第2話 魔法学園の生徒

 ダンジョンを木っ端微塵にしてから一年が経った。

 これと言ってやることもなかったので、今は定期的に冒険者がダンジョン跡に来ないか見回りをしている。

 今日も誰も来てなさそうだけど、有名なダンジョンって本当だったのか?まぁいないならいいけど―――


「うーん、地図だと確かここらへんに例のダンジョンがあるはずなんですけど」

「どこにも見当たらないけど、地図が違うんじゃないのか?」


 うわ、遂に冒険者来ちゃったよ。見える範囲では四人組。全員が同じ柄の服を身に着け、地図を片手にダンジョンを…

 多分だけど魔法学園の生徒っぽい。班活動か知らないけどこんな田舎まで来るとは、本当に有名だったのか…


 そろそろ気づかれてもおかしくないので、こっそり帰ろ―――

「あの、この近くにあるダンジョンって知ってますか…?」

「えっ、あっ」

 マズい、気づかれた。

「おい、まだ小さいガキがダンジョンなんて知ってるわけないだろ」

「レインさんの言う通りですよ」


 どうやら本当に魔法学園の生徒で、一年生らしい。俺の勘が今日も冴えまくってるね。

「自己紹介が遅れたな。俺はレイン、魔法学園Bクラスの生徒だ」

「僕はオリバーと言います。レインさんには敵わずですが同じBクラスです」

 この二人、性格で見るならあまり気が合わなさそうだけど、師弟みたいな雰囲気がある気がする。

「私はアリアと言います。まだまだ未熟で、Cクラスですが…」

 最初の時もそうだったけど、優しそうな雰囲気が漂ってるな、この人。

「私はエルフリート。サポート系だから実際強くはないけど、Bクラスの生徒」

 凄い簡潔…



 ―――この世界にはランクと言う制度がある。

 これは、S・A・B・C・Dの五段階になっており、20歳になるとランク登録ができるようになる。


 つまり、20歳まではランクが無い。しかし、15歳になると王都にある魔法学園に通うことになるので、そこのクラス分けをランク制度に則って行っているらしい。


 というか、頭いいとは自負してるけど俺はまだ11歳の子どもだぞ。普通ダンジョンの場所なんか聞くか?

 もしかして、既に俺が木っ端微塵にしたのを知っていて来た王都からの使者だったり…考えすぎか。


 ま、結果的に魔法学園の人達には帰ってもらうことになりましたとさ。こっそり付いてってみよ。



「―――そういや、セレスティア王家の王女って魔法が扱えないらしいぜ」

「僕もその話は聞いたことがありますね。確か、シルヴァと言う名前だった気がします」


 何やら気になる話をしていた。

 シルヴァ=セレスティア。この周辺を治めるセレスティア王国の10歳の王女で、生まれつき魔法が制御しにくい体らしい。王家がなんだか知らないけど、俺もユニークスキルないし同情する。


「はー、疲れた…」

「今日は新しい出会いもあったけど、それ以上に緊張の走る一日だったな」

 また、あの人達と会う日が来たら嘘をついてた事を謝らないとなと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔術に飽きたのでのんびり暮らしたいです。 めぎでら @megyd

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ