらこそ、よろしくお願いします。あなたの助けが必要なんです」とカインは答えた。「まずは図書館の仕事について説明しましょう」


カインは舞を案内しながら、図書館の各所を紹介してくれた。古い書物の保管方法や、利用者への対応、そして図書の管理方法など、詳細にわたって教えてくれた。


「ここには、異世界についての書物も多くあります。あなたが元の世界に戻る手がかりもきっと見つかるでしょう」とカインは励ましの言葉をかけた。


舞は感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、「ありがとうございます、カインさん。ここで全力を尽くします」と答えた。


図書館での仕事が始まり、舞は次第にその仕事に慣れていった。ある日、舞が書棚を整理していると、若い女性が近づいてきた。彼女は明るい笑顔を浮かべ、親しげに話しかけてきた。


「こんにちは、あなたが新しい司書の舞さんですね?」


「はい、桜田舞です。あなたは?」と舞は尋ねた。


「私はエリナ。この図書館で研究をしているんです。よろしくお願いします」とエリナは手を差し出した。


舞はその手を握り返し、「こちらこそ、よろしくお願いします」と微笑んだ。


エリナは舞に図書館のいろいろな本を紹介し、特に異世界に関する研究書や古文書の場所を教えてくれた。彼女は好奇心旺盛で、知識を共有することに喜びを感じているようだった。


「舞さん、もし時間があるなら、私と一緒にいくつかの古文書を調べてみませんか?あなたが元の世界に戻る手がかりが見つかるかもしれない」とエリナは提案した。


「それは素晴らしい提案ですね。ぜひお願いします」と舞は応じた。


二人は古文書の部屋に向かい、埃にまみれた古い書物を開き始めた。異世界の歴史や魔法の理論、転生に関する記述など、さまざまな情報が詰まっていた。


「ここにこんなに多くの情報があるなんて…」と舞は感嘆の声を漏らした。


「そうなんです。この図書館は宝の山です。私たちの知識を合わせれば、きっと何か見つかるはずです」とエリナは自信を持って答えた。


舞は図書館での日々を過ごしながら、新たな仲間と共に知識を深めていった。エリナとの共同作業は彼女にとって大きな支えとなり、希望の光を見出す助けとなった。


「エリナ、ありがとう。あなたのおかげで、ここでの生活が少しずつ楽しくなってきました」と舞は感謝の気持ちを伝えた。


「こちらこそ、舞さん。あなたの決意と勇気に感動しています。これからも一緒に頑張りましょう」とエリナは答えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る